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海外営業の"リアル" 16

バングラデシュで今でも忘れられない出来事がある。

バングラデシュでは交通渋滞が日常茶飯事に起きる。朝は通勤ラッシュも重なると酷く、9時にホテルでピックアップ頂く際にも勿論影響する。

その日も酷い渋滞だった。現地には信号機が(あまり)なく、その分(専属)ドライバーには高い運転スキルが求められる。有事の際には、政府関係者が手旗信号で交通整備を行っているようだ。

予想はしていたが、お客さんの訪問予定時間になっても到着できる様子がない。このような時は、到着時にとにかく時間を守れなかった事を詫び、そんな中でも時間をとってもらった事に対して丁重にお礼の気持ちを伝えたものだ。(お礼の気持ちを伝える際には、"地球の歩き方"直伝のベンガル語で伝えた。)

また、車での移動中にすごく考えさせられる出来事があった。

この酷い交通渋滞は例外なく全ての人に影響を与える。

"救急車"も例外ではない。

どれだけサイレンを鳴らしても、道には車がすし詰め状態の為、車は道を譲りたくても譲れないのだ。

私たちは遅れても究極謝れば、(クレーム案件でなければ) 許してもらえる。

しかし、私たちの目の前で立ち往生している救急車には、"人命"がかかっている。中にいる人達はこの渋滞の中、どんな気持ちであっただろうか。想像するだけで、心が締め付けられるような気持ちであった。

その酷い渋滞を抜けた後、その救急車が無事に、何事もなく病院に着いた事を願うばかりであった。

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