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AIが事実を提示する時代ほど、人間による真実の確認が必要となること

今週の7月20日(水)の日本経済新聞朝刊1面に、「AIの報道利用 日経はこう考えます 「責任ある報道」は人が担う」が編集局長名で掲載されました。AI利用がグローバルで問題となる中で、日経新聞としての考え方を表明されたものでした。
 
本掲載では、AIは社会を変えるイノベーションとしつつ、使い方によってはメディアの正確性や公正さを失うとしています。その上で、日経新聞としてAIの使用は限定的にすること、また使用時は内部チェックを徹底し、記事上もAI使用を明記するとありました。
 
新聞の作成プロセスに限らず、様々な情報を収集するプロセスにおいて、AI活用は劇的な効率化をもたらすでしょう。しかし、AIの誤った情報提示が誤った判断に繋がる恐れもあります。
 
歴史好きな私は、AIで生成されているChatGPTに歴史のことについて問いかけることがあります。試しに「関ケ原の戦い」について聞いてみると、次のような答えが返ってきました。
「1600年、徳川家康は織田信長の後を継いだ豊臣秀吉との間で、関ヶ原の戦いとして知られる戦闘において勝利を収めました。この戦いによって、豊臣秀吉の家臣団であった徳川家康は、天下統一を果たすこととなりました。」
 
驚くほど史実とは異なる答えになっています。徳川家康と戦ったのは石田三成で、「徳川家康は織田信長の後を継いだ豊臣秀吉との間で」というのは荒唐無稽な話しです。
しかし、これは「関ケ原の戦いは徳川家康と石田三成が戦った」という歴史的事実を知っているから回答が誤っている、と判断できるのです。もしこの事実を知らないとどうなるか。ChatGPTの回答が正しいと考え、歴史的真実と捉えることになります。
 
歴史に限らず、現在進行形の政治や社会、経済に関わる事実についても同じようなことがありえるのではないでしょうか。実際の事実とAI提示の事実が異なる場合に、実際の事実を知らなければ、AI提示の事実を正と考えるでしょう。そして、AI提示の事実をもとに判断することになりかねないのです。
 
それを避ける為には、AI提示の事実を真実とすぐに受け止めるのではなく、それが真実かどうかを人間が判断することが求められます。しかし、それは言うほど簡単なことではありません。
AIが無ければ、AIに頼らず事実を確認しないといけません。しかし、もしAIが事実を提示してくれるなら、人間は安きに流れ、それが真実かどうかを確認することはおろそかになるでしょう。
 
そうならない為には、今まで以上に人間が意識して、その目や耳で何が真実かを現地現物で確認することが求められそうです。

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