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お寺に住んでみた

お寺に住んでいるから住職というのでしょうか。お寺は、信仰の道場であると同時に、生活の場でもあるのです。

お寺で暮らす上で一番大変なのは、境内の掃除です。一般の住宅より訪問客が多く、境内の手入れは欠かせません。

「いちそうじ、にごんぎょう、さんがくもん」という言葉があります。お寺の生活で大事なものから、「掃除、勤行(ごんぎょう)、学問」という意味です。

掃除

一番大切なのは「掃除」。環境を整えることは、お寺にとって、とても重要なことです。廊下を雑巾がけする修行僧の様子が、テレビ番組で紹介されることもありますが、あれは修業中のこと。自坊での掃除は、少し様子が違います。

なんといっても、人手が少ないこと。ほぼ一人(または家族)で、本堂や庫裡の掃除、境内の手入れをしなければなりません。せっかく草取りをしても、夏場なら一週間と持ちません。全部取り終わる前に、新しい草が生えてきます。

でも、「お寺はいつもきれいにしてありますね」などと言われると、心の中でガッツポーズが出ます。

勤行

勤行とは、お経を読んだり、お念仏したり、いわゆるお勤めのことです。普段は、「日常勤行式」というものを勤めます。朝と夕方に本堂の仏様の前で勤めます。

檀家のおうちで年回を勤めたり、法要や年中行事で勤める場合は、差定(さじょう)が変わります。

差定とは、どんなお経をどんな順番で読むかというプログラムです。法要の内容にあったお経を選んで、差定を決めます。

お勤めするのがお寺の仕事のように思われるかもしれませんが、重要度から言うと、掃除の次に位置付けられます。

学問

学問とは、お経などの勉強です。お経の意味を理解するのは、簡単なことではありません。お勤めを実践しているうちに、なんとなく理解できるようになってから、確かめるために勉強すると、理解が深まります。

素振りをたくさんした後で、バッティングの指導を受けると、コーチの言うことがよく理解できるのと似ています。

お寺に生まれていなければ、お寺で暮らすことはめったにありません。しかし、一般の家庭でも、「一掃除、二勤行、三学問」は、実践できます。環境を整え、心を清らかにしてから、勉強に取り組めば、いつもより成果が上がるかもしれません。



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