第7話

    ≪セレブ in Love ~パリスの恋~≫


 第7話 <戦慄の鎮魂歌(レクイエム)>

 突然、一人のSPが部屋に駆け込んできた。

 『お嬢様!! 火事です!! 早くお逃げくださ・・・うっ・・・』
  ・・・バタッ・・・

 「ちょ、ちょっと、アナタ! どうしたの!? え・・・?」

 『死んでる・・・。 どうやら、危険を知らせる為に走って来る時、煙を吸い過ぎたみたいだな・・・。』


 部屋のドアを開けると、 廊下は黒い煙に覆われ、すぐそこにまで炎が迫っていた。

 「なっ・・・!?」

 『マズイな・・・、逃げるぞ!!』

 そう言うとバップは、パリスの手を引き廊下へ飛び出した。

 

 『オイ! 階段はどっちだ!』
 「このまま真っ直ぐ行けばあるはずよ!」
 『アレかっ!!』

 
 しかし、下の階からは黒煙が噴き出す様に昇って来ていた。


 『クソ・・・! ちょっと待ってろ、下を見てくる』

 バップはその場にパリスを残し、階段を下りた。

 階段を一段下りるたびに、急激に温度が上がり、モウモウと湧き上がる煙で視界はゼロに近かった。

 (クッ・・・これは無理だ!!)

 『こっちは無理だ!!』

 バップはパリスの方を振り返った。


 すると、パリスの頭上に、柱が崩れ落ちてきた!!


 『あ、あぶないっっっ!!!!!』

 「き、きゃぁぁぁあぁぁぁ!!!」


 その瞬間、何者かがパリスを突き飛ばした!


 ズドォォォッォオンンンン・・・


 パリスが恐る恐る目を開けると、柱の横に誰かが倒れていた。


 「・・・!!! ・・・ジ、ジョーイ・・・!!?」

 そこにいたのは、ボーイフレンドのジョーイだった。


 「ジョーイ!? 何でアナタがココに・・・!?」

 『へへ・・・お姫様のピンチを助けるのが、騎士(ナイト)の役目だぜ・・・そうだろ、パリス姫?』

 「ジ、ジョーイ・・・」

 『へへ・・・でも、今回ばかりはドジっちまったようだぜ・・・ぐぅッッ!!』

 「・・・え?」


 見ると、ジョーイの足は柱の下敷きになっていた。


 「ジョーイっ!!! 今、助けるわ!!」

 『無理だっ!! いいから早く逃げろっ!!!』

 「で、でも・・・」

 『屋上にあるヘリで脱出しろ。』

 「でも・・操縦なんて出来ないわ!」

 『オレの部下を手配しておいた。 なんとしても屋上まで辿り着け。』

 「でも、でもジョーイが・・・!!」

 『ヘイ!! そこのJAP!!』

 「・・・!?」

 『貴様みたいな頼りないヤローに任せるのはシャクだが、そうも言ってられない状況だからな・・・。
 
      ・・・・・・・パリスを頼んだぜ・・・・・・・』

 「・・・ああ。」

 『ここもどうやら限界みたいだぜ・・・』


 柱が倒れた事により、天井が悲鳴を上げていた。

 「パリス、行くぞ!!」
 「イヤよ! ジョーイ!! ジョーイ!!」

 『行くんだっ! パリス!!』

 ガラガラガラッッッ・・・!!!

 天井が崩れだす中、バップはパリスの手を引いて走った。

 『へへへ・・・“Good Luck ”・・・!!!』


 巻き上がる粉塵の中、しだいにジョーイの姿は消えていった・・・。

 「ジョォォォォオォイイイイィィィィィィイッッッ!!!!!!」 


              第8話につづく・・・ 

2006.09.01

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