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矛盾に満ちて、葛藤があることも魅力的であることを気づかせてくれた歴史人物

歴史に関心をもつようになったきっかけは幾つかあるのですが、その一つに、現在のドイツの礎を築いたと言われるフリードリヒ大王(フリードリヒ2世、1712-1786年)との出会いでした。
 
中学生の時に、図書館にあった世界史の本をめくっていたら、このフリードリヒ2世の生涯を詳しく紹介している部分がありました。読み進めているうちに、私はこのプロイセン(現在のドイツの一部)国王にすっかり魅了されてしまいました。
 
その生涯は、本当に矛盾が一杯な生涯なのですが、それは不快感を感じさせるようなものではなく、むしろ魅力を感じさせるものでした。
 
兵隊王と呼ばれた父親に反発し、イギリスに亡命しようとした青年期。しかし、長じて国王になってからは、父親をはるかに超える軍人王となり、プロイセンの拡大に努めます。
 
権謀術数を薦めるマキャベリの「君主論」に反発し、「反君主論」を執筆しながら、プロイセンの国益の為に権謀術数を極めていきます。
 
軍人王として、また権謀術数を極めながら、一方でフルートを愛し、読書を好み、ヨーロッパの文化人の保護にも努めます。まさに、軍隊の最高指揮官として執務するその横で、フルートを奏でる国王が思い浮かびます。
 
絶対君主でありながら、当時としては国民の権利保護に努めます。「君主は国家第一の下僕」と言われ、朝早くから夜遅くまで仕事に励む姿には、ベルサイユ宮殿で豪遊していたフランス国王のような傲慢さは感じられません。
 
彼の生涯を振り返ると、どちらかというと文化系で、体育会系の父親に反発した青年期から、トップになる中で、「君主豹変す」の言葉通り、国王の役割を果たす為に父親を超える現実主義者となり、権謀術数を駆使するようになります。
 
しかし、その在り方だけが正しいとは思わず、文化を大事にし、何よりも国民を大事にすることを心掛けていました。

 
時には矛盾に満ちて、葛藤もあったのではないかと思うのです。しかし、それはフリードリヒ大王の魅力を減じるものではありませんでした。
 
一人の人間の中でも矛盾を抱えること、葛藤を抱えることが、むしろ人としての幅を広げることであると気づかせる歴史上人物のように感じます。

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