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けもの道 03[2017秋]

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狩猟専門誌『けもの道』の2017秋号の有料記事をまとめてお得に読めるマガジンです。特集テーマは「肉好き猟師必見! 肉々しい特集」。ジビエレシピや熟成処理の注意点、ウイルスの危険性…
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2024年4月の記事一覧

【肉好き猟師必見】生肉・生レバーは厳禁! E型肝炎ウイルスから身を守る

はじめに文|前田健 山口大学共同獣医学部教授 2003年に兵庫県でシカ肉を食べた4名がE型肝炎を発症し、シカ肉から検出されたウイルスと、患者から検出されたウイルスが一致したことから、シカ肉が原因であると証明された。 これにより当時はシカが注目されることになったが、調査が進むにつれて、E型肝炎の主な原因は豚やイノシシであることが判明して来た。 これまでの野生動物肉から由来する食品媒介感染症の原因の多くは細菌や寄生虫であったため、「凍らせれば大丈夫」「薄く切れば大丈夫」と

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データの蓄積から見えて来たツキノワグマの正しい姿 〜 本州ツキノワグマ対策最前線

ニホンジカ、イノシシに次いで近年、その生息数を大いに回復させたと見られるツキノワグマ。冬眠期が終わり、活発に行動する春から秋に掛け、東北から近畿・中国北部で発生するツキノワグマによる食害や人身事故をニュースで知ることも珍しくなくなった。 「保護」か「駆除」か。そんな単純理解では済まない現代日本人とツキノワグマの共生を探る2つの取組みを紹介する。なお、本稿で「クマ」と表記するものは、特段の言及がない限りは「ツキノワグマ」を指す。 取材|平成29(2017)年6月 文|佐茂規

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軽井沢でクマとの共存を支えるヒトとイヌ 〜 本州ツキノワグマ対策最前線

日本有数の別荘地、長野県軽井沢町。日中、人々は都会の喧騒を忘れて豊かな自然に触れ合い、夜には涼しげな虫の鳴き声に包まれて深い眠りにつく。そしてその頃、ピッキオのメンバーと優秀なベアドッグによるクマの追払い活動が静かに始まる。 文・写真|佐茂規彦 ピッキオが取り組むツキノワグマ保護管理事業ピッキオ(picchio=イタリア語でキツツキの意味)は、軽井沢を拠点に野生動植物の調査研究および保全活動を行うとともに、自然の不思議を解き明かすエコツアーや環境教育を行っているエコツーリ

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キョンから考える、人が自らもたらした外来シカ問題

官民を挙げて様々なニホンジカ対策を講じている一方で、人が招いた新たな鹿問題がある。 千葉県房総半島で野生化した外来鹿キョン。それは人の手で国内に持ち込まれ、その生息数は今や5万頭に迫る勢いで繁殖を続けている。 小さな鹿・キョンとは?キョンは中国南東部および台湾に自然分布しているシカ科の草食動物で、日本国内では千葉県のほか東京都伊豆大島でも野生化している。 房総半島のキョンの成獣の体重は9~10kgほどであり、同じ地域のニホンジカの成獣の平均体重(雄60kg、雌40kg)

猪犬特訓の世界 〜 第七回 那須塩原猪犬競技会

開催日平成29(2017)年4月9日 開催場所|那須塩原猪犬訓練所(所長:小林達也) 審査員|羽田健志・望月金久・三村文昭 審査講評|羽田健志 写真|佐茂規彦・及川忠宏 成犬の部前回(第六回全国猪猟犬栃木大会)に引き続き、今回も出犬頭数最多の成犬部門。入賞した上位3頭は、予選、決勝ともに安定した立ち回りを見せてくれました。特に優勝した鈴木氏の「ハナ」号と準優勝の佐藤氏の「カイ」号については非常に僅差で、まさに甲乙つけがたい審査となりました。 犬の猟芸は、血によるもの、い

復興の有害鳥獣捕獲活動 〜 福島県浪江町・町民帰還を迎えた捕獲隊の今

平成23年3月11日、三陸沖に発生した巨大地震によりもたらされた東日本大震災。地震と津波による甚大な被害に加え、東京電力福島第一原子力発電所の放射能事故の影響により、福島県浪江町を含む県内の一部市町村には大規模な避難指示が出された。 浪江町では全町民が避難。人がいなくなった町では、人の代わりに猪などの野生動物があふれた。除染、復興活動が進むにつれ、町では有害鳥獣捕獲隊を結成し、町内各所に箱わなを設置するなど町民帰還に備えて捕獲活動を行った(その模様は旧誌『月刊けもの道』平成

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ジビエサテライトユニットとは? 〜 箱モノ問題をコンパクトに解決!! 移設可能なジビエ処理施設

有害駆除や狩猟で手に入れた野生肉をジビエとして利活用したい自治体や個人猟師たちは数多い。 しかし、最大の関門となるのが「野生肉の解体処理施設」=「箱モノ」の建設だ。土地の入手をはじめ、多額の初期費用が掛かる上、関連法令の施設基準を満たす必要がある。しかも施設は土地に固定されているが、いつまでも近くに目当ての野生動物がいてくれるとも限らず、近在の従業員を確保できる保証もない……。 そんな、あれもこれもと「箱モノ」にまつわる不安と悩みを解消するべく、岐阜県に登場した新たなコン