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計画は利益から逆算して立てるもの

売上が増えればお金が貯まる?

開業してから少ししてだんだん売上が増えてきた、でもお金が残らない。
お金がちゃんと残るようにもっとがんばって売上を増やさないと!
…という話を聞くことがあります。
でも、もっと売上が増えてもやっぱりお金が残らないケースも多いんです。

売上から計画を立てて残ったものが利益という考え方では、こんなふうにお金が残らず資金繰りに困ることになりかねません。

計画は利益から逆算して立てるものなんです。

1. 目標の利益を決める
2. 実績の数字から固定費の見込みを出す
3. 実績の数字から限界利益率の見込みを出す
4. 必要な売上を計算する

という流れで計画を立てることをおすすめします。

費用は変動費と固定費に分かれる

決算書や試算表でも見たことがあると思いますが、
売上 ー 費用 = 利益
となることは難しくありませんね。
決算書では下のような計算になっています。

売上 ー 売上原価 = 売上総利益
売上総利益 ー 販売費及び一般管理費 = 営業利益

この費用(売上原価、販売費及び一般管理費)を変動費固定費に分けて考えてみましょう。

変動費は、売上が増えるにつれて増える費用
固定費は、売上が増えても減っても変わらない費用

のことです。

たとえば小売店の場合なら、

変動費は 仕入、材料費、送料、梱包資材費
固定費は 人件費、家賃、交際費、交通費、通信費、広告費

となります。
広告費も、売上と直接に結びつくものではなく、ある程度の予算取りをして運用するものなので固定費として考えます。

限界利益とは

限界利益とは

売上 ー 変動費 = 限界利益 

で計算される利益のことです。

決算書や試算表で見かける売上総利益とは、違う種類の利益になります。
売上総利益の場合は、
売上ー原価=売上総利益 という計算になりますね。粗利と言ったりもします。

また、限界利益率は

限界利益 ÷ 売上 = 限界利益率

で計算することができます。

固定費を限界利益率で割ることで、プラスマイナスゼロになるための売上を計算できます。
これを損益分岐点といいます。

限界利益には、貢献利益や付加価値という別の呼び方もあります。

必要な売上を計算する

目標の利益と固定費が決められたら、
限界利益率を使って

(利益 + 固定費)÷ 限界利益率 = 必要な売上

の計算ができます。

たとえば、

目標の利益:100万円
固定費:100万円
限界利益率:20%

であれば、
必要な売上:(100万円+100万円)÷ 20% = 1,000万円 になります。

このとき、目標の利益を2倍にすると、

目標の利益:200万円
固定費:100万円
限界利益率:20%
必要な売上:(200万円+100万円)÷ 20% = 1,500万円

となります。利益を2倍にするためには売上を2倍にする必要はないんです。

また、限界利益率が25%であれば、

目標の利益:100万円
固定費:100万円
限界利益率:25%
必要な売上:(100万円+100万円)÷ 25% = 800万円

というように必要な売上が少なくて済むことになります。
売上を増やすだけが利益を増やす方法ではない、ということですね。

限界利益から利益を増やす方法を考える

限界利益を増やす方法を考えてみると、

1. 価格を下げて、販売数を増やす
2. 価格を変えず、販売数を増やす
3. 価格を上げて、販売数はそのまま(または減らす)
4. 原価を下げて、販売数はそのまま(または減らす)

の4通りが考えられます。

こうして考えてみると、
1.と 2.のパターンでは販売数を増やすことになります。
そのためには人件費や広告費などの固定費が増えることが予想されます。
そうすると、必要な利益を残すためにはさらに販売数を増やすことが必要になりますね。

また、4.のパターンは仕入先との交渉となります。
仕入数を大幅に増やすのでなければ原価を下げることは難しいでしょう。

このため、多くの企業は 3.の「価格を上げて、販売数はそのまま(または減らす)」という方法が有効であると考えられます。

実際には、商品の種類は1種類ではなく、商品によって1個あたりの限界利益は違っています。1個あたりの限界利益の高い商品が売れ筋の商品となるように選択と集中をすることが有効な戦略と言えるでしょう。

まと

決算書や試算表の利益の計算のかたちのままでは、計画は立てられません。
変動費と固定費に分ける、限界利益に注目する、といった手間をかけて利益から逆算して計画を立てましょう。

・売上が増えてもお金が残らない、という場合には限界利益の考え方が必要
・目標の利益を元に限界利益率を使って必要な売上を逆算して計画を立てる

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