台風を心配しながら、朝から家族で、映画『ブルーピリオド』を観た日
ツムギが『ブルーピリオド』を知ったのは、大好きな図工の丸先生に教えてもらった、小学五年生のことだったと思います。
絵を描くことが好きなツムギと相性が良かった丸先生は、図工室の前に、おそらくご自身で足を運んで手に入れたであろう都内の美術館のフライヤーを置いて紹介してくださるような方で、こどもが美術に興味を持ちそうな切り口をたくさん持っている先生でした。
そのころのツムギの口からは、丸先生が!丸先生が!という言葉をよく聞いていました。
「美大のことを知るには、『ブルーピリオド』を観たらいいんだよ!丸先生が教えてくれたんだ!」
なんちゃって美大生(美術短大の服飾科卒&美大通信部中退)の私は、半分興味を示しながらも、ツムギのプレゼンでは行動に移すまでには心を動かされず、先にグングンアニメを見進めてしまうツムギに、そのうち見るねと返事をして終わらせていました。
私が『ブルーピリオド』の映画化を知ったのは、夫と二人で深夜に行った映画館の予告映像でした。
8月9日公開予定!
あら、夏休みにみんなで観るのにちょうどいいじゃない。
11日に部活を終えると、ツムギはそそくさと祖父母の家に行ってしまったので、観に行くとしたら、15日か16日。
15日、久しぶりに自宅に戻ったツムギは、自分の部屋の汚さに驚き、セッセと大掃除を始めたものの、夕飯の時間にも終わらず、最終の上映時間でも特別に連れて行ってあげるかな?と思って、映画館のサイトを見ていたら、あら、青少年育成条例によって、18歳未満は保護者同伴でも、23時を過ぎる上映回は入場できないことになっているのですね。
それを伝えると、案の定、地団駄を踏んで悔しがるツムギ。
翌日は台風接近の予報が出ているしなぁ。
8時台か17時台。
どちらか空と相談しながらなら行けるかな?
という流れで、結局、朝イチの上映回に家族三人で向かうことにしたのです。
結果、雨に濡れることもなく、台風も、いつもより強風かな?ぐらいで、去って行ってくれたのですけれど。
さて、前置きが長くなりましたが、映画は期待を上回りました。
ひと言で言うと、絵を描きたくなる!
主人公の八虎が、美術部の先輩が描く天使の絵を見て東京藝術大学を目指すという、映画の尺で描くには半ば強引な設定なのですけれど、八虎の葛藤や、段階的に上手くなる間が丁寧で説得力があるため、さほど違和感なく観ることができます。
私の感動ポイントは、八虎の不良仲間が八虎の挑戦を、自分のことのように応援し続けてくれる姿でした。
もちろん、一緒に美大を目指す、個性的なライバルたちの存在も大きく、若いっていいなぁと、ありきたりの感想も持ってしまうのですけれど。
そして、高校生のこどもの将来を心配する父、母の言動も、今の私自身と重ね合わせ、自分だったらどうするだろうか?と考えさせられます。
映画の中で、たっぷりと作品を観ることができるので、美術鑑賞をしたような満足感もありました。
眼鏡女子のツムギは、うっかり眼鏡を忘れてきて、「大画面で絵の質感をじっくり観たかったのにぃ〜!」と、自分に腹を立てていましたが(笑)
東京では2年前に、『ブルーピリオド展』が開催され、作中の絵画の展示もあったみたいですね。
ああ、残念。
もう一度開催されたら、絶対観に行きたい!
絵を描くまでずっと"透明"だった
その八虎が、自分の好きを見つめ、前を向いて進み続ける姿は、大人になってしまった私たちでも、まだ何かを始められるのではないかという気持ちにさせてくれます。
そして、"今の時代の子育て"に迷っている親たちにも、いくつかのヒントを与えてくれるように思います。
映画を見終わって帰ってもまだお昼前。
夫は、付き合わされて早起きしたものですから、午後は寝させてと、寝室に向かいました。
ツムギは、ちょっとヤル気スイッチが入ったのか、文句言いつつ、宿題をすると、自ら自分の部屋に籠りに行きました。
私は、ひとりゆったりとNetflixでアニメ『ブルーピリオド』を見始め、結局エピソード12まで一気見してしまいました。
なんと充実した一日。
そんな日は、例に漏れず、夕飯準備中にツムギに絡まれて一悶着あったのですけれど、どうにかいい形で収めることができました。
ああ、よかった。
ちなみに、私は何の前情報もなく映画を観て、その後アニメを観たのですけれど、先に原作を読んだりアニメを観た人は、ちょっと物足りなさを感じるかもしれません。
あくまでも尺の問題で、キャスティングには満足できると思いましたけれど。
原作、大人買いしちゃうかもです!
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