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米不足が解消しても安心できない理由

令和の米騒動。昨日、今日とスーパーに行き、実際にお米が売られていないことを実感しています。
こういう状況になって改めて、お米も当たり前にあるものではないことに気づかされます。
 
原因として大雨などの天災もありますが、長年の減反政策もあげられます。これは人災と言わざるえません。加えて、インバウンドなどによる外食需要の急増も米不足をもたらしたとも言われます。
今回の現象は一過性なのでしょうか。私はそうは思えず、将来的には米不足が慢性化するのでは、と仮説ながらも考えています。
 
今回、インバウンドも原因の一つとなりましたが、今後、相対的に安い日本の物価や円安が続いた場合、海外における日本米の需要が高まる恐れがあります。実際、アメリカでは日本米がカルフォルニア米より安いというレポートも今年になり見られるようになりました。これまで日本米と言えば海外では割高であったため、輸出も限定的でしたが、品質高い日本米が割安となれば、輸出は急増する可能性があります。
 
そういえば、「元祖」米騒動として知られている大正時代の米騒動は、シベリア出兵などで必要となる米をどんどん輸出したために、少なくなった国内米の価格が急騰して民衆の生活が苦しくなり、発生したものでした。
将来、同じように日本米を海外に輸出した結果、国内では米が高価格食品となる可能性がないとは言えません。もはや一過性の米騒動ではなくなるのです。
 
もしかしたら、米生産の政策を抜本的に見直す時期に来ているのではないでしょうか。
国内人口が減少する、米食が少なるが故の減反政策でした。それは、先進国である日本で生産された米の価格は高く、最終消費地は日本に限られている、ということが前提の政策でした。減反政策自体はやめていますが、生産増加に向けた取り組みは行われていません。
 
しかし、日本が(残念ながら)発展途上国化しつつあり、そこで生産される農産物は海外において低価格となる、ということであれば、見えてくる景色が違ってきます。国内人口や米食の減少といった狭い視野ではなく、国際市場に対してどのように対応するのか、という視点が必要ではないでしょうか。
そのなかでは、米を増産するための取り組みもテーマとなるのではないでしょうか。
 
恐らく、目先の米不足は9月以降に新米が流通し始めると解消されるでしょう。しかし、ここで書いたような構造的問題が進むと、米不足は恒常的に発生するのでは、と危惧するのです。目先の米不足解消で安心せず、次のリーダー選出の議論のなかでも考える必要があります。

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