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うつ病と共倒れしないためには

うつ病は厄介で難しい病気です。
目に見えないから調子の悪さを周囲に理解されづらいし、周囲も正確に状況を把握できない。本人に聞くのが一番だけど、状態によっては話せないときもある。

わからないからこそ、周囲は不安が増大しすぎて、自分を省みる暇もなく心配し続ける。
その結果訪れるのが「共倒れ」です。


1.共倒れに繋がるものは?

うつ病で苦しんでいる人がすぐそばにいるのに、
「自分の趣味も大事に」
と言われてその通りに出来るでしょうか。
自分のケアをしたいのはやまやまだけど、そう出来ない事情のほうがたくさんあるのです。

だから「とりあえず」、自分の不調や疲れやストレスは見なかったことにして、うつ病の家族のケアに奔走する。
生活リズムも休日の予定も食事のメニューまで、全て相手に合わせる。

そこまでするの?と、他人から言われるかもしれませんが、そこまで「せざるを得ない」環境になってしまうのです。
そうした時期が、どのうつケア家庭にも一時期はあると思います。

そのせいで、うつ病の人とその家族が「一心同体」になってしまいます。
どう対応したらいいかわからないために、不安を解消するために、身も心も密着してしまいます。

二人三脚以上です。
その状態では、うつ病の症状がよくなったとしても、家族側が不調になれば同時に転んでしまいますよね。

2.どこかで分離しなければいけない

距離をとりたくても取れない状況で、他人から
「もっと自分を大事にしなよ」
と言われても、
「そんなのは分かってる!わかってるけど出来る状況じゃないの!」
と心の中で叫んでいます。

その通りだと思います。
ただ、どこかで「出来る状況」へとシフトしたいですよね。
密着しすぎが問題なのですから、どこかのタイミングで距離を取る必要があります。

うつ病がもう少しよくなれば、復職してくれれば、通院の回数が減れば……。

頭の中ではタイミングを計っているかもしれないですが、そのタイミングも「うつ病側の事情」になっていませんか?

3.特別な何かを期待しない

共倒れしない未来へシフトするために、特別な〇〇を期待すると、時間がどんどん経ってしまいその間にストレスも蓄積していきます。

変化を待っていると変化は訪れないものです。
変化は、変化したいと思っている人が起こすのが一番手っ取り早いです。
「出来ることから始めよう」ということですね。

日常の中に、シフトしていくためのカギは隠れていないでしょうか?
例えば。

  • 週1回、自分だけ外で夕食を済ませる日を作る。

  • 不燃ごみを捨てるのはうつ病の人の担当(可燃ごみだと出来なかった時大変ですが、不燃なら次週でも大丈夫)⇒可能な限り手伝わない

  • 通院は本人だけで行ってもらい、帰ってきてから内容を聞く

一度にいくつも変化をつけるとうつ病の人が付いてこられない危険があるので、まずは何か1つ。
それが日常生活になじんで、お互いに「日常」だと思えるようになったら、またもう1つ。

そうやって「うつ療養生活」に変化をつけていくことで、開始時には想定していなかったような違う変化が訪れるでしょう。
バタフライエフェクト」です。

4.家族の健康はうつ病の支え

家族がうつ病になった時、なぜか自分が罪悪感を感じてしまいます。
自分の存在がうつ病を招いたのでは、と考えたり、うつの人が家から出られない時に自分が友だちに会うことへ罪悪感を感じたり。または、自分が楽しい時間を過ごしている間も本人は苦しんでいるんだ、と想像し、十分にその場を楽しめなかったり。

しかし、家族まで心身の健康を損なったり、うつの人を支えるために頑張り過ぎた反動で別居や離婚という事態になるのは、結局は皆にとって良い結果は生まないでしょう。

うつ病の人を支えたい・治るための手伝いをしたい、と必死に頑張った結果が「共倒れ」になるのは悲劇でしかありません。

自分が健康であり続けることが相手にとってもプラスになることは、絶対に忘れないでください。


支援者側(医療・福祉)から見ると、家族は本当に強力で頼もしい存在です。
家族でなければ決められない問題も多々あります。
それが進み過ぎて家族に多くを求めすぎる支援者もいるかもしれません。

しかしそれでも、内容によっては「出来ません」と言っていいんです。
言われたこと全てを負担する必要はありません
出来ないことは他の人にやってもらう、または一緒にやってもらう
そう考えることが出来るようになれば、共倒れのリスクはずっと少なくなるでしょう。

うつケアライフカウンセラー 惠然庵
うつケアライフカウンセラー 惠然庵


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