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[無料]ずっと安全に登山を続けるコツ

今回は、長く安全に登山を続けるコツをご紹介します。

登山をする人はいろんな人がいます。大多数は普通に安全な登山をしていると思いますが、同じ失敗を何回もする人、危なっかしい登山を続ける人、実際遭難しちゃう人など様々です。

大多数の遭難をしない人と危ない人はなにが違うのか?どうしたら安全な登山を続けられるのか?を解説します。

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登山は勉強が必要です

登山は山の知識が無くて運動靴を履いて少しの食べ物をリュックサックに入れれば出来てしまうと思っている人が多いっぽいのですが、本当はダメです。高尾山などカジュアルな低山でももう少し装備が必要です。もちろん山の知識も必要です。かなり必要です。

知識が無いと超軽装備で山に入ってしまいます。最初はそれでもなんとかなる場合が多いのですが、そのノリを続けていくといつか危険に直面します。安全な登山には、各種装備の使い方、体の使い方、悪天候への対処など広範な知識や技術が求められます。

最低限↓これくらいは読んでいただきたいと思います。

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本や雑誌を読みましょう

ネットで記事を書いておいてなんですが、登山に関する情報が最もよくまとまっているのは本です。

特に山と渓谷社は良い本をたくさん出しています。片っ端から読んでください。登山を始めたばかりなら、とりあえず月刊誌の『山と渓谷』を何も考えず1年購読してください。

登山の知識や技術は日々アップデートされます。それをキャッチアップするのに雑誌は最適です。

大体1年で特集が一周するので、以降は興味がある特集のときだけ買えばいいでしょう。あとは、Amazonなどで評価が高い入門書も読みましょう。

Kindle Unlimitedに入ると定額でどんどん読めます。月に2冊読めば十分元を取れるので、1年間は読みまくるぞ!と決めて山関係の本をたくさん読んでください。

または、図書館にも登山関係の本はたくさんあります。とにかく本や雑誌を読んでください。

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誰かに習ってください

本や雑誌の情報は安価で効率よく手に入って良いのですが、それだけでは勘違いや文章では伝わらないニュアンスが抜けたりします。実際に人から習うことで身につくことも多いです(特にクライミング関係は本だけでは難しい)。

山岳会に参加したり、山岳ガイドや登山用品店、都道府県の岳連などの講習会に参加してもよいでしょう。友達や家族に登山経験があるならそういう人から習ってもいいと思います。

ただし、登山の常識や技術は進歩しています。古い技術のままアップデートしていない指導者から習うとマズイです。「懸垂下降?確保?ぜんぶ肩絡みでいいんだよ!」なんて人から習わないでください。

出来れば複数の先生から習って、なにが新しくて正しいのか確認してください。併せて本も読んでください。本を読み、人からも習ってください。

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反省しましょう

登山で『この人また同じ失敗してるなぁ』という人がいます。軽い失敗でも、繰り返していればそのうち大きな失敗に繋がります。同じ失敗をしないように反省しましょう。

失敗したなと思ったらよく覚えておいて、出来れば山行記録などに残して反省して、対策を考えてください。ネットや本に答えが書いてあるかも知れません。

同じ失敗を繰り返す人は仲間に見限られたりします。誰だって巻き込まれて怪我したり死んだりしたくないものです。私は、何度か一緒に登って判断や行動が危ういと思った人や、指摘しても聞かない人とは以降一緒に登りません。あまりにひどい場合は関係を切ります。命がけの遊びですからね。

特に、リーダーは振る舞いに気をつけましょう。ヤバいリーダーに人はついていきません。

取り返しが付く小さい失敗ならどんどんしてもいいのです。失敗せずに成長はありません。大事なのは、失敗したら反省して同じ失敗をしないことです。

過信せず謙虚に、欲を出さない

特に若いうちは体力があるので自分を過信します。登山の力が付いてくると過信する心が出てくるものです。そういう時こそ、人間の力なんて山の自然に比べたらちっぽけなものだと思い出してください。謙虚になりましょう。

