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円周率を24時間で150桁覚える方法

皆さん、こんにちは。佐伯恵太です。

昨日はScienceTalksさんのイベント「24時間YouTube LIVE サイエンスは地球を救えるのか?」に出演してまいりました!

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その中で私佐伯は、24時間で円周率を何桁覚えられるのか!?という挑戦をしてまいりました。

この挑戦のスタート時に測定した際は13桁で、約24時間後に測定すると、119桁になっていました。

円周率を覚えるためにホワイトボードに書き写した際に、120桁目の数字を間違えて書いてしまうという痛恨のミスによって119桁でしたが、その後続けて暗唱をやらせていただいた結果150桁まで間違わずに言うことができました。そこで、どうやって150桁を覚えたのかについて綴っていこうと思います。

まずはじめに。

今回は制限時間が24時間でした。しかもその中で、この企画が実施された24時間ライブの中で度々自分の出番があったり、別のお仕事のやりとりがあったりして、使える時間は実質12〜15時間くらいだったかと思います。また集中力の限界もあり、12時間実際に向き合い続けていたわけではありません。この環境の中でのベストな方法について考え、実施したものです。

なぜこの前提をお話したかというと、今回は暗記法の定番である「語呂合わせ」や「記憶の宮殿」という方法をほとんど使用していないからです。

ネットで検索すると円周率100桁の語呂合わせの文章などが出てきますし、語呂合わせで覚えるとかなり効率化できた可能性はあります。ただし円周率は長いので、語呂合わせと言っても無理矢理感は否めません。そうなってくると、ネット上にあるものが自分にしっくりくるとは限りません。最悪の場合、その語呂で覚えたことによって、間違えた数字で覚えてしまう可能性もあります。理想的には自分オリジナルの語呂合わせを考えることなのですが、今回の制限時間ではそれをするのは難しいと判断し、語呂合わせをメインとして覚える作戦は却下しました。また別の理由として、語呂合わせの性質上覚えた語呂を頭の中で唱えた後、数字に変換して言うことになるのですが、今回は番組での検証だったので、できるだけその変換の時間をかけずにスラスラ言えた方が良いという判断もありました。

次に「記憶の宮殿」についてですが、記憶の宮殿とは、宮殿あるいは家の部屋などの場所と、記憶を結びつけていく方法です。部屋の玄関に円周率の最初の10桁を置いて、リビングには次の10桁、その奥の部屋には・・・という感じです。この記憶法もかなり効果が認められている方法なのですが、自分自身が試したことのない方法であったため本番でいきなり採用するのは見送りました。場所と結びつけるといっても部屋ごとに結びつけていくのか、部屋の電球、机、窓という単位で結びつけていくのか、いろいろな選択肢があると思いますが、そのどれが一番効果的なのかを検証したいところであり、その検証に時間はかけられないと判断しました。

以上の観点から、基本的には数字をただただ覚えるというなかなか根性が必要な方法から入って、それをできる範囲でそれを最適化していくという形で挑みました。

さて、円周率の覚え方の内容に入る前に、記憶をより定着させるための基本的な考え方について、まずは知っていただきたいです。

記憶には3つの段階があります。

①覚える②安定化③思い出す

この3つの段階において、それぞれ効果的な方法で取り組むことでより効率的に記憶することができます。その方法についてはこちらの番組で取り上げておりますので、是非ご覧いただければと思います。実際に今回の挑戦でも全て取り入れました。

ではここから本題に入ります。

【覚え方の基本】

まず、ただ数字を眺めるということはほとんどしませんでした。基本的には常に①音読②暗唱③筆記のいずれかの方法で繰り返しました。これは、できるだけ五感を使ってインプットするということで、実際に手応えも感じました。一つ一つの数字はうろ覚えなのに、音としてリズムで刻んでいくとスッと出てくる、というような感覚もありました。ここからは、より具体的に工夫したポイントです。

【紙に書く】

紙やホワイトボードに書くときのポイントは、10桁ずつ書くことです。そしてこれは人によるかもしれませんが、イメージとして最初の100桁とそれ以降は別のブロック、と考えることをオススメします。その方がメンタル的にも安定しますし、後でご紹介する工夫をしていく際にも影響します。

