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家事労働のサポートという福祉について

ポスト資本主義の中の一つの主張として、新たなセーフティーネットの整備が提案されている。

これまでのセーフティーネットは、事象として起こってしまったことに対するセーフティーネットである。例えば、生活保護は、生活保護が必要になってから支援が行われる。社会保険も、退職した後および病気になって以降を対象としている。雇用のセーフティーネットは失業して初めてセーフティーネットとして機能する。

新たなセーフティーネットは現在の社会のシステムの根幹にさかのぼったものである必要があるのではないか?というのが著者の主張である。

すなわち、共通のスタートラインに関するセーフティーネット、すなわち機会の平等である。そのための方策として、教育費の提供(教育水準とのちの収入水準には有意な関係性がみられることが示されている)、およびストック(資産)の社会保障(お金がないために、より効率の良い方法にアクセスができない場合がある)を挙げている。

この話を読みながら、女性の社会進出がなかなか進まない一つの理由として、子どもの養育があり、保育園や幼稚園などの整備もこのような事前のセーフティーネットに当てはまると考えた。

また、これは私のような男性がしっかり家事労働もやればいいのだけの話かもしれないのだが、家事労働の軽減に対しても福祉として考慮することはできないだろうか? 家事労働のうち少しでも公的資金を使ってサポートすれば、その分多くの時間を子供の教育や、社会進出および地域活動などに充てることができるだろう。例えば、週の何回かの食事を配達するサービスをサポートする。または洗濯を行ってくれる。これらのサービスはすでに民間レベルで存在するので、経済的な合理性を調整すればよいということになる。公的資金(財源について考慮する必要はあるが。)の投入により、利用しやすい価格にするということが基本の考え方になると思うが、この時経済的な合理性について、どの程度の利益を事業者にもたらすべきか?または非営利団体を主体とする運営するかについては、さらに考える必要があるだろう。もちろんすべての家事労働を置き換えるということではなく、その一部でも置き換えるということであり、場合によっては家事は趣味として扱われるようになるかもしれない。

ついでにその他の効用を考えると、1)環境負荷軽減 2)新たな労働の創設 がある。1)環境負荷については、小売りで各家庭が買い物をすることにより発生する梱包資材の削減や調理の効率化によるエネルギーの削減。または、高率的な洗濯による汚染水、エネルギーの削減2)労働市場については、新たな産業の創出による。


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