「もうちょっとで山頂なんだけど」と思っても、リスクやタイムリミットがあるのなら、安全な方を選択してください。

時にはリスクの隙間を突いてピークをもぎ取れる事もありますが、天秤に掛けていいものかよく考えてください。山で欲を出すと危険ですよ。

それと、自分は問題なくても仲間が不安を感じていたり体力的に難しかったりという事もあります。パーティーメンバーで一番弱い人を基準に判断してください。でないと仲間を殺してしまいます。

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「山は逃げないけどチャンスは逃げる」という人もいます。でも『逃げていくチャンス』を無理に追いかけると、死んでしまって『大きな時間』を失います。死なずに済んでも数ヶ月単位の時間を失います。欲を出してはいけません。

調子が良い時は特に気をつけて

体の調子が良かったり、トレーニングの成果が出てよく登れたりする時があります。そういう時は怪我をしやすいので注意してください。いつもはやらない様なことをウッカリやって怪我をしたりします。

調子が良いと気が大きくなって判断を誤ります。体の調子が良いときほど普段どおり慎重に行動してください。やはり謙虚さは大事です。

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「まぁいいか」は本当にまぁいいのか?

ちょっとした忘れ物とか、ちょっとしたミスをした時に思わず「まぁいいか」とつぶやくことがあるでしょう。例えばちょっとだけロープの結び方が悪いとか、手ぬぐいを忘れたとか。

そういう時、本当に「まぁいいのか」よく考えてください。考えた上で取るに足らない事ならいいのですが、気になるのなら改善をしてください。

「まぁいいか」とつぶやいている時点で少しは気になっているはずです。ならば直しましょう。

違和感は大事なサイン

あれ?と思うことがあります。なんか思っていた地形と違う、西に下っているはずなのに太陽が真後ろにある、なんか忘れたような気がする、さっきまでと山の雰囲気が変わった、など。

そういう違和感を軽視しないでください。地形や状況に違和感があるなら、スマホのGPSなどで現在地を確認してください。忘れ物が気になるなら、ザックに入っているか確認しましょう。違和感は無意識の自分が送ってきたサインです。「まぁいいか」と見逃さず、正体を突き止めて対応しましょう。

正体がわかったら、慌てず騒がず、冷静に対処してください。慌てたり騒いだりしても状況はなにも良くならず、却って悪化します。取り乱して良い結果になることは100%ありません。

膝を大事にしましょう

登山を続けていると年とともに膝を痛める人が少なからず出てきます。そういう人はトレーニングや歩き方の改善で解消することがあります。歩き方は野中ガイドの説明がとても分かりやすいので、下記記事を全部読んでください。

本で読みたい方はこちらを買って読んでください↓

少人数の実技講習も行っています。こちらに参加するのもよいでしょう。

ちゃんとした人からきちんと習うの大事です。

歩き方の問題で改善しないような膝痛は整形外科に行きましょう。

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日々の不摂生をやめましょう

体重が重いと足腰の負担は大きくなります。高血圧や肥満は心臓や血管に負担を掛け、登山中に急病で倒れるリスクが高くなります。

男性なら体脂肪率が20%以下に、女性なら30%以下になるようにしてください。出来れば男性なら15%以下、女性なら25%以下が望ましいです。

毎日お酒を飲んでいるならやめましょう。お酒というのはハレの日に飲むもので、毎日飲むものではありません。中高年になったら食生活に気をつけましょう。

行動中に酒を飲む?論外です

お酒に強い人でも酒を飲めば酔います。自分は酒に強いから酔ってないと思ってるのは本人だけ。安心してください、ちゃんと酔ってます。酔った状態で登山道を歩くなんて自殺行為です。法律で規制されてないだけで、飲酒運転と変わりません。

お酒を飲むなら下山後や、泊まる場所に着いてからにしてください。山に連れて行ってくれた人が行動中にお酒を飲むタイプだったら、もう一緒に登らないことをオススメします。

