【WSET diploma】 D3 Theory 試験レポと所感、反省
【この記事は、2020年11月に執筆したものを修正し再投稿したものです】
みなさん、こんにちは!
WSET最難関のdiploma。
その中でも最も多くの挑戦者を蹴落としてきたユニット……そうD3 【Theory】!
D3の試験はいったいどういう内容で、どういうレベルなのか。
これからWSETに挑戦したい、diplomaを目指したい、という方にとって、何より興味があるテーマかもしれません。今回は冗長になりすぎず簡潔にお伝えするように努めます!!(いつも長くてすみません)
前回のD5(酒精強化)レポに引き続き、D3試験の内容と、ぼく自身の回答と反省、そして「おそらくこういう回答が求められるのでは?」というぼくなりの考えを共有したいと思います。
2020年10月 D3 Theory
概要:
試験は午前と午後、2回に分かれています
午前が2時間。4問が出題され、そのうち3問を選択回答。昨年は旧世界のみが出題。今年も旧世界のみでした。
午後が1時間20分。3問が出題され、そのうち2問を選択回答。昨年は新世界のみが出題。今年は新世界が2問、ポルトガルが1問でした。
問題原文はここには書きませんが、それぞれ1行程度のシンプルな問題です
だいたいこんな感じです
「畑、ワイナリー、セラーの要素がAOC◇◇の生産に与える影響は?」
「〇〇が世界的に人気な理由は?」
「△△のシステムの弱みは何か?それに対して▲▲が取っている対策は?
実際に回答するのは午前3問、午後2問の計5問だけ。
3時間20分もの長丁場にかかわらず、問題はこれだけなんです。
いかがでしょうか?
この時点でD3試験の恐ろしさに気づいた方は鋭いですね。
…そうです。
ソムリエ試験、WSET Level3といったワイン試験に比べて、
出題される範囲がひじょーーに狭いのです(というかピンポイント)
にもかかわらず、1問あたり約40分かけて回答しろ、と。
つまりそれだけ深い内容が問われている、ということですね。
D3の範囲は全16カ国。
ところが今回の試験で登場したのは
イタリアの某産地
フランスの某産地
ドイツ
オーストラリア
ニュージーランドの某産地
ポルトガルの某産地、これだけです。
もちろん、どの国が出るとか事前情報は一切ありません。
これ、裏を返せば、勉強した範囲の大半は試験に出ないということです笑
あんなに頑張ったカリフォルニアは1mmも出ないんですか!
スペインの重要生産者をせっかくリストアップしたのに誰も書かせてくれないんですか!
・・・試験中はみなさん静かですが(当たり前)、きっと心の中で同じことを叫んでいたと思います。
それでも、これらの問題一つ一つに対して40分かけて記述できるだけの深い理解が必要なのがLevel4、diplomaなのです。
「広く浅く」でも「狭く深く」でもないんです……広く深く!
試験前日談
さて、こんな偉そうなこと言ってますが、ぼくは受験者です笑
そりゃもう試験前なんて必死にノート見返したりまとめ直したり、超テンパってましたからね!
そんな「いちチャレンジャー」が試験中にどう回答したかは、みなさん気になるところかと思います!
ということで、試験直前から試験終了までのぼくの頭の中をダイジェストでお送りします!(こういうことするから長くなる)
D3試験前日。
diploma試験【D3 / D4 / D5】は年に3回、1月・5月・10月にまとめて開催されます。試験は3日間にわたり実施され、その中で各受験者が自分の受ける試験だけを選択し、受験します。
1日目にあたる10月27日、奈良から東京に移動。
ちょうどD4を終えた友人と言葉を交わした後、入れ替わる形で午後3時にD5を受験。
準備不足が否めないものの、まあなんとか力は尽くせたことにほっとする。
キャプランのすぐ近くに宿をとっていたので、試験終了後はまっすぐ自室に戻って持ってきたノートを片っ端から見ていきます。
メインのノートはiPadに収納し、最後のキーフレーズノートは王道のCampusに作成しておきます(受験生時代に活躍したあの赤いシートが20年ぶりに大活躍しました)。
ぼくはわかっていた。脳の天敵は睡眠不足。
夜の10時まで復習して、それから湯船につかって、11時には就寝する。ホテルは乾燥するから、ちゃんと加湿器もつけて、うるおいマスクもつける。
完璧だ。まるで伝統の一戦、リーガ・エスパニョールのクラシコ前の選手のように、準備万端である…ここまでは。
目を閉じる。
深呼吸。
寝れない
リラックスできる音楽をかけてみる
深呼吸。
寝れない
寝れない!
頭が冴えに冴えて寝れない!!
