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広島開催のG7に水を差している債務上限問題とは

現在、広島で開催されているG7、先進7か国首脳会議。想定外のウクライナ・ゼレンスキー氏の来日参加もあり、中国・ロシアといった権威主義国に向けてメッセージを送る重要な会議となっています。
 
そんな中、アメリカのバイデン大統領は20日午前の会議を欠席されました。その理由は債務上限問題に対応するためで、元々バイデン大統領はこの対応の為、オンライン参加を検討していたほどです。
 
この大事な会議に水を差す結果となった債務上限問題とは何なのでしょうか。
 
債務上限とは、アメリカ政府が発行できる国債などの総額は法律で定められていることです。上限引き上げには議会の承認が必要で、認めらなければ国債の元本や利息を支払う資金が調達できず、債務不履行(デフォルト)に至ります。
 
現在、債務上限は31.3億ドル(約4230兆円)ですが、既に上限一杯で、上限を引き上げが必要です。しかし、バイデン政権と野党共和党が対立し、引上げの見込みが立っていません。これが債務上限問題で、もし引上げされなければ6月にはアメリカ政府の資金繰りは行き詰まるとも言われています。
 
ここまで至った原因として、コロナ禍による財政支出拡大と政治対立の激化がああります。
 
アメリカ政府はコロナ禍の中、失業者給付を拡大する等、財政支出を拡大しました。財政支出拡大は国債の大量発行に繋がり、債務は拡大したのです。
 
こうした債務拡大は、財政支出の縮小を目指す野党・共和党の反発を招いています。特に共和党保守派の反発は大きく、共和党幹部も保守派に配慮しないといけない状況です。
 
このような背景があり、バイデン政権と共和党との対立に繋がり、債務上限の見通しが立っていないのです。
 
今後の見通しは不透明です。デフォルトとなればアメリカ経済に与える影響が大きい為、最終的にはバイデン政権、共和党ともに妥協するとの見方があります。しかし、近年のアメリカの政治対立は激しくなっており、余談は許しません。もしデフォルトになれば建国(1776年)以来初となり、アメリカの威信は低下します。また、足元の物価高や金利上昇と相まって、デフォルトはアメリカの景気悪化に繋がるでしょう。
 
アメリカの景気悪化は、輸出産業をはじめとして日本にも大きな影響を与えます。債務上限問題は日本の景気にも影響を与えるものですので、しばらくの間注視が必要です。

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