3人の師匠(年末に挨拶に変えて)

写真の師匠が3人


ボクには 写真の師匠が3人 いる

ちょっとおかしな話だが、事実なので仕方がないんです。
お3人に共通しているは モノクロ写真に対する見識 があったこと。それぞれの師匠からモノクロ写真を教わりました。とはいえ、それは手取り足取りというモノではなく、感覚的なことが多かったと思っています。


最初の師匠


写真専門学校を卒業して最初に就職した貸しスタジオの社長さん。社長さんといってもご自身でカメラマンをやられており、この当時は 店舗撮影を中心 にされていました。その撮影のお手伝いで モノクロ写真の基本になる光について学ぶ ことができました。

貸しスタジオにいらっしゃるカメラマンさんからも光について学ぶことは多かったですが、この社長さんの手伝いが一番わかりやすくかったように思います。

そして、この社長はモノクロ写真にも詳しく当時撮影していた子供達のモノクロ写真をよく見ていただいていました。そんな中で言われたのが 「モノクロで風景を見ていない」 そんな一言でした。

この言葉はボクが モノクロを続ける中で1番の教え になっています。


次の師匠


これは先の貸しスタジオの後にお世話になった貸しスタジオの社長さん。この方もご自身で写真家として活動されており、その当時は モノクロポートレートのシリーズ を作られていました。その撮影に同行させていただくこともあり、何かとお世話になった方です。

特に フィルム現像 に関してはこの方との出会いがなければボクのフィルム現像方法は違ったものになっていたかもしれないというほど大切な教えをいただきました。

1度ご自身のライフワークであるモノクロポートレートのフィルム現像をやらせていただいたことがあって、見事に失敗するという事件がありました。

その失敗に対しては全く怒られることがなかったのを覚えています。その怒られないことが逆に辛くて、自分のフィルムでとことん練習するきっかけにもなりました。

ちなみにそのフィルム現像方法はある著名な写真家さんの方法で、この方はその 著名な写真家さんのお弟子さん でもありました。


最後は竹内敏信という写真家


この人との 出会いは写真専門学校の一年生 の時でした。一年生の終わり頃に竹内敏信の特別公演という授業があり、その話を聞いてこの人のことを知りたいと思ったのがきっかけでした。

ちなみにちょっと語弊はありましが、竹内敏信の作品に惚れたわけではなく、その生き方が面白いと感じた ので、その元でどんな人か観察したいという思いが強くありました。

竹内敏信はその当時から既に著名な写真家 でその人に教えてもらえるのでこの学校を選んだ人も多いぐらいでしたが、ボクは全く知りませんでした(笑)。

そんなこともあり、二年生からこの先生のゼミに入りたいといってもなかなかすんなりいかずなんとか入り込みました。入ってみればおもろい親父で、当時はゼミには自分のテーマを4つ切りというサイズのモノクロプリントを持って行くのが慣例でしたが、それをギロチンカッターで切り刻んで講評をしてくれました。

当然、そんな有名先生に教えてもらいたいと思ってきている同級生たちは写真が上手かったのを覚えてします。そんな中でなんの恥もなくプリントをだしてはかなり切られていました。

1度、1枚のプリントからパスケースサイズのプリントが2枚 切り取られたことがあり、「お前は天才だ。1枚の写真から2枚も写真が取れたぞ」。と言われ、さらに「これは家宝として持っておけ」。そんなありがたいお言葉もついていました。

それはそれは悔しくて、いつかこのオヤジをギャフンと言わせてやると決意したのを覚えています。そんな決意もあって、貸スタジオ生活を終えた後にアシスタントとして、4年間つかせていただきました。

学生時代にはアシスタントになりたいと思っていたのに、なぜ貸スタジオに行ったかといえば、せっかく写真の世界に入るならスタジオワークというのも知っておきたいと思ったからです。竹内敏信はその当時から既に自身の作品だけで生計を立てて常駐のアシスタントがいるという人でした。その作品は風景でおよそスタジオワークとはかけ離れていました。

アシスタント時代はいろいろなことを教えていただきましたが、一番印象に残っているのは 光に対する感度の鋭さ です。撮影アシスタントとして同行しながらそれを間近で感じながらその凄さに圧倒されていました。

そして、この竹内敏信の凄さはその光に対する感性だけでなく「構成力」でした。これは写真を撮るときの画面構成力というよりは、たくさん撮った写真をまとめる構成力 です。この凄さを目の当たりにして、これだけは盗もうと4年間を過ごしていました。

竹内敏信のアシスタントを卒業後は、どの師匠の作風を目指すことなく自分の世界を作ることに没頭して10年以上ひとりで続けた後に写真雑誌での仕事をするようになり、少しづつ自分の世界を外に出して行きながら今に至ります。


出会った全ての皆さんに感謝


先のお二人に出会ったのはたまたまだったかもしれません。しかし、このお二人に出会っていなければ、たとえ竹内敏信のところに行っても今のような結果にはなっていなかったと思います。それほど 多くのことを教えていただけた と感じています。

それは、これまでボクが出会った全ての皆さんにも言えることです。そして、その 恩返しはそれを次の世代に伝えること だと考えています。


本年も大変お世話になりました。来年も引き続きよろしくお願い致します。





また、次回

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