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【屋久島】激闘!風雨、猿、鹿、鼠そして人との出会い(2日目)

屋久島旅行記第二回
今回から激闘の縦走二泊二日をお届けします!

屋久島二日目であり、山行一日目。
始まりの日、出会いの日、相対的に一番天気が良かった日である。
この日の対戦相手は鼠。対よろです。


■全体計画

登山計画はざっくり以下のように立案。
1日目に淀川登山口から入山し、淀川小屋で一泊
2日目に最高峰宮之浦岳に登頂し、新高塚小屋まで降りて一泊
3日目は縄文杉を観て白谷雲水峡を散策して下山

この計画はJINさんという登山YouTuberの経路を参考に、もとい真似させてもらった。

実際の山行経路はYAMAPを確認してほしいが
オチを最初に言うと、全然想定と違った!
苦労話だけなので美談や美しい風景が見たい場合はJINさんの動画見といてもらえればいい。


■ヤクスギランドまで

登山初日となる本日は朝7時に宿にて起床。
食パン1枚勝手にとって勝手に焼いて勝手に食っていいという宿のスタイル。
紅茶も入れていいし、はちみつも置いてあったので、
はちみつ入りの紅茶をありがたくいただいた。

天気は曇天。
降ったり止んだりのはっきりしない天気。
まあ土砂降りじゃないだけいいかと出発した。
小屋がいっぱいだった時のためにテントも持ってきた。
熊野古道で後半かなりバテたので、寝袋をダウンハガーにして軽量化を図ったが、今回の山行はどうなるか、、。

空港から9:03発のバスに乗り込む。


当初の予定では、朝から向かって昼頃に入山。
淀川小屋は1時間もかからないので、早めに小屋に入ってごろごろと本でも読んで過ごそうとしていた。
早い話がノープラン。ぽっかり空いた空き時間が存在する1日目。

宿のお母さんにこのことを話したら、ヤクスギランドでも行って来たら、という天啓を得たので、アイディアを頂戴して計画に盛り込んだ。

バスで空港から合庁前へ
バスを乗り換えてヤクスギランドまで行く。

余談かもしれないが、この島の移動はレンタカーやバイクなどなければ基本バス。
タクシーも走っているが、予約などですぐに手配できない場合が多く、断られることも多い。


■ヤクスギランド周遊

ヤクスギランドに到着すると時刻は10時過ぎ。
バス停近くに売店兼休憩所があったのでまず覗いてみる。
ヤクスギでできたキーホルダーや置物などがいっぱいおいてある。
コーヒーやスポーツドリンクなども買えるようだ。

ヤクスギランドの入口には地図があり、それぞれのハイキングコースに所要時間が明記されていてわかりやすかった。
30分、50分、80分、150分、210分とあり、時間や体力に合わせて選びやすいのが素晴らしい。


入場料500円を払い、ヤクスギランドに入国すれば木製の道と階段でできたコースを両側から大きな杉の木が覆うようにして群生している。

雨は降っていなかったが、木道が濡れてテカテカと光っているのが綺麗。

登ったり下りたり、木の又をくぐったり、橋を渡ったり、いろんな変化があって楽しい山歩き。
標識もところどころに立っていて、説明書きを読むのも楽しい。

ところで、このヤクスギランドに来ている客は僕以外すべて外国人のようだ。
平日ということもあるだろうが、熊野古道に続き、異世界の趣がある。






怪獣すぎる木の根
全てがでけえ

ある橋を渡って少し歩いたところに大きな倒木?があり、それをくぐらなければならなかった。
大きなリュックが邪魔でしんどかったが、なんとかくぐったところ、目の前に外国人夫婦が急に現れたので少し驚いた。
急に現れたといっても、夫婦は座り込んでいたので、脅かしたかったわけではなく、位置的に死角だったので驚いてしまった。
よく見ると夫のほうは膝から血を出している。

じろじろ見ていると、妻のほうが
「川に降りようとして転んじゃったの」と説明した。
濡れたタオルで献身的に血をぬぐっている。
「大丈夫ですか」と尋ねると
夫のほうから「大丈夫だよ」と返ってきた。
見た感じ、大したことない怪我だけど、出血が多いので気が滅入っている感じだ。
声の感じもそれほど悪くない。
「何かエイドは持っていますか」と聞くと
「持ってない」というので
手持ちの広めの絆創膏を渡してあげた。
「気を付けてね」と言ってその場を立ち去ったが、帰りにスタッフに一言このことを伝えておくべきだろうなと思った。


少し気がかりに思いつつ、残りのコースを楽しんだらあっという間に出口についてしまった。
実はコースを間違えてしまい150分のつもりが80分のコースに来てしまったのだ。
登山口まで行くバスの時間まで約二時間半。。
休憩にしては長い。

初めに物色した売店の二階に併設されている休憩所にリュックを下ろし、
昼食代わりのどら焼きを食べながら、本を読んで過ごした。
もはやここでは電波はないが、Wifiがあるのでネットもつながる。
天気はやはり回復しないようで、登頂する予定の明日は朝から一日雨のようだ。
早朝は少し期待が持てるかもしれないが、おそらく「降ってないだけ」って感じだろうな。

