keizo murai

キヤノン株式会社、そしてアメリカのゲームメーカー、エレクトロニックアーツのアートディレ…

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キヤノン株式会社、そしてアメリカのゲームメーカー、エレクトロニックアーツのアートディレクターを経て、今は絵本のwebストアを運営する絵本クリエイター【毎週土曜日、読書会やってます。本のことお話しましょう!】

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人は「趣味の時間」だけで生きていけるのだろうか。

2011年に起業して、10年が経過。 おかげさまで その間、ほぼ、好きなことしかしない毎日を過ごしています(;^_^A ・ 好きなこととは・・・ ・ 〇洗車:早朝5:00~6:00 〇絵本の仕事:9:00~17:00 〇ランニング:17:00~18:00 〇ストーンアートの制作:20:00~21:00 〇読書:21:00~22:00 〇映画鑑賞:22:00~24:00 ・ 現状、人様のお役に立てている時間は、 9:00~17:00の絵本の仕事の時間のみ。 ・ そのほかの時間で

    • 泉鏡花 「夜釣」は得体のしれない怖さがある作品です。

      この小説は、明治44年(1911年)に、文芸雑誌「新小説」に発表されたもの。 大傑作「夜叉ヶ池」が発表される二年前。 泉鏡花が38歳の頃の作品です。 無類の釣り好きの亭主が夜釣りに行くが、 行ったきり帰ってこない。 待てど暮らせど帰ってこない。   そうこうするうちに 幼子が不思議なことを言い出します。 ウナギが手桶の中にいるよ・・・。 ふと、見ると ばちやり、ばちやり、と音がする。 ウナギが女房の蒼白い顔を熟じっと視る。   この作品の魅力を一言で言うと 「得体のしれない

      • アルベルト・カミュ「異邦人」の文章は なぜ、たどたどしい文章なのか・・・。

        「異邦人」を読み解くポイントは 主人公ムルソーの思い出語り、という点にあります。 平易で感情のない文章 たどたどしい文章。 全て、思い出語りだと思うと納得がいきます。 それを踏まえて読んでいくと・・・。 ------ 第一部-1 「今日、ママンが死んだ」 知らせを受けた主人公ムルソーは 養老院へ向かう。 ママンの棺を取り囲むようにして座っている 院長、看護婦、そして友人たち。 たった一人の友人という女性が泣き出す。 そんな彼らを ムルソーは、他人事の様に観察してい

        • 泉鏡花「天守物語」は、 セリフ回しの妖艶さにゾクゾクします・・・(;^_^A

          今回は2幕目。 天井を貫きたる高き天守の棟に通ずるはしご。 つまり「天空」より降りたる梯子。 そこから天守夫人、富姫が登場します。 舞いすがる蝶々の三つ二つを、蓑を開いて片袖に受け 「出迎えかい、御苦労だね」 なんとも優美な登場の仕方ではないですか。 ------------- さて、 目障りな鷹狩の一行を 雷雨で蹴散らした富姫。 その様子を侍女に伝えます。 「粟粒を一つ二つと算えて拾う雀でも 俄雨には容子が可い。 五百石、三百石、千石 一人で食むものが、その笑止さと言ったら

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        人は「趣味の時間」だけで生きていけるのだろうか。

        • 泉鏡花 「夜釣」は得体のしれない怖さがある作品です。

        • アルベルト・カミュ「異邦人」の文章は なぜ、たどたどしい文章なのか・・・。

        • 泉鏡花「天守物語」は、 セリフ回しの妖艶さにゾクゾクします・・・(;^_^A

          泉鏡花「天守物語」は、 高貴な女性の凛々しさが光る物語。 極上のエンターテイメントです。

          今回は1幕目。 舞台は姫路城、天守閣。 季節は晩秋。 ・ 人が立ち入ることができない天守閣にいるのは この世のものではない方々。 天守夫人、富姫に仕えしは 侍女五人。桔梗、女郎花、萩、葛、撫子。 秋の七草になっています。 世界観が素晴らしいですねぇ。 ・ 侍女が、天守より釣竿を垂れてます。 秋草を釣ろうというのです。 餌はというと、それは「白露」 ・ ほどなくして 「釣れました」 「あれ、私も・・・」 黄と白と紫の胡蝶の群れ、ひらひらと舞い上がります。 なんとも不思議な幽玄世

