「保守派」と「リベラル派」の違いはどこから生まれてくるのか?
【認知的不協和】「ピラミッド思考」と「フラット思考」
人は生まれたときから、“ピラミッド支配構造”の管理競争社会の抑圧(ストレス)の中で生きていかなければならない。その中で様々な【認知的不協和(矛盾)】が生じてくる。
この【認知的不協和】の中で、様々な問題が生まれてくる。
ピラミッド型社会の中で、過干渉・同調圧力が強まれば強まるほど、承認欲求や優越欲求(攻撃欲・支配欲)が高まり、その鬱屈のはけ口として、弱者への虐待やいじめやパワハラやセクハラや差別、誹謗中傷、非行や自殺や精神的な病気、また、不正や嘘や詐欺やカルト宗教や戦争が蔓延する。
そして、やがてその『負のスパイラル』の中で『古い認知(ピラミッド思考・支配と服従)』に疑問を持った者の中から、暴力の連鎖を断ち切るために『新しい認知(フラット思考・自由と平等)』が生まれてくる
その「ピラミッド思考」と「フラット思考」の対立の中で、自分の“行動”を正当化するために『古い認知』を絶対化しようとする「保守派」と、その『古い認知』を懐疑し、『新しい認知』を取り入れ、改革していこうとする「リベラル派」に分かれていく。
ピラミッド型社会(縦社会)=権威を絶対化し、既得権益を守り、国旗国歌・靖国神社を強制しようとする「保守派・御用学者・ネトウヨ・改憲派」に対して、その構造を改革し、権力者の責任を追及し、フラット型社会(横社会)=自由・平等・人権尊重・差別解消・協調共生・自然保護・平和主義を目指そうとする「リベラル派・護憲派」に分かれる。
国家・権力者と自分を同一化しようとする「保守派」と、国家から自立しようとする「リベラル派」に分かれる。
その「保守派」と「リベラル派」、または「ピラミッド思考」と「フラット思考」に分かれる原因はどこから来るのか?
【脳の構造】「保守派」と「リベラル」の違い
その【脳の構造】を図で表してみると、↓のような傾向があると言える。
つまり、「保守派」は周囲の脅威に敏感で、自分の存在を守ろうとする防衛本能(不安・恐怖)から、集団主義・権威主義・全体主義・排外主義的な行動をとりやすい。縁故主義・友達優遇・地位保身に走り、規則の絶対化・家父長制・男尊女卑・夫婦同姓・スパイ防止法・厳罰化・軍備増強などを主張し、他者に強制し、異質者を攻撃・排除することで仲間意識を高め安心しようとする。
それはつまり、『問題』が生じたとき、あるいは『脅威(不安・恐怖)』に襲われたとき、『認知的不協和』が拡大したときの脳の反応と、それにどう対応し、どう行動するかによって、「保守派」と「リベラル派」に分かれる、と言える。
「ピラミッド思考」と「フラット思考」の関係
また、その脳の構造の違いが、「他責思考」と「自責思考」を分ける原因とも関係してくる。そして、それが『歴史認識』の違いとなって表れてくる。
認知的不協和が拡大したとき⋯、失敗、敗北、挫折などの自分の思い通りに行かないとき、何か問題や事故が起こったとき、どのようにしてその不協和を解消しようとするか?
それはその人の《脳の構造》によって決定されると言って良い。
それが地球温暖化、公共事業、五輪万博IR・原発・リニア・辺野古埋立、“LGBT法”や“夫婦別姓”への対応になって表れる。今までのやり方に拘り、既得権益、ピラミッド型権力支配構造、差別構造を守ろうとするのか?それとも、その問題点を認め、今までのやり方を改革しようとするのか?
それが「保守派」と「リベラル派」、あるいは「改憲派」と「護憲派」に分かれる原因となる。
つまり、それは言い換えると、人間は昔から、どの時代も、どの地域・国でも、どの宗教・政治体制でも、「保守派」と「リベラル派」に分かれている(分けることができる)と言うことができ、それは『脳の構造』に依存している。
そして、その脳の構造上、人間の一定の割合で「ピラミッド思考」の人と、「フラット思考」の人がいて、その綱引きの中で人類が発展してきたと言っていいだろう。
それが、昔から「性善説」と「性悪説」の対立、また「儒教」と「道教」、「カトリック」と「プロテスタント」、「過激派」と「穏健派」、「タカ派」と「ハト派」などの対立となって表れてきた。
しかし、それが一方通行になったとき、例えば日本の戦時中のように、「鬼畜米英」「進め一億火の玉だ」「一億特攻」などのプロパガンダのもと一体になったとき、『負のスパイラル』に陥る。
そこでは、『不安・恐怖・被害妄想』が増大する中で権力批判を許さず、反対者を次々と粛清していき、抑制が効かなくなり、ファシズムに突き進み、結果、破滅へと突き進む。
参考)
グロ画像を見た時の脳の反応で政治的傾向が右なのか左なのかがわかる?(米研究) - カラパイア
【脳の構造】『理性』と『本能』の関係
脳の成長と『理性』と『本能』の関係
脳は「知性・社会性等」を司る『理性』と、「感情・欲望等」を司る『本能』に分かれていて、『本能』から湧き出る「感情・欲望」を『理性』が制御コントロールすることによって、 人は思考・判断・決定し、行動を起こす。
