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広告業界の人は分かる(伝わる?)メディア選定と入稿の話

ちょっとニッチな話を本日はしてみたい。
広告営業の仕事の中で“メディアプランニング”と“原稿入稿”という仕事がある。

メディアプランニングの面白い(面倒な)トコロ

メディアプランニングで言うとクライアントさんから、

・予算XXXXなんだけど、なんかよいメディアないかな?
・TVだけじゃなくて新聞もWEBもやりたいと考えている

とかあんま深みのない(でもとってもありがたい)案件をいただくことがある。その場合メディアプランニングに人間と一緒に施策を考えるのだが、これがまた大変だ。

今は時代が進化し、メディア投下における最適配分がシステムによってはじき出せるようになった。例えば博報堂のTVcross simulatorとかである。

これを使えば認知を指標とした場合、TVとWEBへの投下金額の最適配分が出せたりする。それでもまだ細かい媒体選定は人の知見・感覚の方が精度が高いこともあり、両軸で行っているのが現状だ。こういった進化が最近は見えてきたから少しはプランニングもやりやすくなったんだと思う。

ちょっと前だと、自分が新聞部に所属していたこともあり体験していたのだが、新聞全紙(全国紙・地方紙・ブロック紙等)でどれが適切か。みたいな話があった。その場合、部数・閲読率・地域におけるシェア等を鑑み最適解をはじき出していたのだが効果もろくに数値化していなかった時代に果たして効果はあったのだろうか…それでも我々はクライアントの意向に最大限沿うべく時間をかけてはじき出していた。

もっと言うと、新聞で言うとどの面(経済面とかテレビ面とか)に乗せるべきかまで算出している。もはや狂人的なシミュレーションだ。

通販企業ならそれは理解できる。掲載日・天気・紙面の場所等によって反響が全然変わってくる。でも認知目的のブランド広告がどうだろうか。継続的な出稿であれば機微まで見ていくことが求められるが上記のようなオーダーの際にはとてもじゃないが必要ないと思う。というか必要ないことをクライアントさん側も知って欲しい。ブランドは1日にしてならず、だ。

とそんなメディアプランニングは細かくて面倒な一面がある。

もっと厄介な入稿規定の面白い(面倒な)トコロ

こいつが本当に面倒だ。
昔で言うと、新聞広告はいい例だった。一般的に一緒に見える新聞の広告だが実は全部ビミョーにサイズが異なっていた。(実際は今も異なる)
なので複数の新聞への出稿が決まった際には、それぞれの新聞社に規定サイズに応じたサイズを制作して入稿していた。2つ3つの新聞ならまだしもこれが数十社分とかになるともはやどれがどの新聞用か分からなくなる。

有難いことに今はN-PDFという統一規格ができ、制作も入稿もそんなに煩雑じゃなくなった。だが一方でWEBメディアはまだ整っていない。。

媒体が多岐にわたるWEBメディア

一括りにWEBメディアといっても従来のTV・新聞と異なり仕様が各社違う。twitter・Facebook・LINE・TikTok・Youtube・GDN・YDN・SEM…あげればキリがないほど媒体とメニューがある。そして同じようなメニューなのにビミューに入稿サイズが異なることがある。
300*250と1080*1080と…と複数のサイズとデザインを制作し、その上で各メニューにおけるセグメントを考える。(新聞でいうどの面に掲載しますか?というやつだ)

結局1媒体づつ入稿フォーマットを記入し運用するのだが、いつも心の中では

“該当する媒体にチェックボックスいれて質問形式でセグメントとか一括管理できるシステムないのかなぁ”

と思っている。(結構これは業界関係者には賛同してもらえる気がする。)
そして同時にクライアントさん側にこういった面倒な作業があることを知ってもらえるとありがたい。(Twitter広告やっておきますね!の裏側は結構大変なんです。もちろん費用いただいているので文句も言わず尻尾を振ってやらせていただきますが笑)


そんな面倒さを解決する時代がやってきた。

下記は先日出たニュースリリースだ。

凄い簡単に言うと、
ネットTV・デジタル交通広告・ネットラジオ・Webメディア等を丸っとシミュレーションして配信対応しますよ!って内容です。

まだ実際は裏側としては個別に入稿対応やシミュレーション対応をしているかと思うが、表面上では今までやってきたクソ面倒な作業、一括で出来ちゃいますよ!って感じです。これぞ自分が待ってました!!っていうサービスです。

近い将来、広告予算を決めるだけでメディア選定を特にしなくてもよい時代が来ると自分は考えています。

アメリカでは以前からTVCMの自動取引(いわゆるWEB広告の買い付けの仕組みと同じ)がされていて、日本のTVCMもそのうち、同じchannelだけど隣の家とみているTVCMが違う。みたいな時代が来ると思っています。


大切なのは手法ではなくてそこに至るまでのなぜ?なんで?だと思う。

もちろんメディアの選定は少なからず大事だと思うが、仮に上記で述べたメディア選定をしなくてもよい時代が来るとしたときに、
“なぜ広告を打つ必要があるのか”
“なんで広告をする必要があるのか”
をちゃんと考える必要性がより重要視されると考える。

あまり大きな声では言えないが、考えが浅い・事務作業的な広告施策が多すぎる。と個人的には思う(控えめに)
またちゃんと考えていたとしても上記のような○○新聞とXX新聞の微々たる差について長時間議論したり、LINEとTwitterの入稿サイズの違いに悩む時間は少なくとも減ると思う。であればその分もっと効果的になぜ?なんで?を突き詰めてよい広告を作っていければと個人的には考えています。

日頃の入稿の煩雑のフラストレーションを発散させるとともに、少しでも多くの広告主さまに“広告を打つということ”を考えてもらうきっかけになれば幸いです。

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