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リーダーとして必要な資質を一人で全てもつ必要はない

ドラッカー氏の名著「マネジメント」の下巻を読んでいると、「第51章トップマネジメントの構造」の冒頭で「トップマネジメントの仕事とは、一人の仕事ではなく、チームによる仕事である。トップマネジメントの役割が要求するさまざまな体質を、一人で併せもつことはほとんど不可能である。」という一節がありました。
 
そして、その後にヘンリー・フォードがフォードを創業した後、優秀な幹部とトップマネジメントチームを組んでいた時は急速に成長した後、その優秀な幹部がやめ、ヘンリー・フォードがワンマンになってからフォードは衰退し、倒産の危機まで遭遇したとあります。
 
私はこの一節を読んだ時、日本の豊臣秀吉・秀長兄弟のことを思い浮かべました。
 
豊臣秀長は、豊臣秀吉の弟でありながら知名度が高くありませんが、秀吉の名補佐として評価されています。
 
秀吉は、無理してでも大きな目標を立て、それを成し遂げる為に余人にはできない努力を尽くしていきます。しかし、その過程では、無理な負担を強いられる家臣や、秀吉に嫉妬する同僚等、多くの軋轢を生みます。
 
そうした内部、周囲との調整を、この弟秀長が一手に引き受けていきます。そのことにより、秀吉は、通常であれば成し遂げ難いような目標を実現していったのだと思います。
 
恐らく、秀長がいなければ、秀吉は大きな目標を実現する前に、様々なプレッシャーの中で押しつぶされていたのではないでしょうか。天下人、豊臣秀吉は生まれなかったのです。
 
実際、秀長が秀吉に先立って亡くなった後、秀吉は暴走をはじめて混乱を招来し、秀吉死後には豊臣家が滅亡します。
 
まさに、秀吉の場合は弟秀長とトップマネジメントチームを組むことにより、天下人として求められる資質を役割分担し、天下統一という事業を進めて行ったのです。逆に、秀長が亡くなり、秀吉一人となった途端に、天下人としての資質が欠けてしまったのです。
 
考えてみると、リーダーとして必要とする資質を一人で持つというのは、神様でもない限り難しいことなのだと思います。
 
ともすると、自分が持っていない資質を持っている人に対しては複雑な感情を持つことも、どうしても人間なのであると思います。しかし、そこを乗り越えられるかどうか、というのもリーダーとして大事な器のようにも感じます。

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