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不安を予言化しないためには

不安は、人間が命を守るために反射的に感じる感情です。感じないようにすることは命を危険にさらすことです。
しかし、不安に心が乗っ取られると、その不安が現実化します。
不安が「予言」になってしまうのです。

では、どうすれば不安を現実化せずに、自分を乗っ取られずに済むでしょうか?


1.不安は「黄色信号」

不安は、生物が外的や生命の脅威に備えるための信号です。
「恐怖」が赤信号なら、「不安」は黄色信号です。
交通信号が黄色になれば、人も車もストップします。同様に、不安を感じることで行動が制限されたりモチベーションが停滞することは十分あり得る話です。

ただ、「黄色信号」は、「動くな・止まれ」という意味だけではありません。
車両なら、停止線手前にいる場合はブレーキを踏んで停車するべきですが、人間の「気持ち」の問題であれば、即座に停止を求めるものではありません。

この先に、現時点では想定していない「何か」があるから、注意して進みましょう、というサインです。
必要なのは「即座の停止」ではなく、「対策」です。

2.不安に乗っ取られる人と乗っ取られない人の違い

不安が生物に必ず備わる感情なのに、不安に乗っ取られてしまう人とそうでない人がいるのは何故でしょうか。

もちろん人それぞれ性格や長所短所、得手不得手は違いますが、「不安を感じても乗っ取られない人」は、もしもの時への対策を立てられる人です。

例えば、

  • 不安の正体、原因を冷静に分析できる

  • 行動パターン選択肢を豊富に持っている

  • 失敗した時の次善策を考えられる

  • 自分が犯しやすい失敗のパターンを知っていて、その補完方法を知っている

などです。

たとえば、自然災害が起きるかも、という不安がある場合。

乗っ取られてしまう人は、災害が起きた時に怖さや不便さ、被害、痛みなどをリアルに想像し、それが現実になることが恐ろしくて、その可能性(リスク)から目を逸らします。災害など起きるはずがない、今まで大丈夫だったのだから、と心を宥めるところで止まってしまいます。

乗っ取られない人は、心を宥めるところまでは同じなのですが、その先を考えます。
実際にどんな危険があるのか、その為に今出来ることは何か、既に出来ていることは何か、を考えて、現状確認して対策を追加します。

結果として、乗っ取られなかった人は、災害が起きて被災しても、被害を小さくすることが出来ます。

3.不安が予言化する流れ

まず、不安を感じた時に、それ以外のことが考えられなくなってしまいます。
不安を感じる案件以外にも生活には色んな要素ややることがあるのに、そうしたものが頭に入ってこなくなります。楽しいことをしていても楽しめません。不安が、他のものを遮断してしまうのです。

不安にばかり思考が囚われるので、もしも、に備えるための対策を思いつくことが出来ません。
不安が現実化した未来へのルートばかりがどんどん明確化されていきます。

不安=嫌な未来へ着実に向かっているのだとすれば、誰でも歩みを止めたくなります。
その為行動が制限されます。極端になると、外出も出来なくなります。

頭の中は不安でいっぱいになり、行動も制限されれば、何も出来なくなります。
出来ることは「不安について考える」ことだけです。

結果として、一番避けたかったはずの「不安」通りの現実が到来します。

自分が「こうなりたくない」と思っていたはずの未来が到来したことで、「不安は正しかった」と、心が学習してしまいます。
変えられるはずだった不安が「不動の真実」になってしまい、次からは変えようとする意欲も沸いてこなくなります。

不安=黄色信号、ではなく、必ず実現する予言になってしまうのです。

4.流れを変えよう

嫌な現実が到来するのを避けるために、不安を感じることから止めよう、としても難しいです。
最初に言った通り、生物の本能のような感情ですし、必ずしも悪いものでもありません。

問題は不安を感じることではなく、不安に乗っ取られることです。
乗っ取られないように、不安を感じた後の思考の流れを変えていく方法を見つけましょう。

不安を感じたら、まずはそこから距離を取ることが大事です。
不安にばかり気を取られると、不安が急速にどんどん大きくなって、自分自身より遥かに大きな怪物に見えてきます。
しかし実際は、不安は自分の心の中に生まれた感情の一つにすぎません。自分より遥かに大きい、なんてことはないのです。
心の中にある内に、距離を取って全体を観察しましょう。

そうすると、なぜ自分が不安に感じたのか、の理由が見えてきます。
理由が分かれば、どうすれば不安を肥大化させないか、の方法が、おのずと見えてきます。
自分だけで思いつかないなら、誰かに相談しましょう。
知人や家族に不安を知られたくないなら、専門家を活用しましょう。

そして出来た対策を実践します。
そうすると、不安に思っていた事態は現実化しません。まったく起こらないこともあるし、起きても当初想像したような甚大な被害ではなく、十分リカバリー可能な程度におさまっているはずです。


不安は、抗えない巨大な壁ではありません。
喜怒哀楽、といいますが、そうした感情の一つにすぎません。
しかし野生の植物と同じで、ちょっとした栄養や水分で急速に勝手に力強く成長していってしまいます。

自分で自分の不安を育てるのを止めましょう。
自分の心は、お家の庭のようなものです。
雑草も目を出すかもしれませんが、家が侵食されない程度に管理する方法を知れば、怖いことはありません。


うつケアライフカウンセラー 惠然庵
うつケアライフカウンセラー 惠然庵

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