売店「森泉」(もりいずみ、ではなく、しんせん、と読む)の休憩室


■いよいよ登山口!のまえに紀元杉

かなり時間を持て余しながらバスを待つ。
ようやく来たバスも、荷物を背負うのにもたもたしてたらおいていかれそうになった。。


と、またもや困難?に見舞われながらようやく登山口最寄りのバス停に到着した。

バス停から1分ほど歩けば紀元杉という木を見ることができる。
これを見学して、ようやく登山口へ向かう。
30分ほど道路を歩くと登山口があり、公衆トイレもあった。

用をすましていざ登山開始!
コースタイム45分のお気軽登山である。


紀元杉自体は撮るの忘れてしまった。
淀川小屋までの道
淀川小屋はこんな感じ。写真だと小さく見えてしまうけど、割と大きい。
2段になっている。一人分の寝床がテープで仕切ってある。この日は空いていたのであまり気にせず贅沢に使わせてもらった。
黒伊佐錦と澄んだ水

■今夜のお宿、淀川小屋

淀川小屋についてみるとかなり綺麗なテント場と小屋があった。
もっと驚いたのが、人が全然いないこと。
小屋の中も外も全然人がいない。
ハイシーズンは人であふれかえると聞いていたが、、

テント張るか迷って、めんどくさくなって張らなかった。
(熊野古道では無理やり張ったのに、、)

ちなみにここを含めて、屋久島の山域にある山小屋は避難小屋スタイルものしかなく管理人などがいない。


小屋にはご夫婦が1組おり、明日は下山するだけのようだ。
この夫婦も中国から来たようだけど、かなり日本語が達者で普通にコミュニケーションが取れた。


■水場の出会い

荷物をほどいて、エアマットと寝袋を準備したら、水場に水を汲みに行く。
小屋のすぐ隣に流れる川が水場になっていて、透明すぎる川で水をくむ。
(気になる人は浄水器など使ったほうがいいかもしれない)

水場では、さっきとは別の夫婦がおり、こちらは日本人でしかも若い。
同じくらいの年齢だったので少し話したら、かなり感じのいい夫婦だった。

透き通りすぎて川と認識できない

彼らは小屋の隣のテント場でテントを張っていた。
珍しいフリースピリッツのテントだ!と内心思ったが、合って早々そこまで距離を詰められる僕ではない。
内に秘めて、自分の飯を作ることにした。
(実はこのお二人とはのちに親交を深めることになる)。

夜ごはんは何年も眠らせていたフリーズドライのパスタを食べる。

あとは適当に持ってきたスナックを食べながら
黒伊佐錦の水割りを飲む。当然さっき川で汲んできた水だ。
これがめちゃくちゃうまかった!
山じゃなければ一升飲めると思った。水がいいのか滑らかで口当たりが優しい。

山なのでちびちびとやりながら、本を読みゆったりとした時間を過ごした。
曇天だが雨は降っていない。


中国人のご夫婦と、後からやってきたソロの中国人男性は3人でしゃべっている。
時々話を振られたので、適当に返す。

日が暮れてくると早めに小屋の中に入って、タブレットに入れた本を読む。
今回は、山を歩きながら本を読むことがテーマになっている。


■激闘は夜に待っていた!

ゆったりとした一日であったが、戦いはここからだ。


夜も八時くらいになると、みな一様に消灯モードになる。
最後の一人がライトを消した瞬間、カサカサと物音がする。
物音はだんだんと大胆に素早く動きまわり、小屋の中を縦横無尽に走り回るようになる。

鼠だ・・・!


小屋の外にあった張り紙を思い出す。
「ヤクシマヒメネズミ」という種がいるらしく、食べ物はリュックにしまうなど対策をしろと注意喚起する張り紙だった。


ヤクシマヒメネズミ
画像はhttps://tabira.biz/jyouhou331.htmより


愛らしい外見のあいつがこんなに傍若無人に走り回るものかと思って真っ暗な小屋で目を閉じながら、音だけでその位置を感知してみる。
なんと明らかに頭上のすぐそこを走り抜ける音がしている。風を感じる・・・!

咳払いや寝返り、床をバンバンたたいてみるなど抵抗してみるが一向にその傍若無人なふるまいは更生されず、戦々恐々として眠れなくなっていた。

小屋に泊まっていた中国夫婦、中国ソロ、僕の3組はそれぞれ、小屋の四隅のうち3か所を陣取って寝ていたのだが、
鼠がそれぞれの角に到着するたびに、そこにいるものが物音を立てる。

ガサガサガサッ…!   \バンバン!/

             ガサガサガサッ…!   \ゲフンゲフン!/

       ガサガサガサッ…!   \ドン!/ 


こんな調子がどれだけ続いたろうか。
これでは寝られないかもしれないと思ったとき、
「ぐおおおおおおお…!ぐおおおおお…!」という呻き声、いやイビキが聞こえてきた!中国ソロの方面からだ!

勘弁してくれよお、と涙目になりそうだったが
はっと気づく・・!
鼠の足音が聞こえない!
この激しい、熊の雄たけびかと思うほどのイビキに縮こまっているに違いない!

俄然、これが好機と勢いづき
いいぞ!もっとやれ!中国ソロ!
いけ!行くんだ!もっとだ!
と終始イビキを応援していた。

ところが
(イビキをかく人と生活した人ならわかると思うが)
寝ている間ずっとイビキを書いているわけではない。
小休止などを挟みながら、波があるのだ。

そうすると、鬼のいぬまに、とばかりに鼠の這いよる隙が出てくる。
ダメだ!負けるな中国ソロ!いけ!
よし!その調子だ!まだ休むんじゃない!お前はまだいける!
と一人でヒートアップして応援していたらいつの間にか眠っていて、朝になっていた。

鼠との勝負は中国ソロ男性のおかげで、辛くも勝利した形だ。

しかし山との本当の勝負はここから。
悪天候が予想される中、どのような山行になっていくのか・・・
次回、激闘が加速する!

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