登山のトレーニングは登山

遠くの山に行けないのなら、近くの行き慣れた山に登ってトレーニングしてください。登山のための体力は登山で鍛えるのが近道です。

ただし、慣れている山だからと甘く見たり気を抜いたりしないようにしてください。そういう油断が遭難の原因になります。きちんと装備を持ち、計画書を残し、道を間違えないように注意深く歩きましょう。

低くて簡単な山でも、5m落ちれば人は死にます。

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敢えて雨の日に登ってみるのも良い経験です

「天気が悪い日は山に行かない」というのは正しいのですが、雨の日でないと体験できないこともあります。雨の冷たさ、濡れた登山道、風、雨具を着て行動するしんどさ。

日帰り登山だけなら1日の雨を避ければいいだけですが、何泊もしながら縦走するような山行では1日くらい雨が降ります。その雨が登山経験初めての雨では困ってしまいます。

練習や修行と思って、それほど酷くない雨だったら敢えて行ってみましょう。

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ただし、

・濡れた登山道は滑りやすい。特に粘土の斜面、木の根や木の階段、木道に注意してください。
・上下に雨具を着ていると汗をかきます。樹林帯なら折りたたみ傘もアリ。
・風が強いととても冷えます。夏でも防寒着を持ち低体温症に注意。
・霧などで視界が悪いと道を間違えやすいので道標や分岐を見逃さないようにしましょう。フードを被っていると視界が狭くなります。
・難しいと思ったら速やかに撤退しましょう。

この辺に注意して、安全に雨の山を体験してください。少し雨が降ってたり霧が出ている山のほうが景色はキレイだと思います。晴天だけが登山ではありません。

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一人で登らないほうが安全です

単独登山はパーティー登山の3倍死にます。ちょっとした捻挫や骨折でも、行動不能になって携帯も通じない、人も通りかからないなんて事になれば死ぬ可能性が高い。

パーティー登山なら助かるものが単独だと死んでしまいます。出来れば単独ではなく仲間と登ってください。

といいつつ、私も単独で登ることがたびたびあります。単独で登るのなら、

・行き先を計画書として文字で残してください。必ず提出し家族にも残しましょう。
・ココヘリを持ちましょう。家に忘れたりバッテリー切れに要注意。

・捜索費用などの共済や保険に入りましょう。

・ファーストエイドキットを持ち、セルフレスキューの知識を身につけて、なにか起きても自分で対処できるようにしましょう。単独登山者は高い技術が求められます。

・天候や進退の判断はパーティー登山の3倍慎重に行ってください。失敗すれば簡単に死ぬのが単独登山です。

運も大事

どうしたって最後は運も大事になります。天気もそうだし無音で落ちてきた落石に当たるか当たらないかなんて運次第です。半径1m以内に無音で落ちてくる落石なんて避けようがないですからね。

瞬間的な動きの差で無傷か大怪我かが変わります。運良く避けられたら、次は運が悪くても問題がない位置取りをするように心がけましょう。行動で運を良くすることは出来ます。

私は、山で神社や祠があれば必ず手を合わせます。神頼みですが同時に、安全登山に対する心構えのためでもあります。神様にも手を合わせますが、自分自身にも『安全に!』と言い聞かせています。

もちろん、天命を待つ前に人事を尽くすのが大事ではあります。尽くしてますか?

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まとめ

・登山は勉強が必要です。本や講習で学んでください。

・失敗は反省して、同じ失敗を繰り返さないようにしてください。

・欲を出さず謙虚に山と向き合いましょう。

・「まぁいいか」と呟いたら、本当にいいのかよく考えてください。

・体、特に膝を大事にしましょう。

・適度に状態が悪い時の登山はいい経験になります。ただし慎重に。

・単独登山をするなら技術や知識を高めて、相応の装備を持ちましょう。

・運も大事。普段から徳を積みましょう。ゴミなど捨てず、他人を思いやれるよき登山者であれ。

わぁい、サポート、あかりサポートだい好きー。