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それでも好きなんだよなぁ

脚に障害がある俺にはもう二度と挑戦することは出来ないんだけれど、実は小さな頃からスケボーに憧れがある。
最初は従兄がやっていたのをそばで見ていたから。


これがやってみるとえらく難しい。
左右のバランスはなんとか取れるが、油断すればすぐに後ろにすっ飛んでいってしまいそうになる。
ジャンプなんて出来る気がしない。

あまりの才能の無さに諦めていたが、ある時映画を見て気持ちが再燃。
バック・トゥ・ザ・フューチャーだ。

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公開当時中学生だった俺は刺激されまくり。
もしかして今ならもう乗れてしまうんじゃないか?!と挑戦してみたものの、実力は全く変わっていなかった(笑)
俺には才能がないらしい。

そんなこんなで青春時代を終える頃には事故で障害を負ってしまったので、もう一生挑戦することすら無理になってしまった。

だから今は見る方専門。
youtubeで大会でのスゴ技を見るのも好きだし、そこらの広場でトリックに挑戦している若者たちを見るのも大好きだ。(もちろん迷惑行為にならない程度の場所でやってる場合ね。ルールは守ろう)


で、先日いつものように自転車を松葉杖代わりに散歩をしていたんだけれども(実はお酒を飲んでいない時の下り坂くらいしか自転車には乗らないのだ。酔ってる時の下り坂はペダルに足掛けごまかしごまかし(笑))、ふとスケボーでトリックに挑戦している少年たちを発見した。

これは酒の肴になるなぁと大慌てでお酒を買ってきて、遠くからそれを眺めていた。
スケボーを縦に二段に重ねて置き、それをジャンプするという何気に難易度がかなり高いもの。

「あ!あぶない!」
「あぁ惜しい!!」
「今だ!!ああ!」

心の中で叫びながら酒を飲む。
そのうち何人かいたうちの一人がついにジャンプ成功!
思わず拍手。すごい!

そばにベンチがあったので、目の前で少し見学してもいいかと聞いてからベンチに座った。
しかし残念ながらすぐに警備員が来て、ここでスケボーをやらないようにと言われてしまったようで中止になってしまった。
ついでにベンチで飲酒していた俺も目で追い払われてしまった(笑)あんたもわかってるよね?


そのスケボー少年達はちょっとした草むらで輪になって談笑していた。
俺は帰り支度をしながら「俺もなんだか追い払われちゃったよ。すごいねさっきの」と軽く話しかけた。

少年達は明るく返事をして気軽に対応してくれる。
やたらとノリのいい子が金髪の俺を見て「ヒカキンだ!」と言って動画を撮り始め「違うから!やめて(笑)」と言いながら俺も笑っていた。

少年達は大会にも出ていて、何かの大会で4位になったなんてことも聞いた。
つくづく尊敬するよ。俺には出来ないし、脚の障害のこともあって挑戦することも出来ない。


頑張ってほしい。
応援しているよ。
いつの日かその努力が日の目を見ることを祈ってる。


酒を飲みながらストレートに伝えた。
いつかテレビでみんなを見られたらいいなと思いながら。

ここからは記憶はとぎれとぎれだ。


ベンチに移動してみんなの話を聞きながら、一休みして酔いを覚まして帰ろうとしていたはずだ。
帰りはほぼ下り坂だけれど、もう少し酔いが冷めないと自転車には乗れそうもない。

どこかまた別の場所で練習するのにいい場所があると聞き、酔い醒ましの散歩がてらついていく。
歩行者用の高架下のトンネル。

次の瞬間、俺はそのトンネルに這いつくばっていた。
何の予告もなく、後ろから腰を蹴り飛ばされたのだ。

吹っ飛んだ瞬間、障害のある左膝を咄嗟にかばう。
両手と右膝は肉がむき出しになったけども、どうにか左膝は守ることが出来た。
ここで少しでも左膝を打っていたら俺はもう二度と歩くことが出来なくなる可能性がある。

