おかえり、Jリーグ。

はじめて見たのはもう20年近く前。

セレッソ大阪vsサンフレッチェ広島だった。確か2−0でセレッソが勝った試合だった。大きな長居スタジアムにはたくさんの空席があったのを覚えている。その日から、僕の心はJリーグの虜になった。

いつしか友達とチケットを買い、電車に乗って応援に行くようになった。長居スタジアムまでは電車で約1時間。まだ僕たちは小さくて、電車の乗り方も、鈍行と特急の違いもわかっていなかった。でも、Jリーグが観たくて、路線図や乗り換えを覚えて、スタジアムの通い方を学んだ。

駅につくと、サッカーがある日は　コンビニもケンタッキーも餃子の王将も靴屋さんもJリーグ一色だった。どこを歩いてもユニフォームを着た人がお祭り気分でウロウロしている。カレー屋さんのインド人もここぞとばかりにJリーグに相乗りしたカレーを出していた。

Jリーグを通じて、たくさんの出会いに恵まれた。知らない街に行くのも、電車に乗るのも、友達と出かけるのも、Jリーグがくれたものだった。

あのとき電車の横の席に座っていた仲間は、いまはJリーガーになった。僕は働くスタッフとしてJリーグに関われるようになった。人生何が起きるかわからないものだ。あのとき見た光景が、いま目の前にこんな形で帰ってくるなんて。

今日、Jリーグが再開する。社会情勢を踏まえて、無観客試合（リモートマッチ）で再開する。スタンドには誰もいない。通常再開までの道のりはまだ長い。でも、こんなワクワクする週末は久しぶりだ。

見知らぬ人と喜怒哀楽をわかちあえる場所。一体感、高揚感に包み込まれる場所。人生は豊かだと感じられる場所。久しぶりの週末だ。

おかえりJリーグ。

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