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2023年8月31日(木)晴れ

9時に起床。今日も割と多くの時間を引っ越しに関する調べ物に使った。ガス料金に関しては落ち込むので、一度も会社のページを開かなかった。ジモティのアプリで家電を探しながら、パソコンではインターネット回線や電気について調べていた。前にひとり暮らしをしたときは、ガスと電気を同じ会社にまとめていたので、インターネットのほうは携帯とセットにしていた。ガスが決まっている今回は何と何を組み合わせるべきなのか、それとも全部別々がいいのか。最初のピースが決まらず、どこを基準に組み立てれば良いのか分からないパズル状態。結局途中で、一体何をやっているんだという気になる。私は仕事とそれ以外を分ける考え方がまだあまりできないので、頭ではこの引っ越しも仕事であり制作で、全部まとめて生活だと思っている。でも実際自分は今何に向き合って悩んでいるのかと冷静になったときに、引っ越しや各種契約に関するお金のことばかりだと思い、とても落ち込んだ。

もう家具家電のことは明日色々部屋の寸法を測ってから考えようと思い、今日は探すのをやめた。やっと仕事に取り掛かろうとした時にはもう16時になっていた。久しぶりに編集仕事の作業ファイルを開いた。上勝町の方々にインタビューした映像を見て音声を聴いているうちに、少しだけ気持ちが落ち着いてきた。自分がやるべきことに取り組んでいるという安心感もあるけれど、取材を受けてくれた方々が語ることのおかげのような気もした。彼ら彼女らの声を聴きながら、「暮らす」ということを前向きに捉えたい気持ちが改めて芽生える。これはお金や時間の残酷な部分に負けそうなとき、消えてしまいそうになる脆くて大切な気持ちだ。

夕飯前、今日は月がすごいらしいという話になり、じじばばと家の前に出てみる。大きなオレンジがかった満月が、川のほうの空に低く浮かんでいた。じじばばは、よく月を見るひとたちだと思う。毎月満月の日そのことに気づくと、ふたりはそれぞれしている作業をスッとやめ、玄関先に出てほんの1、2分だけ空を見上げる。日没後に大きな月を拝み、高く上がったことを確認するように、夜寝る前にもう一度だけ外に出る。私はなんとなくこの様子が好きで、これまでも何度か月を見るふたりの映像を撮っている。今晩の月は大きく、ばばもスマホで写真を撮ろうとしていた。しかし私のカメラもばばのスマホも上手く撮れず、「肉眼には勝てないね」なんて何百回も聞いたことのある台詞を言い合う。そして家の中に戻っていくふたりの背中に、私はもう一度カメラを向けた。


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