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スガ首相は”無能”なのか?スガvs岸田の一騎打ちが予想される9月の自民党総裁選が日本の進路を強烈に分ける分水嶺になるという話・・・を書こうと思ってたら総選挙やるの!??・・・と思ったらスガさんやめるの!??。

トップ画像はウィキペディアよりお借りしました。(この記事、9月に総裁選があるという前提で書ききってアップする直前に9月に先に総選挙やるってニュースが流れて、えええ!?ってなったんですが、話の内容としては意味があると思うのでとりあえずこのままアップします)

(後日追記・・・結局総裁選はやることにした・・・かーらーのースガ氏は出馬しない!!まで来て、もう何がなにやらですが、そういうことで、とりあえずスガ氏と岸田氏を比べるとどうなのか、について考える記事として読んでください)

月末までにもう一本、「アフガン撤退がもたらす情勢変化で、”歴史認識問題”はどう変わるか」みたいな記事を書こうと思っていたんですが、こんなマジ可燃性の高いネタを書くには準備する時間が足りなかったので(近々やります)、ここでは個人的な、「9月の自民党総裁選」についての予想や、それにまつわるアレコレの背景分析みたいな記事を、主に購読者の人向けに書きたいと思っています。

なんか、今回の9月の自民党総裁選は、この国の方向性を決定づける上で物凄く重要な分水嶺になるような感じがしていて、一応「スガvs岸田(あとはかなり確率が低いダークホースとして高市さん)」的な構図になっているみたいなんですが。

スガ総理の豪腕っぷりは、たとえば野党などの求めに応じてわざわざ国内治験を別にやることで出遅れたワクチン接種を世界一レベルのスピードで追い上げさせたりとか、「何もやってない無策」とか巷間言われてるのと実体は遥かに違うレベルの有能さはあると思うんですよね。

スガ氏が最初一日ワクチン100万回とか言い出した時は野党もメディアも「そんなの無理だ適当な数字合わせを言うな」的な非難の大合唱だったけど普通に実現したし、それが実現してなければ今頃デルタ株の世界的流行で高齢者層に死体の山が築かれていた事は間違いない。

「ゼロコロナを目指すけど政府の権限強化には反対」とか荒唐無稽すぎるわけで、中国か少なくとも台湾レベルの権限(違反者に罰金を課せるとか、個人情報をある程度は一元管理できるとか)を政府に渡すのか、それがイヤならスガ氏のやり方は「制約条件を考えるとかなり上出来」という評価すらありえると思う。

「ワクチン一本足打法」とか揶揄されるけど、「一番大事なこと」に集中してブレないっていうことはそれ自体は悪いことじゃないというか、「アレコレ手を出すけどどれも微妙」よりは百万倍良い。

評論的に「一本足打法で他が見えてない」とか言う人は、「一本足をちゃんとやりきる」ことだけでも今の日本の政治でいかに大変なことかがわかってない。(これは頭良さそうなコンサル体質の人でもちょっとそのへん軽視しすぎてるだろって思うことはある)

欧米のリーダーの「鎮魂パフォーマンス」的なことがやたら褒められるけど、そういうのはカルチャーの問題であって上下をつけて論じること自体が21世紀にはレイシズム(どうせ日本人リーダーがやったら気持ちがこもってないとか嘘くさいとか言い出すだろうし)だし、「そんなこと」の一方で死者が積み上がる(さらにはクオモNY知事みたいに隠蔽までする)よりは、「一番大事な部分」を抑えて崩壊を免れた方がいいに決まってるわけで。

地味だけどちゃんと「一番大事なコア」を外さずゴリ押しした点は、バラバラのセクショナリズムが常に大問題な日本においては高く評価されてもされすぎということはない。一般的にいわれる「何もやってない」みたいなことは全く間違っているといえる。

ただ、対面コミュニケーションが絶望的にダメというか、よほど好意的にこちらから理解しようとしにいって補足資料とかも自分で読み込むぐらいじゃないと、会見で何言ってるのかそもそも全然わからん事が多いし、なにより

全体的にあまりにも「肉を切らせて骨を断つ」方式すぎる!!

というか、そりゃアレコレ細部まで「行き届いた」ことができたほうがいいに決まってるという話ではある。

必要な病床拡大も、必要な検査拡充も、社会全体がお互いを悪魔化して一切理解しあわない議論百出の混乱の中で、「一番大事な”ワクチン接種を最優先に全力でやる”の優先順位が吹き飛んでしまわないように守り切る」だけで精一杯になってしまって、それ以上のことができなくなってしまっている。

特に「一部ではできているベストプラクティス的な良い施策」を横展開することがもっとスムーズに起こせていれば、「骨を断つのに集中するのはいいけど斬られる”肉”の身にもなってくださいよ」的な問題も回避できたはずではある。

マクロに見れば「肉と骨」は一目瞭然に違うけど、ミクロに見た時「肉」として斬られちゃう人にとってはたった一つの大事な命だったりするわけだしね。

そこは私が著書や色んなウェブ記事で述べてきたように、「首相の問題」でありつつ、「日本社会の言論状況全体」の問題として、「相手を悪魔化して騒ぐ以外の冷静な議論」がちゃんとできるようになっていかないと実現できない課題ではある。

つまり、我々自身が当事者意識を持って解決しなきゃいけない課題ではあると思う。

そしてそれは以後、岸田さんになった場合の日本が成功するか失敗するかの分水嶺にも繋がるわけですよね。

一方で岸田さんってどういう人なのか、出身派閥の「宏池会」ってどういう存在なのか、そこにいる議員の性質・・・を考えると、今まで90年代なかばの橋本龍太郎政権の行政改革以降?ぐらいずっと続いてきた「権力を官邸に集中させる型の政治主導」的な流れを根底的に覆すほどの「転換」になるのかもしれない、というような感じはしています。

何人か「宏池会」の人が話しているのを見た感じでは、なんか「就職偏差値」が高そうな大企業の社員と話しているような、自民党議員にこんな人たちがいるのか、的な驚きが一方ではありつつ、「普通に優秀そうだが、しかしこれでいいのかな」的なそこはかとない不安もある感じがあるんですよね。

普通に英語できる、普通に国際情勢とか詳しそう、普通に頭いい、普通にロジカルな話し方ができる・・・みたいな「ある意味で優秀」な人たちが結構いそうなんですが(”お公家集団”とか呼ばれているらしい)、そういうお公家さんだけで「日本社会」という沼をちゃんと切り回すだけのパワーを持てるのかどうか。

もし岸田首相になったらその「変化」は、もしダークホースとして高市早苗さんが当選して初の女性首相が誕生するよりも、もっと大きな「変化」になるんじゃないか・・・と感じています。

それが吉と出るのか凶と出るのか・・・それはまだわからないが、その「違い」についてどう考えればいいのか、もし「岸田首相」になったとして単にさらに何もできないグダグダ社会にならないために必要なことは何なのか・・・について多面的に考える記事が以下に続きます。

ってええええええ!!!!!

ここまで書いてアップする寸前に「9月解散の意向」っていう衝撃ニュースが入ってきたんですけど!!!

マジで?

なんか話が変わってきちゃいましたけど、とりあえず現時点で「スガは有能なのか?もっとインテリっぽい岸田氏と比べてどうか?」という観点では意味がある記事になっているのでとりあえずこのままアップしますね。

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