そんなばかな
布団に入れば3分以内に意識がなくなることで定評のあるぼくが
寝れないなんて…!!
と、思えば思うほど焦り、寝れなくなる負のループ。普段こういう経験しない人間ほど余計に焦るのでしょう。まぶたの裏に文字がちらつく。プリオラートの格付けが浮かんでは消える。フィンガーレイクの魔の手が前頭葉に襲いかかる…!(なんのこっちゃ)
結局枕の位置を変えてみたり布団を変えてみたり、1時間起きくらいにトイレに行ったり、試行錯誤をしたもののきちんと寝ることができず、頭がふわっとした状態のまま朝を迎えてしまいました。
ええい。もうこうなったら朝日で鬼を焼き殺してくれるわとラスト2時間の復習(意味不明)。
そして10時、試験会場へいざゆかん。日の光が眩しい。殺したのは鬼ではなく己の身であったか。
頭がぼうっとするのと同時に、ちょっと熱っぽい感じも。ええ!?待てよ。もし熱があったら入室すらできないじゃないか!大丈夫か僕は。実は寝不足で風邪引いて熱出しててそれで頭がぼうっとしてるんじゃないだろうか。あわわわこれで受けれなかったら一生の不k
「36.5度です」
……。
無事通過。
試験開始!
午前10時半から順次入室、10時50分に封筒が配られ、必要事項を記入していきます。ああ、この中に用紙が入ってるんだな…どんな問題なんだろう、どこの国、どこのワインが出題されるのだろう、ドキドキ。。
ただ不思議なもので、いざ本番となると、心が落ち着いてくるんですよね。さっきまでのふわふわした頭もだんだん冴えてきました。
気持ちをこめて、受験番号を1字ずつ書いていきます。全集中!
そういえば、筆記具についての指定がないんです、WSETは。
イギリスで受験したときも、クラスメイトの子がボールペン1本で挑んでてぎょっとした覚えがあります。消しゴムで消すんじゃなくて、ボールペンで「シャッ!」と2本線引いて、その後また書き始めるほうが早いんだとか。確かにExaminer's reportの回答例でもそういう回答用紙があったな(Examiner's reportについては次回お伝えします)。
ぼくはスペルミスを何度もしてしまうので、消しゴムで消さないと自分が読めない状態に陥るので、えんぴつと消しゴムで挑みます。
いよいよ午前11時!ゴングが鳴りました!カァーーン!
(実際はとても穏やかな声で「はい、始めてください」)
午前の部の4問が、初お目見えです。(きゃーースペインがないーー涙)
ここで、どの問題を回答するかを考えます(=回答しない1問を捨てます)。
4問中3問を回答するわけですが、おそらく問題ごとで採点者が違うのでしょう、必ず問題ごとに回答する紙を変えるように指示されます。そしてその紙に、どの問題を回答しているのか、番号を記入する必要があります。
今回、ぼくはQ2を捨てました。その時間わずかに5秒笑。即決!
なぜかというと、Q2は一見簡単そうに見えてすごく答えるのが難しい内容だからです。「なぜ〇〇はこんなに世界的に人気があるの?」と聞かれて、口頭だったら話せるかもしれません。しかしこれを文章で論理的に回答しようとすると、なかなかの推敲が必要になることが想像できます。そして正解があるような無いような問題は、採点者を納得させられるだけの論理性と広い見識が必要です。
さてQ2を捨てて、残りの3問に集中しましょう(もうスペインのことは忘れましょう)
…と
ここで、いきなり書き始めるのは危険です。
1問あたりざっくり40分の記述時間があるとして、最初の5分間はどういう構成にするかを考える時間に充てます。
そうしないと、途中で論理が破綻していることに気づいても、書き直すことが困難なのです。
ぼくの場合、まず問題用紙の余白部分に、キーフレーズをメモしていきます。
(キーフレーズについてはD5編を参照ください)
例えばバローロの場合、「ピエモンテの気候」「標高」「土」「秋の天候」「ネッビオーロの特性(晩熟、樹勢が強いetc)」「仕立て方」「クローン」「収量規定」「MGA」「醗酵容器」「マセレーション期間」「熟成容器」「熟成期間」「伝統→モダン→現在のトレンド」といったキーフレーズを書いていきます。
その後、キーフレーズを線で囲ったり、関連しているものをつないだりして、文の構成を考えます。
構成ができたところで、ようやく文章を書き始めます。
ぼくの場合は、3問全てのキーフレーズを書き出したあとに、最初の文章に取り掛かりました。
各問題の考察と反省
さて、やはり長くなってますね。ごめんなさい。
それぞれの問題原文、試験中に感じたそれぞれの問題のポイントと、試験後の反省を以下に記録しておきます。
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