『本能』から湧き出る、「○○が欲しい」「△△をしたい」とか、「他者に勝ちたい」「金持ちになりたい」というような《感情・欲望》に対して、“その目的を達成するためにはどうしたら良いか⋯” “今これをしたらどうなるか⋯”など、様々な選択肢の中から『理性』が客観的・俯瞰的・多角的に見て考える。
そこで「今は必要ない」「身体に害をなす」 などと行動を抑制したり、「他者に迷惑をかけた」「失敗した」などと過去の行動を反省し、もう二度とやらないように注意したり、逆に 「こうすれば解決する」「こっちの方法が良い」などという意欲・創意・工夫が出てくる。
脳の発達ー「自立するということ」
子供の頃は『大脳辺縁系(本能)』の比重が大きく、生きていくためには、「親に守ってもらいたい。甘えたい。 構ってもらいたい」という思いで一心だったのが、思春期(反抗期)の頃から『前頭葉(理性・抑制機能)』が発達するに連れ、視野を広げ、自分で生き方を判断・選択できるようになり、親の「命令・期待」に対して自分の「意志・信念」を守ろうとする《自立心》が生まれてくる。
遊びや勉強など、社会で生きていく中でいろんな興味や疑問を持ち、冒険や試行錯誤、失敗や挫折をくり返しながら、危機や困難にぶつかった時、「どうしたら解決できるか?」という、いろんな選択肢や可能性を“柔軟”に広げることができるようになる。
そうして人は、経験の中で前頭葉(抑制機能・葛藤)が発達していくことで『自立』していく。
自立とは依存先を増やすこと
しかし、その脳の成長(思考の深さ・柔軟さ)には個人差がある。
大人になっても、どんなに良い大学を出ていても、一面的・短絡的思考で、善悪二元論・白黒思考でしか物事を捉えられない人、規則ルールを絶対化し、それを人に強制しようとする人、相手の立場に立って考えられず、すぐにキレる人、常に自分の利益を追い求め、他者には厳しく規律を求めるのに、自分の欲望・行動を抑制できない、自分の責任を認められず、反省できず、すぐに他者に責任転嫁しようとする人もいる。その個人差はどこから来るのか?
神経伝達物質バランスの異常
その「理性」と「本能」の関係(脳神経ネットワーク)を形作っているものは“神経伝達物質”である。
そして、その神経伝達物質のバランスは『遺伝的要因』と『環境的要因』で決まり、その中でもストレスへの耐性を決める要因として幼少期の育った“環境”が大きく影響し、特に《不適切な養育(マルトリ)》によって『脳の構造』が大きく変わってくる。
人間は『強いストレス』がかかったり、『日常的・慢性的なストレス』がかかり続けると、身体がそれに反応し、神経伝達物質のバランスが変化する。
ストレスがかかると、ドーパミン、ノルアドレナリンが過剰分泌され、セロトニン欠乏が起こる。その反応は、本来、脳を覚醒させ、集中力・判断力を高め、やる気・意欲・闘争心を向上させる。それは危機に対応するための『防衛本能』であるが、一方で、それが慢性的に続くと「不安・恐怖」を感じる『扁桃体』が活性化され、過敏になる。
そうすると、ちょっとしたことでストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌量が増加し、その濃度が上昇するにつれて、徐々に脳の神経細胞の活動が低下し、海馬が萎縮し、前頭葉の機能が低下し、感情の制御ができなくなる。
そのことが、理性的・合理的・抑制的な判断ができなくなり、すぐにキレたり、非行に走ったり、自殺する原因となる。
よく犯罪を起こした人⋯体罰・虐待・あおり運転・窃盗・性犯罪・レイプ・不正汚職事件など、「覚えていない。記憶にない」と否認し、嘘を付き、「自分は悪くない。相手が悪い。秘書が勝手にやった。誰かが自分を陥れようとしている。相手が嘘をついている」と、責任を他者になすりつけ、自分の責任を矮小化ようとする。
それは
などの脳のネットワーク・バランス異常が影響していると考えられる。
そのために、自分の行動を客観的・俯瞰的に認識できなく、行動を反省し、欲望を抑制できなくなっていると同時に、都合の悪い記憶を消し去り、都合の良いように書き換える。現実と妄想・願望の区別がつかなくなる。
そこでは、『感情・欲望』が暴走する中で、自分の行動を正当化するために平気で嘘をつく“サイコパス”になる。嘘をつくことに葛藤がなくなり、嘘と現実の区別がつかなくなり、罪悪感や良心の呵責がなくなる。
前頭葉の機能低下するとキレやすくなり、嘘つきになる。息を吐くように嘘をつく。嘘をついているという自覚がなくなる。→サイコパス
『サイコパス』と【脳の構造】
以上などのことから、
サイコパスは、脳の《報酬系(線条体・即座核)》と《前頭前野・前部帯状回(抑制機能)》の関係(バランス)において、《報酬系》の増大・暴走と《抑制機能》の機能低下がある。
そうなると、
それが、政府批判、権力批判に対して、「日本は悪くない、悪いのは外国だ!」「日本を貶めようとしている。日本人ヘイトだ!」となる。
ここから分かるのは、自信満々で饒舌で「優越の錯覚」が強い人ほど、平気で嘘をつける傾向があり、その背景には《前頭前野・前部帯状回》の抑制機能低下、葛藤の低下がある。
またそれが、人が「保守化」する原因ともなる。
そこでは、自分の行動を正当化するあまり、責任を相手に押し付け、激しく相手を攻撃しようとする。