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KPIマネージメントの落とし込み方


KPIとは

KPIとは Key Performance Indicator の略語。
それぞれの単語を直訳すると
key=鍵
Performance=性能、成果、業績
Indicator=測定器、指標、尺度

事業成功の鍵を数値目標で表したものの事を指す。

ただ単に数字で表して見るという事ではなく、事業成功が何であるのかを明確にし評価する手法である。

事業成功がどんな目標を達成したモノで、達成するための成功のカギを数値目標で表したモノである。

ビジネスでは来月の売り上げを100万円にする採用活動で応募者数を2倍にするといったように、さまざまな場面で活用される。

KPIマネジメントの2つのメリット

1つ目は、KPI マネジメントを実施することで目標に向けた具体的な行動が明確になりプロセスが見えることで、いつまでに何をしたら良いかが明確になり格段とゴールに近づける。
運動神経が良くなりたい、頭が良くなりたい、痩せたいと思うだけでは実現しない。それらが具体的にどういう状態になる事を指しているかを明確にし、それを実現させる道のりを明確にすれば人は行動がしやすくなる。

2つ目に、それらが継続的な改善の材料になり成長につながる。目標に向かって順調に進んでいるかを把握する事で、上手くいってる原因も上手くいってない原因を明確にできる。
それにより次の行動の改善ができ、さらなる成長に繋げることができる。


KPIマネジメント実践の具体的な方法

KGI(Key Goal Indicator)最終的な目標数値
CSF(Critical Success Factor)最重要プロセス
KPI(Key performance Indicator)最重要プロセス目標数値
この3つは KPIマネジメントにおいて非常に重要な要素。

KPIマネジメントを行う10のステップ

  1. KGI(Key Goal Indicator)の確認

  2. ギャップの確認

  3. プロセスの確認

  4. 絞り込み

  5. 目標設定

  6. 運用性の確認

  7. 対策の事前検討

  8. コンセンサス

  9. 運用

  10. 継続的に改善

1. KGI(Key Goal Indicator)の確認

Goal Indicator つまり最終的な目標数値のこと。KPIマネジメントではまずは目標を何にするかが重要。最終的に到達させる最も重要な数値目標を決定。冒頭の例でいう来月の売上を100万円にするやフルマラソンで4時間を切るなど。
チームで取り組む場合、必ずこの目標値を関係者間で確認する事が重要。

2. ギャップの確認

KGIを設定したら現在とKGIのギャップを確認する。例えば来月の利上げを100万円にするのがKGIの場合、現状の延長でいくと来月の売り上げは80万円程の見込み。そうなると現在とKGIギャップは20万円。20万円伸ばさないと目標である100万円は達成できないということがわかる。

3. プロセスの確認

来月の売り上げを100万円にするのがKGIの場合、現在とのギャップである20万円の売り上げをどうしたらあげられるかを考える。具体的には自社のビジネスがどのような数式として表現できるのかをモデル化する。シンプルに表現すると
売り上げ=販売数量 × 平均単価と表現できる。さらに
販売数量=アプローチ量 × 歩留まり と表現できる。
歩留まりとはある量から最終的な成果に至る割合を示す指標。この例ではアプローチから販売に至る割合になる。つまり売上を上げるための選択肢は次の3つに大別できる。
1.アプローチ量を増やす
2.歩留まりを向上させる
3.単価を上げる
そのために何をすれば良いのかを考える。例えば営業活動を例にするとアプローチ量を増やすためには営業担当の数を増やす。営業歩留まり率を向上するには顧客にインセンティブを付与する。単価を上げるには値引きを小さくするなどが考えられる。

4. 絞り込み(CSFの設定)

CSFは Critical Success Factor 最重要プロセスのこと。
step 3で上げた沢山のプロセスの中で最も重要なプロセスを絞り込む。これが CSFの設定。絞り方は2つのステップで進めると良い。1つ目定数と変数を分ける。2つ目残ったものから CSFを選択する。先ほどの来月の売上100万円にするがKGIの場合、売上=アプローチ料 × 歩留まり × 平均単価の数式の中でどれが定数でどれが変数なのかを確認。定数が変化しないので CSF候補から除くことができる。実際には多少変化したとしても自分ではコントロールできる範囲が小さい要素を定数と置く。今回は営業という設定なので商品の価格は本社が決めている場合、価格を定数と置くことができる。アプローチ量を増やすには営業担当者の数を増やすなど新たなリソースが必要になることが多い。そうなると1営業の立場で
はなかなかコントロールができないためアプローチ量も定数と置く。そこで残りの歩留まり率に着目しこれをさらに因数
分解していく。例えば認知、興味、利用というステップに分解し利用者を増やす事をcsf と決め、さらにデータを分析すると一つの商品より複数の商品を提案した方が受注率が高くなることをデータで把握できたとして、そうなると複数の商品を提案し利用者数を増やすことをCSFに設定することができる。

