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「監督にもコーチにも相談できない…」名門高校サッカー部の部員から聞いた指導者の実態

先日、都内の某名門高校サッカー部の主力の生徒からメッセージをもらいました。

「noteを拝見してご連絡させていただきました。 自分がモヤっと感じていることがとても鮮明に書かれていてお話を聞いてみたいと思いご連絡しました。日本サッカーの課題について聞かせて下さい。そして自分が今置かれている状況を話させて下さい。お時間許せばオンラインでお話聞かせて下さい。」

読んでくれたnoteはこちらでした↓

これまでも高校生や大学生からメッセージをもらうことはありましたが、ここまで丁寧に、しかもオンラインで話したいと言ってきた若者はいませんでした。数日後にオンラインで話をしました。

監督にもコーチにも相談できない

話を聞いてみると、その生徒は世代別の代表経験もある子でググると名前も実績も出てくるのですが、中学まではクラブチームでプレーし、環境も悪くなかったけれど、現高校にスカウトされ入部してから違和感を感じているのだと。名門高校で全国大会にも出るレベルのサッカー部なので挑戦する価値があると思って入部したけれど、実態はなかなか酷いようでした。

「中学時代はクラブチーム(某J下部組織)でプレーしていたのですが、コーチも本当に素晴らしくてサッカーが上手くなれる環境でしたし、チーム全員を成長させてくれる存在だったんです。それは今の高校サッカー部の監督やコーチを知ってからよりわかるようになったのですが…」

ーー今の監督とコーチは何か問題があるの?

「そうですね。常に一方的な指示というか命令で、言われた通りにやらないと罰走か干されます。」

ーー干されるって試合に出してもらえないとか?

「試合に出してもらえないどころか、練習でも無視されますね。心を入れ替えてやる気を見せろということだと思います。自分が一度干された時、やっぱり試合に出ないと成長しないので、言うことを聞いて練習も必死にやりました。それでまた試合に出るチャンスはもらえたのですが、ずっと違和感というか納得がいかなくて胸に何か引っかかったままずっとプレーしているような感じです。」

ーー監督とコーチに相談できないの?

「何度か相談しましたが、まともに聞いてくれませんでした。」

ーーどんな相談したの?

「選手たちの特徴を活かしたこういうプレースタイルが良いと思いますが、どうでしょう?という相談をしたことがあるのと、試合前の明らかな過度な練習で試合のパフォーマンスが落ちていたので、その調整をしてほしいという相談ですね。」

ーーそしたらどんな反応だったのかな

「プレースタイルは俺たちが決めること。試合に出るために必要な情報は伝えるからとにかく必死に練習しろと。試合でパフォーマンスが出せない理由は過度なトレーニングではなくお前らの弱さであると。それからはもう相談できないですね。意味ないので。」

ーーなるほど。それはキツいね。

「ジュニアユースの時に試合に向けていかにパフォーマンスを高めていくかをコーチたちから指導されていたので、その話をしたら干されましたね。あとそういう理不尽に耐えられない部員はたくさん辞めて行きました。一番納得がいかないのは、Aチーム以外でもサッカー好きでプレーしたい思いで入部した仲間たちが辞めてしまったことですね。才能あるのにサッカー部辞めて、サッカーをプレーすることを辞めてしまったんです。そんな時にたまたまnoteを読んでご連絡をさせてもらいました。」

監督の気分や好みでスタメンが決まる

ーー同じように感じている部員はいるの?

「何人かいます。サッカーがつまらなくなってしまったという話をしています。よく話題になるのが監督とコーチの気分と好みでスタメンが決まることですね。」

ーー具体的にいうとどういうこと?

「ある程度実力があればAチームに入るのは当然だと思いますが、明らかに実力が劣っている部員が試合に出つづけていることに、部員の多くは気がついているんです。何が問題かというとその部員の親とコーチが極端に仲が良くて、贔屓しているのが誰から見てもわかるんです。試合の前後もよくその親と監督は話しています。これが僕一人が違和感を感じるだけならまだしも、部員のほとんど全員が感じていることなんです。」

ーー確かに監督やコーチは納得する理由を説明すべきだよね。信頼がなくなってしまったらモチベーションがなくなる

「監督とコーチに対して、僕が不信感を感じたことは他にもあるんです。中学生でスカウトしてきた選手たちと一緒に練習する体験会があるんですが、その時にコーチが「楽しいサッカー部だと思わせるように練習しろよ。中学生も見にきてる親にも良い印象を持ってもらうことは大事だからな。」って言ったんです。自分は騙されて入ったんだなと思いました。」

サッカーを嫌いにさせる大人をなくしたい

久しぶりに高校生の生の声を聞いて、改めて育成年代の指導環境の問題を感じました。実はこういう話って強豪校によくある話で、(信じられないほどよくあるんですよ。何度も何度も同じような話聞きました)サッカーを辞めてしまう生徒たくさんいます。これはあってはならないことだと思います。これがまかり通ってしまうのは、その環境にいる大人の問題です。問題を認識できない大人の問題。生徒からのアラートをキャッチできないどころかスルーする。サッカーを指導する以前の問題だと思います。

サッカーが強い学校、サッカーが強い国を目指す前に、サッカーを楽しめる人を増やす文化を作る必要があるのです。サッカーを嫌いにさせて、辞めさせてしまうとは何事だと、私は強く思います。


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