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マーケットビジョン2024: 国内CCasS市場の本格スタート

新年の業界展望、最後のトピックは「国内CCaaS市場」です。
CCaaSは、Contact Center as a Serviceの略語で、クラウド利用できるコンタクトセンター向けソフトウェアアプリケーションを指しています。

私自身はコンタクトセンターのマネジメントやデジタル化・AI活用を専門としており、この記事はその界隈のトピックとなります。

CCasS市場のプレーヤーが出揃う

コロナ禍ではリニューアルを凍結していた企業も多いコンタクトセンター基盤ですが、コロナ明けの2023年からは本格的に市場が活発化しており、クラウド移行がさらに進んできているようです。

CCaaSという用語は聞き慣れない方が多いと思いますが、グローバルでは一大市場となっており、国内でも市場認知される段階になってきたと感じます。カタカナ読みだと「シーカス」「シーキャス」となるようです。

CCaaS市場では、認知度の高いGenesys Cloud、Amazon Connectに加えてNICEのCXoneも本格的にローンチしておりLeaderセグメントの企業が国内でも出揃ってきました。国内パートナーのあるBright PatternやContent Guru(楽天storm)、Ujetに加えて、満を持してAVAYAもクラウドサービスを開始するようです。talkdesk、Five9といったシェア大手で未参入のCCaaSプロバイダーもありますが、比較検討が可能な状態になったと思います。


クラウドPBXと何が違うのか

CCaaSに似たカテゴリとして、クラウド上で音声基盤を提供する「クラウドPBX」というサービスがあります。この名称のサービスはAVAYAやAsteriskベースのPBX機能をホスティング提供するサービスを指すことが多く、米国でもCCaaSとは区別されているようです。

一方で、クラウドネイティブに開発し、リソースの即時拡張、デジタルチャネルとの統合、外部サービスとのAPI連携などが可能なプラットフォームをCCaaSと呼んでいます。これらのニーズに対応するために、Genesys Cloudをはじめ多くのベンダーは、既存資産のクラウド移行ではなく、クラウドネイティブなCCaaSベンダーの買収・統合といった経緯を辿ってきています。

「クラウドPBX」ベンダーもサービスラインナップとしては、ボット機能、音声認識など様々なアプリケーション郡が使えるようになっていますが、外部サービスとの疎結合で構成されており統合化されていません。そのため、機動的な拡張やデータの統合分析、チャネル間のシームレスな連携には難があると言えます。

機能有無の◯✗比較表だけで見ると違いがわからなくなるため、プラットフォームのアーキテクチャ、出自もしっかりとチェックしておく必要があります。

CCaaS普及後に起きること

オンプレのPBX基盤がまだ多く存在している状況の中、CCaaSベンダーの市場が活況になることで2024年以降、存在感が大きくなってくると思われます。

米国市場の動向を見るとコンタクトセンター周辺のアプリケーションは、CCaaSベンダーに買収・統合されていっており、ユーザー企業は必要な機能をCCaaSプラットフォームの中から選択していく流れができつつあります。

国内でもCCaaS利用が増えていくにつれて、この流れが出てくると想定しますが、ボイス基盤以外のアプリケーションには、国内市場にフィットしていない機能もあるように見えます。チャット画面一つとっても、文字変換のある日本語とは入力方式が異なることもあり、使いづらいものが未だに残っています。

使いづらさを我慢しつつデータ統合や割安な料金、導入のしやすさを優先するのか。または、コストを掛けてでも国内ローカルの専業アプリケーションを連携させるのか。ユーザー企業にとっては悩ましい場面が増えてくることと思います。

アプリケーションベンダー側も、この流れを受けて各CCaaSベンダーとの協業、システム連携による販売の準備が必要になります。どのCCaaSベンダーと組むのか、といったパートナーシップの議論も2024年からは本格化するように思います。

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