5. 目標の設定

ステップ4を設定した CSFをどの程度の数値目標にするのかが次のステップになる。この数値がKPIになる。KPI  Key performance Indicator 最重要プロセスの目標数値、つまりKPIが達成できれば結果としてKGIが達成できるといえる。
例えば1つの商品の提案すると受注率が10%、複数の商品の提案をすると受注率が30%であることがわかった場合、受注の平均単価が1万円だとすると売り上げ目標100万円を達成するためには一つの商品を提案する場合、売り上げ目標100万円÷平均単価1万円÷受注率10%=1000人に提案が必要ということになる。そして複数の商品を提案する場合、売り上げ目標100万円÷平均単価1万円÷受注率30%=333人に提案が必要となる。複数の商品を提案すれば効率よく受注数を増やすことができることが分かる。なので333人に複数商品を提案するが KPIだ。
ここまでを整理するとこのような感じになる。ここまでが KPI設定の一つの山だ。 KGIは来月な売上を100万円にする。そしてCSFは複数の商品を提案し利用者数を増やす。そして
KPI333人に複数商品を提案する。

6. 運用性の確認

KPIマネジメントをきちんと運用できているのかを設計する
プロセスになる。ポイントは3つ
一つ目整合性。CSFが変化するとKGIも変化するか KPIを達成するとKGIも達成するかといった理屈の正しさを確認する。実際にはやってみないとわからない場合もあるが、できる限り事前検証を行うことが大事だ。期間を区切り実験を繰り返して精度を高めてから全面展開するなども、段階を踏むのもOK。
二つ目安定性。KPIの数値所得が安定的にできるかということで、先ほどの例であれば複数商品を提案しているかカウントするだけなので安定的にリアルタイムに数値の把握が可能である。
三つ目単純性。シンプルに理解できるかどうかということ。チームメンバー全員が理解できることをシンプルである必要がある。

7.対策の事前検討と8.コンセンサス

KPI数値が悪化した場合の対策を事前に決めとく。数値が悪化した場合の対応策は大別すると次の4つ
1. さらに資金を投入する
2. さらに人を投入する
3. 両方やる
4. 何も変えない
実際に数値が悪化してから検討すると時間がないので結局何もしないという判断するか、きちんと検討せずに必要な経営資源、、つまりヒト、モノ、カネを多めに投入するしか
なくなってしまうので事前に4つの項目を決めとく事が大事。<1>いつ
<2>KPIがどれぐらい悪くなったら
<3>どうするのか
<4>最終判断者
例えば試作1週間経過後に KPIが想定よりも20%低い場合た組織から人員を10名投入する最終判断はまるまる部長といった具合。これを事前に決め文章に残しておくことでKPIの数値悪化時に短期間で意思決定できるようになる。

9.10 運用と継続的な改善

本当にそのKPIが正しいかどうかはチューニングをしていくことが大切でマネジメントの進化には振り返りが不可欠。著者の中尾さんが自ら考案した PDDSサイクルが大事と言っている。
P. Planよく考えて 
D. Decide 素早く絞り込んで
D. Do 徹底的に実行して
S. See きちんと振り返る
最後にまとめて振り返るのではなく実行途中にKPIの数値目標を達成しているかの状況確認を行うことが重要。信号を例に説明すると青はKPIの数値目標を達成している状況、このまま進んでも大丈夫。黄色 KPIを達成していない状況で問題が起きつつある状態、つまり注意をするあるいは止まる、そして赤、未達成が続くあるいは大幅な未達成つまり止まる現在の戦略戦術を継続して行うのではなく立ち止まって事前に想定した対策を打つということになる。信号で例えるとCSFとKPIが一つであることの大切さがわかる。車で交差点に進入しようとしているあなたを想像してみてくれ。交差点で自分が見るべき信号がたくさんあったらどうだろうか?進んで良いのか止まって良いのかが分からなくなってしまう。 KPIマネジメントでは特にチームで取り組んでいる場合、CSF、KPIが複数あるとメンバーによってはそのうちのいくつかしかやらなくなってしまい、そうなると正しく振り返ることができなくなってしまう。
設定したCSF KPIが間違っていたらどうしようと不安になることがあるがこの不安に負けてCSFに2つ目を加えるともうおしまいだ。勇気を出して一つに絞ってKPIマネジメントを実践していって欲しい。

まとめ

最後にもう一度おさらいをする。KPIマネジメントのステップはこちらの10ステップになる。このステップを踏んで
KPIマネジメントを実践していくことで目標に向けた具体的な行動が明確になり行動に移せる。そして継続的な改善の材料になり成長につながるといったメリットがあります社会人になると必ずと言っていいくらい活用する場面が出てきますので今のうちに習得しておこう。

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