          泉鏡花「天守物語」は、 高貴な女性の凛々しさが光る物語。 極上のエンターテイメントです。

          泉鏡花「夜叉ヶ池」を読まずして、 何をか読まんや。その4

          今回は4幕目。最終回です。 いよいよ、一番の見せ場を迎えます。 日照り続きで、雨ごいが必要になったとき 村一番の美女を人身御供とすることになりました。 百合に白羽の矢が当たります。 百合さんの運命や如何に・・・。 百合を守り通す晃。 セリフがいいんですねぇ。 「茨の道は負ぶって通る。ひとりでは遣らん!」 晃を想う学円のセリフもまた良きです。 そんなこんなを語っています。 ↓ -------------- ■ボクたちが毎週末開催している読書会が「本コミュ」読書会です。 詳細

          泉鏡花「夜叉ヶ池」を読まずして、 何をか読まんや。その4

          泉鏡花「夜叉ヶ池」を読まずして、何をか読まんや。その3

          今回は、第三幕目。 夜叉ヶ池の主、白雪姫が登場します。 「白雪姫」って・・・(;^_^A よくある名前だなぁ。 ディズニーじゃないんだからぁ。 と思ったあなた。あなたは間違ってはいません(;^_^A それだけ、いろんなとこで引用されて 有名になっているってことですから。 ただ、この作品が描かれたのは明治期。 つまりここで出てくる「白雪姫」がオリジナルですからね。 ------ そんなこんなを語っています。↓ --------------- ■ボクたちが毎週末開催してい

          泉鏡花「夜叉ヶ池」を読まずして、何をか読まんや。その3

          泉鏡花「夜叉ヶ池」を読まずして、何をか読まんや。その2

          この作品は、戯曲です。 お芝居を想定してお話が進みますので セリフが中心となっています。 ------ 今回は第二幕。 与十なる村の若者が鯉を捕まえますが 蟹の化身からとっちめられて、鯉は逃げることができました。 蟹と鯉の化身が何やら話をしています。 そこへやってきたのは鯰の化身。 鯰は、遥か彼方にある剣が峰からやってきた模様。 さてどんな目的ではるばるやってきたのでしょうか。 ----------- そんなこんなを語っています。 ↓ --------------- ■ボク

          泉鏡花「夜叉ヶ池」を読まずして、何をか読まんや。その2

          泉鏡花「夜叉ヶ池」を読まずして、 何をか読まんや。その1

          この作品は、戯曲です。 お芝居を想定してお話が進みますので セリフが中心となっています。 今回は第一幕。 というわけで、導入部です。 舞台となるのは、山奥の村。 夜叉ヶ池から流れてくる川の水で お米を研いで夕餉の支度をしている仲睦まじい男女。 それが百合と晃。 旅の僧、学円が訪ねてくることで 話が転がりだしていきます。 セリフだし、さほど長くないので 朗読すればよかったと、終わった後で気が付きました(;^_^A でも、 撮り直さないところが、素直でいいところです(;^_^

          泉鏡花「夜叉ヶ池」を読まずして、 何をか読まんや。その1

          ジョナサン・スウィフト「ガリバー旅行記」 第三篇・・・のタイトルを聞いたらビックリしますよ。

          あくなきガリバー三度目の航海です。 今度は 海賊に襲われるガリバー。 やっとのことで、ある島にたどり着きます。 海岸にて ふと頭上を見ると巨大な物体が浮かんでいて よく見ると大勢の人間の姿が見えます。 これ、どこかで見た覚えありませんか? そう、この空に浮かぶ島の名前。 それは「ラピュタ」なのです。 ---------- 空に浮かぶ島「ラピュタ」に招かれたガリバーは 奇妙な人々に出会います。 常に頭を右か左かに傾けているのです。 彼らは常に科学について沈思黙考してい

          ジョナサン・スウィフト「ガリバー旅行記」 第三篇・・・のタイトルを聞いたらビックリしますよ。

          ジョナサン・スウィフト「ガリバー旅行記」 第二篇 ブロブディンナグ国渡航記は、 今の日本のことを予言しています(^◇^;)

