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桃子、苦しむ

 彼女はどうにもならない問題に苦しんで、摂食障害を発症してしまいました。

 私の周囲で、どうにもならない悪い事ばかりが多発していた。
「健ちゃんが死んじゃったの・・・。」
 私達の幼馴染の健ちゃんが、バイクの事故で亡くなってしまった。
「私もだけど、琴音も菜月ちゃんももっと辛いの・・・。」
 健ちゃんを思うと私も辛いが、健ちゃんの妹の琴音も、健ちゃんの彼女の菜月ちゃんももっと辛いのも、私にもよくわかる。
「響希・・・。」
 交通事故で命を奪われた健ちゃんの後を追ったのか、響希が首を吊ってしまった。
「光くん・・・!」
 写真店の仕事の時にも、私も光くんが他の女性と仲良くしていたのを見てしまった。
「穂香達だわ。」
 仕事の帰りにも、私も穂香、菜月ちゃん、晃太が買い物をしているのを見かけた。
「桃子姉ちゃんだ。」
 晃太が私を呼んだが、私もよく見ると、晃太は怪我をしていた。
「怪我はどうしたの。」
「何でもない。桃子姉ちゃんが気にしないでくれ。」
 私も晃太の怪我も聞いたが、晃太は何でもないと応えた。
「桃子ちゃん、誰にも言わないで欲しいの。晃助お兄様が晃太を、晃太が晃助お兄様を殴った怪我なの。」
 穂香は誰にも言わないようにと注意して、晃ちゃんが晃太を、晃太が晃ちゃんを殴って、お互いに怪我を負ったと打ち明けた。
「許せないわ・・・!」
「光くんが他の女性と仲良くしていたのよ!晃ちゃんが家族に暴力をして、穂香達が家を出て行ったのよ!」
 私も光くんが他の女性と仲良くしていたのも、晃ちゃんが家族に暴力をしたのも、そのために穂香ちゃん達が家を出て行ってしまったのも許せなくて、天野家の皆にも怒ってしまった。
「晃ちゃんがそんなことをするなんて・・・!私も嫌だわ・・・!」
 純子も晃ちゃんにも、暴力は許せないと怒った。
「晃ちゃんにも何か事情があるのよ!理由があるから晃ちゃんも陽菜子ちゃん達を傷つけてしまうのよ!」
 友子は、晃ちゃんにも事情があるから乱暴してしまうと言う。
「友子は晃ちゃんの肩を持つの!晃ちゃんに何があっても、友子も穂香達も許しても私は許さないわ!」
 私は、友子が晃ちゃんの肩を持つようにも思えて、晃ちゃんに何があっても、友子や穂香ちゃん達が許しても私は許さないとさらに怒って、妹達の前から立ち去ってしまった。
「純子も何か言いなさいよ!」
「神谷さん達にはお兄ちゃんも私も言うわ。」
 何か言いなさいと強く言う私にも、純子も神谷家には将人も私も言うと応えた。
「桃子!」
「光!」
 私が話したいと呼んだら、光も天野家に来た。
「桃子も許してくれ。俺が話していたのは俺の姉ちゃんだ。」
「葉月ちゃんだったのね。私も光くんには怒らないわ。」
 光も、私にも女性と一緒にいたのを許してくれとも、話していたのは葉月ちゃんとも言った。私も葉月ちゃんと話していたくらいなら怒らないとも許した。
「琴音ちゃんも菜月ちゃんも大丈夫みたいよ。」
「晃太くんも元気だったわ。香穂ちゃんも優しいの。」
 純子は宮本家や神谷家の皆ばかり心配して、私にも友子にも目を向けない。
「純子は他の家の子達ばかり心配するのね!」
「お姉ちゃんは他の家の子ばっかり。」
「誰の家の皆を心配しても私の勝手よ。」
 私も純子が他の家の皆ばかり心配するのも責めた。友子も純子は他の家の子ばかりとあきれた。何を言われても、純子も他の家の子達ばかり意識して、姉妹を相手にしなかった。
「私も痩せたら光くんも振り向いてくれて、晃ちゃんも乱暴しないのかな・・・。」
 次第に、私ももっと痩せたら光くんも振り向いてくれて、晃ちゃんも私にも乱暴しないとも思えてきた。
「ご飯は食べないわ。」
 私は朝食も昼食も全く食べないと決めた。自然に食欲も失せて、朝昼はご飯も何も、全く食べたくなくなった。
「桃子がご飯を全く食べないの。」
「どうしたんだろうな。」
 私がご飯を食べないのを、パパもママも心配して話し合ったが、私は無視した。
「桃子、ご飯置いておくわね。」
 ママも私のために、ご飯を部屋に置くようになった。
「夜になると食欲が湧くの。ご飯が食べたいの。」
 私はママが運んでくる夕食は普通に食べた。いや、異常な食欲が湧いてきて、貪り食って平らげてしまったが正しい。
「食べてしまったわ・・・。太ったら光くんに見捨てられる、晃ちゃんに乱暴されるのだわ・・・!」
 私は食べてしまった罪悪感と、太ったら光にも見捨てられる、晃ちゃんにも乱暴される恐怖で、水を飲みながら口から喉に手を突っ込んで、食べた夕食を吐き出してしまった。
「食べたくない。食欲がなくて何も食べたくないの。」
「食べたい。でももっと痩せたいの。」
 私は、その後も食欲不振と異常な食欲を繰り返すようになった。
「食欲がなくてお腹が空かない。何も食べないわ。」
 私は空腹感も食欲もなくて、何も食べない日もあった。
「食べたい。どうしても食べたい。でも痩せたい。」
 私は異常な食欲が湧いてきて、ご飯を何杯も食べる、パンを何枚も食べる、カップ麺を何杯も食べる、天野家のストックのお菓子を全て貪り食う等と過食をした日もあった。過食した後は水やジュース、お酒を大量に飲んで吐き出した。
「生理が来ないわ。生理がないとママになれないの。」
 食べないと食べ過ぎを繰り返した私は、生理が来なくなった。生理が来ないと排卵がないので母になれない。
「桃子、大丈夫?」
「健ちゃんが亡くなって、光くんが他の女性と仲良くしていて、穂香達が晃ちゃんに乱暴されて、純子も他の家の子達ばかり心配するから、私もご飯を食べたくなくなってしまったの・・・。でも夜になると食べたくて食べたくて、食べ過ぎてしまうの・・・。」
 ママも心配して聞いたが、私も健ちゃんが死んだ、光が葉月と仲良くしていた、穂香達が晃ちゃんに乱暴された、純子が他の家の子達ばかり心配する等の理由が複雑に絡まり、ご飯を食べたくないとも、食べ過ぎてしまうとも応えた。
「食べた後に何をしているの?」
「言えないわ・・・。」
 ママも私が食べた後に何をしているかも聞いたが、私も言えなかった。
「仕方がないな。俺達も様子を見るしかないんだ。」
 パパも仕方がないとも、様子を見るしかないというしかなかった。
「太り過ぎよ!」
 骨が見えるくらいの手足、痩けた頬を見ても、私は太り過ぎと貶した。
「友子はお姉ちゃんをどう思うの。」
「私は知らないけど。勝手に食べたければ食べればいいじゃない。」
「友子、お兄ちゃんやお姉ちゃんや私にそんな言い方があるの!」
「私も言いすぎたと思うけど、食べ物の問題も他の家の問題も私も関係ないからね。」
 純子と友子が言い争う傍でも、私はママが作った夕食以外にも大量のご飯、菓子パン、お菓子を過食して、ジュースやお酒を過飲して嘔吐してしまった。


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