※くれぐれも僕のように書き写す際に数字を間違えないようにしてください。円周率の数字は検索するといろんなサイトに書いてあります

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【頭の数字を覚える】

全ての数字を覚えるのだから当然と言えば当然なのですが、特に集中して覚えるという意味です。頭の中でこの表を想像して、それぞれの数字の位置関係なども整理しておくのがオススメです。

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【特徴を検出する】

表を作って頭の文字を覚えたら何度も音読したり、別の紙に書いたりしながら全体をなじませていきます。その中で、気になる数字が出てくるはずです。「あれ、この1971って年号みたいだな。1971年って何があったっけ」みたいな感じです。そういう箇所は「ここは年号」と覚えておくだけで、数字自体にあまり集中しなくても関連づいて1971が出てくるようになります。そういう箇所を細かく作って、数字を覚える負担を減らしていきました。

その一例を記しました。

その3

【関連性を見出す】

一見、特徴を検出することと似ているのですが、こちらは「ある数字と別の数字の関連性を見出す」ということです。

例えば、10桁ずつに分けたときに、頭の2桁が50番台になっている箇所が複数あります。この50番台の数字は徐々に大きい数字になっていきます。このことを意識しておくことで、不思議なことに53や58の3や8を強く意識しなくても、勝手に脳が関連付けてくれるのか、3や8がスッと出てくるようになりました。

※100桁目までとそれ以降で区切ることで成立する法則です


その4

他の例だと、ゾロ目があります。

ゾロ目はたくさんあるのですが、終盤戦、101桁から150桁までを覚えるのが苦しくなってきたタイミングで頼りました。内容は下の表の通りです。

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これらの方法を駆使して挑みました。

実際にはそれぞれの方法でもう少したくさんの内容がありますし、また、それぞれの方法から派生して、「50番台が連続している中に一つだけ60番台がやってくる」という風に、他の要素も巻き込んで覚えることができるようになってきます。最終的にはこの巻き込んで何かしらの覚え方を施した部分も含めると全体の8割以上を占めていて、むしろあとの2割を集中して繰り返し暗唱して覚えるというような作業になりました。

他にも集中力やモチベーションを維持することも大事ですが、ここでは割愛させていただきます。また、睡眠もとても大切だと思います。この挑戦中も3時間程度寝ましたが、余裕があればこの睡眠時間を増やしたかったなと思っています。

一部「語呂合わせ」を取り入れた部分などもありますが、それについてはオンラインサロン「佐伯恵太のエンタメ科学ラボ」の方でお話させていただきます。ご興味を持たれた方は是非、覗いてみてください。

オンラインサロンでは自身の俳優活動や、YouTubeで作っている教育番組について熱く語っております。


と、ここまでの書いておいてちゃぶ台返しのように感じられるかもしれませんが、一番大事なのは自分の頭に浮かんだことを取り入れることであって、この記事の通りに覚えていただくのが必ずにも皆様にとって最適かはわかりません。自分の頭に浮かぶということは、その時点でそれは間違いなく自分の思考のクセや、いろいろなものを反映したものであって、自分にとって間違いなく使えるものです。特に短期戦の場合はそういった使える武器をどれだけ取り込むかが重要なのではないかと思いました。


24時間で150桁(正確にはケアレスミスにより119桁)が誇れる数字かわかりませんが、少なくとも自分にとってはこの挑戦は高いハードルのように思えました。しかし、与えられた状況を冷静に整理し、作戦を立てていくことで、きちんと道筋が見えてくるものだと感じました。

今まで、円周率を覚えようとしたり、記憶力アップを目的としたトレーニングをしたことはあまりありませんでした。しかし、高校〜大学院時代まで理系分野で学んできたことや、現在俳優として膨大な台詞を覚えたり、時には撮影日当日に台本を渡されたりしている中で、記憶力の基礎体力のようなものがある程度鍛えられていたのかもしれません。

24時間で150桁の円周率が覚えられたところで何の役にも立たないかもしれませんが、今回の挑戦で自分の記憶力や、戦略を立てて実行できるということに自信を持てましたし、また今回の挑戦を通してそういった部分がさらに鍛えられたようにも感じました。普段は絶対にやらないことを通して自分を追い込んでみるのも悪くないですね。

ちなみに円周率とは、もう向き合いたくないです。


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