          二回目の航海で たどり着いた国がブロブディンナグ国。 巨人の国です。 この国では、散々な目に追います。 見世物小屋で、見世物として働かされたり 宮中では王妃付きの女官に服を脱がされた挙句 いたずらされるという・・・。 ここは、 ちょっと子供には読ませられないエピソードです(;^_^A ----------- 国王が、 イギリスのあらゆる事柄を ガリヴァーから聞き出します。 戦争のこと、宗教間の対立、政党間の抗争のこと。 議会政治のことや、司法制度のこと。 全てのことを聞いた国

          ジョナサン・スウィフト「ガリバー旅行記」 第二篇 ブロブディンナグ国渡航記は、 今の日本のことを予言しています(^◇^;)

          ジョナサン・スウィフト「ガリバー旅行記」 第一篇 リリパット国渡航記は、 きっとみんなが知っているお話です。

          最初の航海で 嵐に遭遇して船が大破し たどり着いた国がリリパット国。 子供向けの絵本などで有名な小人の国です。 リリパット国で歓迎を受けたガリバーは 敵対するブレフスキュ国の艦隊を拿捕して戦争を納めます。 ここまでは、誰もが知っているエピソードですね。 そのあとも、もっといろんなことが目白押しです。 リリパット国とブレフスキュ国の戦争の原因はというと 「卵の殻の正しいむき方は 大きな方から剥くか、それとも小さな方から剥くか」 というとるに足らないこと。 当時のイギリス国協

          ジョナサン・スウィフト「ガリバー旅行記」 第一篇 リリパット国渡航記は、 きっとみんなが知っているお話です。

          ジョナサン・スウィフト「ガリバー旅行記」を 子供向けと思ったら大間違い・・・(;^_^A

          小人の国に行って 宮殿に行って 軍艦を引っ張って・・・。 といった、子供向けのお話と思っていませんか?。 当時のイギリスの政治を風刺し 子供には読ませられないエピソードも存在する 18禁に近い作品です・・・(;^_^A ロンドンで政治活動をしていたJ・スウィフトは 支持していた政党が没落し生まれ故郷のアイルランドへ 追放の憂き目にあいます。 そのため、この作品を書くことで 当時のイギリス社会を痛烈に批判したのですね。 -------------- 医師であるガリバーは航

          ジョナサン・スウィフト「ガリバー旅行記」を 子供向けと思ったら大間違い・・・(;^_^A

          戦前の昭和が精密に描かれたSFの大傑作。 広瀬正の「マイナスゼロ」

          ボクは、500ページもの長編のこの作品を夜の23:00から読み始めて、 寝るどころかどんどん目が冴えてきて明け方まで読み続けてしまいました。 舞台は戦時中の東京。 空襲のさなかに主人公の浜田少年は、 隣人の大学教授が大けがをして倒れているところに遭遇する。 虫の息の教授は「18年後の今日、ここに来てくれ」と言い残して死んでしまう。 そこから、浜田少年の不思議な体験が始まるのです。 もっと詳しくはコチラからどうぞ。 ↓

          戦前の昭和が精密に描かれたSFの大傑作。 広瀬正の「マイナスゼロ」

          昭和の世界を緻密にノスタルジックに描き出すSF作家、広瀬正のこと。

          あなたは広瀬正を知っていますか? 広瀬正は、1960年代に活躍した作家。 5本の長編と20本ほどの短編を発表しています。 タイムスリップやパラレルワールドをテーマにした作品が特徴です。 特筆すべきは、緻密に再現された戦前戦中の昭和の世界。 ノスタルジーに溢れた作品世界にボクは、 眠るのも忘れて読み続けた記憶があります。 ・・・といったことをお話しします。 ↓ ■ボクたちが毎週末開催している読書会が「本コミュ」読書会です。 詳細は下記のサイトにてご確認いただけます。 -

          昭和の世界を緻密にノスタルジックに描き出すSF作家、広瀬正のこと。

          安部公房「箱男」は、不穏な空気を味わえる作品です。

          ストーリはあってないようなもの。 箱の中の居心地の良さに魅了された男の行動の記録です。 どういうことかというと 冷蔵庫くらいの大きさの段ボール箱を 頭からすっぽりかぶって、街の中をさまよい歩く男の記録です。 小説の体を成してないことも相まって どんどん狂気な世界に取り込まれていくようで シュールリアリズムがどういうものかが 垣間見えた気がします。 ・・・というか、現実に同じようなことをして 日本縦断していたアーティストがいましたねぇ(;^_^A -----------

          安部公房「箱男」は、不穏な空気を味わえる作品です。