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シカ肉料理をおいしく食べるための2大重要ポイント

本稿は『けもの道 2016特別号』(2016年刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


重要ポイント1 〜 ケモノ臭さを消す

お店で食べたシカ肉料理は美味しかったのに、自分で調理したらやっぱりケモノ臭かった。自宅でシカ肉料理に挑戦した方に、そんな経験はないだろうか?

ケモノ臭の原因

いわゆるケモノ臭が出る原因は、止め刺し箇所、血抜き方法や運搬・解体に掛かる時間のほか、シカの年齢や状態などにも左右され、煮込み料理などをする際に気になるところだが、簡単な下処理を行なうだけでケモノ臭はかなり取り除くことが出来る。

シカ肉の下処理方法

シカ肉をサッと湯がくと肉が少し縮み、小さくなる。さらにそのまま加熱を続けると煮汁が出て、大量のアクが発生する。

このとき、むせ返るようなケモノ臭が立ち込めてくる。この煮汁には血液が煮出ており、これが肉のケモノ臭の原因になる。この状態からアクをとる程度ではなく、思い切ってこの煮汁を一度捨てて、新しい鍋と湯で煮直すことがポイントになる。

01 シカのモモ肉を約1cm厚に切る。

02 切ったモモ肉を湯で煮始める。

03 煮始めるとすぐに、肉から血液が煮出てくる。さらに煮込むと大量のアクが出てくる。

04 肉をいったん鍋から取り出し、煮汁は捨てる。

05 再度、新しい湯で煮始める。このときショウガなどを入れてもよい。

06 そのまま圧力鍋で10分ほど圧力を掛ければ、下準備は完成。取り出したモモ肉はいろいろな料理に使える。

重要ポイント2 〜 固くならないようにする


シカ肉のタタキは多くの人が挑戦するシカ肉料理の定番だ。ただし、その火の通し方を間違えると、肉が固くなったり、逆にまだナマ過ぎて食べるには適さない状態になる。

タンパク質は75℃以上の温度で固くなり、一方で63℃で30分以上加熱しないとE型肝炎ウィルスを死滅させることはできないと言われている。

つまり、シカ肉をタタキの状態で食べるには、63~75℃の温度帯で加熱をすることがポイントになる。

火の通り具合の目安

オーブンで加熱する場合は、5×2cm断面の大きさのシカロースなら、320℃のオーブンで6分間加熱後、アルミホイルに包んで常温で30分間保温する。

フライパンで加熱する場合はバターと一緒にごく弱火にかけ、溶けたバターをシカ肉にかけながら15分ほど加熱。そのあとオーブンの場合と同じくアルミホイルに包んで常温で30分間保温する。

火の通り具合を判断する目安は慣れれば出来上がりの肉をカットしたときの色で、断面が「ピンク色」なら適正、「赤色」なら加熱不足、「茶色」なら過加熱ということになる。

シカロースのタタキ(フライパンで作る)

[2人前の材料]
・シカロース肉 200g
・バター 20g
・アルミホイル
・飾りつけ用の野菜(今回は西洋パセリ、タマネギ、ピンクグレープフルーツを用意)
・柑橘系ドレッシング

01 ロース肉のスジをきれいに取り除く。

02 フライパンを弱火にかけ、バターを溶かす。

03 バターが溶けたらロース肉をいれる。肉の上から、溶けたバターを繰り返しかける。

04 焦げ付かないように、肉の表面に火を通したら、肉の中心に金串を刺し、10秒待つ。抜いた金串の先を下唇の少し下に当てて、「熱い」と感じたら中まで加熱が始まった目安。

05 肉をフライパンから降ろし、アルミホイルに包みそのまま30分間置く。

06 30分後カットして切り口がピンク色になっていれば火が十分通った目安。

07 カットした肉と野菜を盛り付け、ドレッシングをかければ完成。

シカ肉料理いろいろ

シカ飯

[材料]モモ肉、ゴボウ、ニンジン、炊き込みご飯を作る際の好みの調味料

  1. モモ肉を5mm幅程度に細かく切る。

  2. シカ肉とほかの具材、調味料を入れ、炊き込む。

  3. 炊き上がった後に具材を混ぜ合わせ、刻みネギを乗せて完成

シカもも肉のしぐれ煮

[材料]モモ肉、飾りつけ用の野菜(白ネギなど)、ショウガ適量、醤油、酒、みりん

  1. モモ肉を1cm角に切る。

  2. モモ肉、醤油、酒、みりん、千切りにしたショウガを鍋に入れ、材料を混ぜながら汁気が無くなるまで弱火で煮詰める。煮切る前は焦げ付きやすいので注意する。

  3. 器に盛り付け、上に白ネギの千切りを乗せる

シカ肉サラダ

モモ肉を5mm厚程度に薄く切り、好みの野菜を添え、上からドレッシングをかける(写真はコンソメジュレ)。

シカふりかけ

モモ肉をフードプロセッサーにかけて細かくそぼろ状にして、市販のふりかけと混ぜ合わせる。

参考書籍|『いけるね!シカ肉 おいしいレシピ60』(松井賢一著・一般社団法人農山漁村文化協会発行)

調理・盛付|辻川育子(【日本野菜ソムリエ協会認定】野菜ソムリエ・ベジフルビューティーアドバイザー)

写真・文|佐茂規彦

(了)


狩猟専門誌『けもの道 2016特別号』では本稿を含む、狩猟関連情報をお読みいただけます。note版には未掲載の記事もありますので、ご興味のある方はぜひチェックしていただければと思います。

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