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[無料]安全登山のための3大キーワード

登山関係のテキストを書いていると毎回長くなってしまうので、今回は短めに。安全な登山を続けていくために、短く覚えやすいキーワードをご紹介します。


「まぁいいや」

登山の準備中、登山口で忘れ物に気づいたとき、靴紐が緩くなってきたときなど、なにか気になることが起きた時に「まぁいいや」と呟いていませんか?「まぁいいや」は、少し気になるけどただちに問題にならない時に出てくる言葉です。

つまり、本当になんでもないわけではなく、ちょっとは気になっている。口に出しても心のなかでも「まぁいいや」と言ってたら、それが本当に問題ないことなのかよく考えて下さい。

曇ってる山で雨具を持ってこなかったのは、まぁいいのか?ザックのベルトが緩んでるけどまぁいいのか?スパッツを付けてから靴紐の緩みが気になったけどやり直すのが面倒だから、まぁいいやと言ったのか?

面倒くさがらず、本当に「まぁいいのか?」よく考えて対処して下さい。

冬の天狗岳。

「無駄な我慢はしない」

歩いていて暑くなり汗をかいてきたら無駄に我慢せず、早めに衣類を調整して下さい。風に吹かれて寒いのならレインウェアなど上着を着てください。

よほど足元が悪い場所や強風でザックを下ろせない状況でない限り、出来るだけ早く調整すべきです。「次の休憩で調整しよう」なんて悠長なことを言っていると無駄に体力を使います。

暑くて汗をかくのも寒くて震えるのも、我慢して改善するものではありません。流れ落ちる汗の一滴は無効発汗となり水分の無駄だし、その後風に吹かれれば体が冷えます。無駄に寒さを我慢すると低体温症や凍傷の要因になります。

リーダーはメンバーの様子を見て、いつでも止まって調整出来ると声を掛けて下さい。メンバーは我慢せずすぐに調整して下さい(止まる時は前に一声掛けましょう)。

面倒くさがらず快適な温度で登れるように調整して下さい。

なお、出発時には少し涼しいくらいで調整すると、歩いていて丁度いい体感温度になります。休憩に入る時は冷えるので1枚着てください(そして出発直前に脱ぐ)。風が強い日は稜線に出る前に着込んでおくと、快適な稜線歩きが出来ます。

先読みをして快適に行動できるように調整しましょう。出来れば何度も止まらないほうが効率よく歩けますからね。衣類を調整するタイミングを先読みして、効率よく行程を進めるのもリーダーの大事な役割です。

上記ではウェアの調整について書きましたが、靴ずれの痛みや靴に入った小石、ザックの違和感なども我慢して改善するものではありません。無駄に我慢せず、早めに解決してください。

晩秋の涸沢。

「かもしれない登山」

自動車の運転で『かもしれない運転』という言葉を習うと思います。角から子供が飛び出してくるかもしれない、前の車が急ブレーキを踏むかもしれない、交差点で急に右折してくるバイクや車がいるかもしれない。

登山も同様で、『かもしれない』と考えてリスクを避けて下さい。上にいるあの人は岩を落とすかもしれない、これから踏む岩は動くかもしれない、曲がり角の先に熊がいるかもしれない、メンバーが食べ物を忘れてくるかもしれない、自分は道に迷ってるのかもしれない、もうゴール直前だけど最後の最後で転ぶかもしれない、などなど。

準備段階から『かもしれない』を考えて、登山前も行動中も考え続けて下さい。

雨具を忘れたけど問題ないだろう、岩は不得意だけどみんな行ってるし剱岳も余裕だろう、雷鳴が聞こえるけど雷は落ちないだろう、もう登山も終わりだから無事終わるだろう、という『だろう登山』はハイリスクです。

冬の奥多摩湖。

つまり、面倒くさがってはいけない

3つの言葉に共通するのは『面倒くさがってはいけない』ということです。「まぁいいや」で済ませるのも、ウェア調整をせず我慢するのも、大丈夫だろうで済ませるのも、すべて面倒くさいからです。

雨が降っていると地図やアプリで現在地を確認するのが面倒くさくなりますが、現在地の確認はとても大事です。面倒くさがっていはいけません。急いでいると細かいことをおろそかにしがちですが、急がば回れということわざもあります。

登山というのは、とても面倒くさい遊びです。計画を作るのも面倒くさいし、移動するのも面倒くさいし、行動中にあれやこれやを考えていちいち道具を使うのも面倒くさい。

ひたすらに面倒くさいので手を抜きたくなる気持ちも分かります。つい雑な登山をしてしまう。でも、小さな手抜きが積み重なって手抜きの山が出来てしまったとき、一気に崩れて事故に繋がります。

面倒くさがらず、問題が小さいうちに各個撃破してください。そのためにキーワードが、「まぁいいや」「無駄な我慢はしない」「かもしれない登山」です。覚えておきましょう。

雑な登山ではなく、丁寧な登山を目指してください。そして、そのためには無理のない計画を作ることが大事です。詰め込み過ぎの計画は雑になりがちです。丁寧な登山をしましょう。

福ちゃん荘のテント場。

なにも知らないと「まぁいいや」すら出てこない…

少しは気になるから「まぁいいや」が出てくるわけで、全く何も気にならない、リスクが見えないという人は「まぁいいや」すら出ずに地雷を踏んでしまいます。

山を知ることは大事です。本を読んだり講習を受けたりして、登山について勉強し続けて下さい。


わぁい、サポート、あかりサポートだい好きー。