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【講演レポ】OpsSummitより DXを失敗に陥れる業務のありかた 株式会社リビカル代表取締役 元山文菜氏

2021年6月16日から18日にかけて開催されたOpsSummit2021。IT運用に関わる人たちがターゲットのイベントだったのですが、今話題のDXに関するテーマが多く、講師陣も魅力的だったので参加してきました。その中でセミナー中にメモを取った元山さんの「過去の成功体験が足かせになる。 DXを失敗に陥れる業務のありかた」についてレポートしてみたいと思います。

元山さんは2~3年前にRPACommunityのイベントでお会いしたのが初めてですが、その時のLT内容が非常によく的を得ていて感激してしまったのを覚えています。

 

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株式会社リビカルの紹介

Re-engeneering Business Cuiture
私たちは「ビジネス」をデザインすることで誰もが「働く」を楽しめる会社を目指します。

'仕組み'改革:BPRコンサルティング
'意識'改革:講演・セミナー

DXを阻害する成功体験

コロナ禍で世界との比較~日本のICTが遅れている現状
→高度成長期の成功体験を引きずってしまっている

高度成長期時代の組織風土
男性中心、長時間労働、熟練度を上げ職人化、同一化/一体感、手本通り、一生懸命努力、縦割り、ミスを許さない、同じ条件の人

業務の在り方の変化
遂行
:言われた通りに早く大量に遂行すれば収益・利益につながる
遂行+改善:トヨタ式カイゼン、現場でやり方を改善していく
改善+創造:ホワイトカラー中心、新しい価値を提供しないと売れない

成功体験による慣習が悪習になる
会議だらけ、紙と押印文化、縦割り組織/業務、承認が多い業務プロセス、過剰サービス、不明瞭な業務内容と人事評価、完璧主義、安全志向
・・・・デジタル化しても業務の在り方を変えないとビジネス成果が出ない

ソリューションありきのDX

ソリューションありきの失敗プロセス
・トップの号令でスタート
・ソリューション導入が先に検討
・ソリューション導入が目的化
・業務と会わないソリューション
・現場に定着しない
・導入後の評価も行われず、廃止もされず
→悪影響(仕事量増加、生産性低下)が放置される

失敗パターン~散らかった業務から目を背ける
・オフィスワークは目に見えない、個人の判断が多い
・ひとまずソリューション導入で満足してしまう
・DXした気にはなるが成果が出ない

失敗パターン~運用(定着)のステップが頭にない
・開発→導入→定着→効果 運用(定着)を無視しては成果が出ない
・導入だけすれば成果が出ると勘違い
・DXした気になるだけ

改革と改善で解決

業務改善と業務改革の違い

業務改善
・現状を肯定
・ビジネスの前提は変わらない範囲での創意工夫
・今あるプロセスをより良くする
~家の不便なところを直す(壁紙の取り換えやふろの床を修繕)
<進め方>
・ムリ・ムダ・ムラを省き効率化する
・自部門内の課題
・ボトムアップ
・職場全員参加で10名程度のチーム
・日常業務として継続的に実施
・日々の業務から問題点を見つけ出す


業務改革(DXはこちら)
・価値創造、現状否定
・顧客視点で新しいビジネスモデル、プロセスを生み出す
~自分たちの暮らしを考え、部屋の配置を変えるなど抜本的にリフォーム
<進め方>
・企業活動や組織構造を抜本的に見直し
・顧客志向で一貫した業務プロセスに再設計
・トップダウン
・組織横断のプロジェクト型
・6ヵ月~10か月の期間
・ありたい姿を描きそこに向けて改革する
・業務可視化と分析、課題特定
・ソリューションや人員数の選定
・組織体制の再設計、新しい業務フロー、定義、手順
・スキルマップ、研修計画

トップダウン(改革)とボトムアップ(改善)の融合

業務改革の実行定着を業務改善の営みに繋ぎ、その結果を業務改革にフィードバックする

業務改革(BPR)による解決方法

BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)
古典的なビジネス構造を全面的に否定し、プロセス志向の新たな組織構造、価値観、評価システムをゼロから創り出し、抜本的な変化を起こすための一連の手順(マイケル・ハマー)
~今こそBPRによる抜本的な変革が必要

BPRのキーワード(最初からやり直す、再出発)
・根本的
・抜本的
・劇的
・プロセス

業務改革(BPR)の進め方
フェーズ1:課題把握、方針検討
・プロジェクトの目的、方針、メンバー選定
・調査(生産性分析、二重作業分析・・・・)
・分析(業務カテゴライズ、リスク分析・・・・)
・マスタースケジュール、投資対効果、リスクの確認
・施策の検討(洗い出しと絞り込み・・・)
フェーズ2:業務適用
・改革の詳細検討と業務切替、組織設計
・業務改善活動導入、BSCによるKPI設定・・・

業務の見える化
業務フロー図
・凡例を決める、担当者を入れる、粒度を決める、時系列に沿って進める

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業務棚卸表
・業務棚卸表を先に書くと業務フローが書きやすい

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業務を整理整頓(ECRSの順で検討)
廃止(Elliminate)
結合(Conbine)
入替・代替(Rearrange)
単純化(Simpllfy)・・・・ICTソリューションはここ


業務改善による解決方法

導入後はどのように評価するのかを決めておく
・定量的な評価 (品質、コスト、納期の軸を参考)
・定性的な評価 数値化できない評価・・・議論の幅が広がる
・「ふりかえり」を活用し定着させていく(KPTがおすすめ)


まとめ

・デジタル技術の素地は整っているが成果は出ていない
・業務の在り方は変わっている、過去の成功体験が足かせになっている
・デジタル技術は手段であって目的ではない

DXか改革、過去を疑って新しい業務を作っていく



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