その後は何があったかよくわからないが、あとで自分の体を調べてみると肋骨が二本折れていたので蹴られたか?
そして素手では絶対に与えられないダメージが左目に入る。スケボーだ・・。

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ダメージを喰らいながら「これは普通の人なら死ぬやつだな・・・」と考えていた。これはヤバい。
普通の人生を送っていた人にはまず耐えられる衝撃ではない。
大げさに言ってるだけと思われるかもしれないが、今まで書いてきた話をよく考えてほしい。

骨折や自転車で回転して頭から落ちて怪我したことを笑い話にして書いてきた男がだ。ヤバいと感じたレベルなのだ。

そんなダメージを受けながら、俺はとにかく残念に思っていた。
そして相手が俺で良かったとホッとしていた。
こんなことで人を殺めてはいけない。大丈夫。俺なら死なないと。

少年にしがみつきながら「応援してたのに残念だ・・」と言う俺に「酔っぱらいに応援なんかされたくねーよ」みたいなことを聞いたのが最後の言葉。
次に話しかけてきたのはジョギングで通りかかったどこかのお姉さん。

「救急車呼びます!」
「いや、お金がないんでいいです。このぐらい大丈夫ですから」
「大丈夫なわけ無いでしょ!!!!」

お金がないのは事実。
ただそれよりもこういった怪我があった場合、病院側から自動的に警察に通報されてしまうのだ。正直面倒。
俺なんかどうなってもいいのに。

救急車で脳神経外科に運ばれMRI検査。
案の定脳に異常はなし。左目を縫って終わり。
そりゃそうよ。車の事故で街路樹二本と標識と電柱をほぼ頭で叩き折った男だぞ(笑)
それでも脳にダメージなんかなかったくらいだ。このくらいは平気なのはわかりきってる。

そして予想通りえらい金額を請求された。
これでまた家賃は払えない。

病院から開放されて今度は現場に戻る羽目に。
自転車を取りに行かねばならぬのだ。
当然もう酔いは覚めているので自転車に乗って帰るのだけれども、左目が潰れているのとあちこち骨折しているのとでとにかく辛かった。


まあ通報されついでに、治療費くらいは請求しないとな。
嫁にも随分と迷惑をかけたし。
そうしてボロボロの体を押して警察に向かった。

何やら聞かれちゃ答え、写真を何度も撮られ、何やら書類を書いて帰る。
何日もそれが繰り返される。

なんか警察も俺が大丈夫そうだと思っているのか何度も呼び出してくれたけど、一ヶ月ほどまともに眠れないくらいのダメージ食らってるからな?
普通の人間なら病院のベッドの上か墓の下だぞ。金ないから病院行っていないだけで。

それから少しずつ様子が変わっていく。
以前書いたようにスマホの中身まで見られて写真まで撮られる。プライバシーも何もない。
嫁にすら酒や買い食いしたことバレないように必死でスマホ決済の履歴消してるというのに(笑)


そんなこんなで何度も警察に呼ばれて向かううちにスマホを落としてぶっ壊し、なんとかならんものかと色々いじっているうちに線を引きちぎってスマホに穴を開けてしまう暴挙に(しかし充電するとラインを受け取るピロン♪という音はする。画面はないけれど)

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(向こう側が見えてるけどなんとか生きてるらしい)


そして俺が喧嘩を売ったことになっていた。


ナニソレ。
最初からそんな予感はしてたけれども。
全てが解決したらこれらの話を出そうと思っていたし、本来駄目なんだろうけれど、ここまで来たらもうそんなもの知るか。

これで俺に不利になろうが味方がいなくなろうがもうどうでもいい。
こちとら生まれついてのアウトロー。言いたいことを言わせてもらって散るだけだ。


あとスケボー少年達。
人生はまだまだ長い。頑張れよ。
酔っ払いのおっさんはそれでも応援してるぞ。



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