見出し画像

「時短の科学」の内藤先生に講演をしていただいた話

昨日「時短の科学」の著者である内藤耕(ないとう・こう)先生に、社内向けにご講演いただきました。

もともと当社の多くのメンバーがこの書籍を読んでいましたが、様々なご縁が重なり直接お話をさせていただく機会を得て、今回の運びとなりました。

「生産性を向上させる」

このフレーズ自体は世の中で叫ばれて久しいものですが、実態は劇的に変わったとはいい難い状態がまだまだあります。その現状を打破すべく「科学的」なアプローチで生産性を高めるための考え方や事例を、たっぷりとお話をいただきました。

・「科学的」とは、客観性 / 再現性 / 一般性 があること
・「サービス」とは、提供者の行動と受益者の要求の”重なり”部分(重ならない部分は、ムダと不満)
・「行動」には、売上増につながる「仕事」、売上増につながらないが必要な「作業」、必要ない「ムダ」が混在している
・サービスは在庫できないため、リアルタイム提供が必要。そのためには、場所 / 時間 / 情報 を顧客に近づけることが重要

また、具体的な事例についても非常に興味深いものでした。例えば、ある旅館での下膳・洗浄業務を見直した事例は、、

画像1

<Before>
・下膳のラックに集める(→ ラック置き場が必要)
・集まった食器をまとめて運ぶ(→ 運ぶ作業が発生)
・運んだ食器をバックヤードに置く(→ 一時保管場所が必要)
・食器を大型洗浄機で一気に洗う(→ 大型食洗機や並べる手間が必要)
・洗ったお皿を保管する(→ 保管場所や並べる手間が必要)
・洗っている間に使うお皿が必要(→ 席数100なのに、1,200枚。。)

<After>
・ホールスタッフが都度回収(→ ラック置き場が不要、運ぶ作業も同時)
・運んだ食器を直接食洗機に(→ 一時保管場所が不要、並べる作業も同時)
・小型洗浄機でこまめに洗う(→ 機械が小型化)
・洗ったお皿はすぐ使う(→ 保管場所や並べる手間が不要)
・お皿は常に高稼働(→ 1,200枚あったお皿が120枚でよくなった!)

こう比較してしまうと、ぐうの音も出ないというか、どう考えてもAfterの方が生産性が高いのは一目瞭然です。

そうは言っても、難しい。

上記の例は、ただただ納得するばかりですが、
・Beforeの状態だけを見て、Afterのアイデアが浮かぶか?
・Afterの状態を見て、Beforeの方がよさそうと思ったりしないか?

と言われるとなかなか難しく、内藤先生だからこその「見極め力」が必要と思ってしまいます。

そこで、どうにか同じような観点やアイデアを自分でも出すためにはどうしたらいいか?ということを考えてみました。

ひとつ、思い至ったのは「サービスの価値を分解する」というアプローチです。

画像2

例えば、旅館と言っても多種多様ですが、旅館に求めるサービスバリューを書き出してみると、睡眠と食事と温泉というふうに要素分解はできそうです。もちろん、もっと他にも(例えば、周辺の見どころ、お土産、、)あるのでは?ということも、こう書いていくと見えてきます。

次に、それを細分化していくと、それぞれのサービスを決定づける要素に分けていくことができます。図の枝はどんどん分かれ、伸びていきます。

こうすることで、一本の木がどんどん生い茂っていくように、提供しているサービスがどんどん(良くも悪くも)複雑化してしまうのだろうと思います。

その中で、一枚の”葉っぱ”の単位でちょこちょこと効率化を試みても、本質的な改善には繋がりません。

・この業務って、何のためにやっているんだっけ?
・だったら、思い切ってなくしたり、別のやり方にすればいいんじゃない?

ということを、枝の階層をさかのぼって考えたりすることで、よりドラスティックな(ときには、現場から反感を買うかもしれないが本質的な)改善ができるのかもしれません。

まさに庭師のように、いる枝いらない枝を見極めて、木の状態を改善していく。そんなイメージです。

画像3

内藤先生のように「この枝なくせばいいんですよ」とパッと見抜くことは一朝一夕には難しいかもしれませんが、「サービスの価値とは何か?」を愚直に問い詰めていくことであれば、少しずつでもできるかもしれないと思いました。

内藤先生、ご講演ありがとうございました!