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春告草とまあるい背中 | 梅

春告草(はるつげくさ)

ー梅は、こんな名前も持っているらしい。

春を告げる草、というのはなんとも聞こえはいいが、
梅が咲く頃は、現代人にとってはまだ冬のただ中である。


外に出るのは億劫だし、
こたつで丸まっていたいし、
あったかいお布団にくるまっていたい。

それに、外もモノクロ。
カメラを持って出かけても、
ちょっとつまらない。


だけど、
寒さを言い訳にするのにもなんだか飽きて、
冬の冷たい空気を吸い込んでみたくもなって、
ぬくぬくから抜け出す決心をして
散歩に出かけてみる。


でもやっぱり寒い。

肩をすくめて
背中をまるめて
コートをぼこぼこに着込んで
冬眠から予定より早く起こされたのくまのごとく
のそのそ歩く。

歩く。

歩く。

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色のない世界に突然あらわれた、
まあるい蕾。
やわらかい花びら。

それに対峙したわたし、
まあるい背中。
やわらかいマフラー。

言葉だけならおおよそおんなじだけど、
そのエネルギーったら。

完全に敗北宣言である。

春 告げ 草

春を告げる、ということはある日突然出来ることではなくて
春になるその前から、告げるための準備をしていたってことだ。

私がぬくぬくこたつで怠けていた、その頃もずっと。


紅い梅は、艶やか。
白い梅は、上品。
これが春告草の、梅の、花言葉だという。

小さな小さな花だけど、
寒さに耐え凌ぐ強さ、
その言葉たちを飾るに値する花だ。


花言葉、なんて、
眺める側のエゴでしかなくて
当の本人(本花?)たちは、なんのこと?だと思うけど。


その気高さも、お見逸れしました。

冬の散歩道、

帰り道は少しだけ、背筋が伸びた。

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