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アルコール依存症の診断・治療ガイドラインの主な要点

アルコール依存症の診断・治療ガイドラインの主な要点は以下の通りです:

  1. 診断基準
    ICD-10の診断基準に基づき、6項目のうち3項目以上が1カ月以上同時に生じているか、12カ月以内に繰り返し生じている場合にアルコール依存症と診断されます。

  2. 治療目標

  • 原則的に断酒の達成とその継続が目標です。

  • 近年は「ハームリダクション」の概念に基づき、飲酒量低減も治療選択肢として認められつつあります。

  1. 薬物療法

  • 断酒目標の場合:

    • アカンプロサートが第一選択薬(1回333mg錠を2錠、1日3回食後に服用、原則6ヶ月間)

    • ジスルフィラムやシアナミドは第二選択薬(6-12ヶ月間)

  • 飲酒量低減目標の場合:

    • ナルメフェンが近い将来臨床使用可能になる可能性があります

  1. 心理社会的治療
    断酒維持のために、薬物療法と併用することが重要です。

  2. 治療アプローチ

  • プライマリケア医や内科医、研修医でも初期のアルコール依存症患者に対応できるよう配慮されています。

  • 専門医療機関への紹介が困難な場合は、一般医療機関でも治療を行うことが推奨されています。

  1. 回復の見通し

  • アルコール依存症は慢性疾患であり、継続的な治療が必要です。

  • 断酒により、アルコールによって萎縮した脳は徐々に回復する可能性があります。

  1. 治療の個別化
    患者の状況や希望に応じて、断酒か飲酒量低減かの治療目標を選択します。

このガイドラインは、アルコール依存症の早期発見・早期介入を促進し、より多くの患者が適切な治療を受けられるよう設計されています。

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