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本堂はどちら向き?

芝の増上寺(東京)の本堂は、東向きに建っています。早朝のお勤めをしていると、太陽が昇ってきて、阿弥陀如来の顔を照らし始めます。その、なんと神々しいことか。

阿弥陀如来の極楽は、西方極楽浄土といって、西の方角にあります。阿弥陀如来は、極楽のある西にいるはずですから、本堂は東向きが良いのですが、多くの日本家屋の玄関が、南向きに作られているのと同じように、本堂も南向きが多いのです。

南向きの本堂では、北に極楽となってしまいますが、実は、本堂の中は、実際の方角とは関係なく、阿弥陀如来のおわします方角が西だと考えることになっています。つまり、実際の本堂の向きとは関係なく、本堂の中では、極楽浄土のある西に向かって、手を合わせていることになります。

寺の境内にある鐘楼堂(鐘つき堂)の鐘にも向きがあります。鐘を撞く木の棒を撞木(しゅもく)といいますが、東側についています。そして、西に向かって撞くようになっています。

家庭にある仏壇は、本堂を家庭用に小さくしたものです。床の間と並んでいて、東向きに配置されていることが多いのですが、たとえ、別の向きになっていたとしても、仏壇に向かって手を合わせれば、西方極楽浄土に向かっていることになります。

法然上人は、幼少のころから、西に向かって手を合わせていたという話が伝えられています。



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