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食べよう! レッツ獣肉! ヌートリアとノウサギ料理編

本稿は『けもの道 2017春号』(2017年刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。

なぜ狩猟をするのか?
獲物を美味しく食べることが、その答えのひとつ

『けもの道』の取材で獲得したヌートリアおよびノウサギは、持ち帰って実食した。イノシシはもちろん、ヒヨドリもキジバトも、美味しくいただいた。

獲った獲物を美味しくいただいてこそ、狩猟活動は完結するといっても過言ではない。

お洒落なジビエ料理である必要はない。キレイに持って帰って、ただ食べる。ただし、美味しく食べる。それが狩猟をする目的の1つであり、獲得した動物に対する最大の供養になる。

今回は料理人の手により生まれ変わった野生肉の極上料理を紹介する。調理方法は各家庭でも再現可能なものなので、ぜひ冷凍庫に眠る肉や、次の猟期で得た肉で試していただきたい。

写真・文|佐茂規彦


取材協力・調理担当|神野元  大阪府にある料理屋「はなせ」(日本料理 大阪府茨木市上中条)の料理人。※今回ご紹介する料理は、取材協力で特別に作っていただいたもので、店舗で提供されるものではありません。

実食! ヌートリア料理評

見た目は取っ付きにくいヌートリア。その肉は一見(一嗅?)、臭みがありそうだが、いくつかの個体の肉を比べると、臭みがあるものと無いものとがあった。

その違いは、捕獲した場所。すなわち川の上流域で獲ったものは臭みがないが、下流域で獲ったものは臭みが強かった。

「四つ足」といえどヌートリアは基本的に河川周辺に生息しているため、川魚同様に、「水のニオイ」が影響していると推測される。よって、美味しいヌートリア肉を手に入れるには、水が澄んでいる時期と場所、すなわち猟期中盤以降の水温が下がった上流域が狙い目と言えそうだ。

肉質は非常に柔らかい。陸上を飛んだり跳ねたりせず、水面を泳いで移動することが多いからか、あまり筋肉は発達していない。特に下ごしらえすることなく、いきなり火を通すだけで、どの部位でも柔らかく食べられそうだ。

「ヌートリア味」は意外と強い。ニオイが強いのではなく、鶏肉に少し血の味を足したような独特の野性味がする。肉の量は意外とあるので、いろいろな料理法が楽しめそうだ。スパイスなどパンチの効いた調味料で肉との相乗効果を狙う揚げ物や、塩コショウだけのシンプルな炭焼きなどがお勧めだ。

ヌートリアの一夜干し

<材料>
ヌートリア …… 1匹 ◯ 塩

1. ヌートリア1匹を干しやすいように開く
2. 塩が染み込みやすいように、串などで肉に穴を開ける
3. 塩をまぶし、約2時間寝かせる
4. 水で塩を洗い流し、水気を切ってから1日干す
5. 焼く。脚を外した方が火の通りは良い。炭火がお勧め


ヌートリアのコンフィ

<材料>
ヌートリア肉(モモ) ◯ 塩 ◯ コショウ ◯ 香草(バジルなどお好み) ◯ ニンニク ◯ オリーブオイル ◯ ローリエ

1. 肉に塩・コショウ・香草をふり、下味をつける
2. 鍋に肉を入れ、肉が浸る量のオリーブオイルを入れる
3. ニンニクひとかけと、直火で炙ったローリエを加える
4. 75℃の温度で、肉に火が通るまで加熱する
5. 食べる前にグリルで肉の表面をパリッと焼き上げる


ヌートリアのトマト煮

<材料>
ヌートリア肉(胸・ロース) ◯ 塩 ◯ コショウ ◯ タマネギ1個(2×1.5cmにカット) ◯ トマト缶(1缶) ◯ ヒヨコ豆(1缶) ◯ ニンニク ◯ オリーブオイル ◯ ローリエ ◯ 白ワイン ◯ 水

1. 肉に塩・コショウをふり、下味をつける
2. オリーブオイルで肉を炒めて焼き色をつける
3. 肉を鍋に入れ、タマネギ、トマト缶を加えて加熱する
4. さらに炒めたヒヨコ豆、水、白ワイン、炙ったローリエ、ニンニクを加えて煮込む
5. 最後に塩で味を調える


ヌートリア揚げ物2種

ヌートリアの揚げ物チリソース

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