ど文系ど素人のITコーディネータ合格体験記
ITコーディネータ(以下、「ITC」)という資格に2020年10月に合格しました。
資格の制度が多少複雑で、詳細は後述しますが、研修+試験が必要な資格なのですが、資格のまとめサイトなどには少し間違った情報が記載されていることがあります。
試験自体の難易度は低いですが、研修に取られる時間が多いなど、取得のためのハードルは低くない資格かと思います。
実際に研修及び試験を経験した身として、感想や注意点等を記録しておこうと思います。
<背景>
私は現在、ITコンサル系の業務(計画策定、業務分析、要件定義、システム調達、PMOなど)を8年間ほど行ってきましたが、SE経験はなく、システム開発の経験はありません。プログラミングもさっぱりです(最近ようやく今更ながらHTMLをいじれるようになりましたが)。IT技術に関してはど素人です。
また、大学では民俗学や文化人類学を学んで妖怪を研究していた、ど文系の人間です。
こんな、ど文系ど素人の人間ですが、数年前に北海道へUターンで戻ってきて、ITコンサルとして地域経済の活性化に貢献したいと思っています。
たまたま市役所の人と話していた時に、IT施策をやるときには地場のITコーディネータと相談するというような話を聞き、地場の企業やITベンダとのつながりを作れるかなと思ったのがきっかけで、中小企業向けのIT支援のための資格であるITCの資格取得に向けて動きました。
また、自分がやっているパブリックセクター系の入札案件だと、入札参加資格として高度情報処理試験(ITストラテジスト等)と同等の資格としてITCの資格が必須要件となることがあります。必須要件ではなくても、加点要素として提案書に書けることもあり、仕事上のメリットもあるため資格取得することにしました。
ITSSキャリアフレームワークでもコンサルタント系のレベル4に位置付けられているので、アピールに使える資格だと思います。
<ケース研修受講>
まず、ITCの資格を取得するには、以下の2つを満たす必要があります。
①ITコーディネータ試験の合格
②ケース研修の受講
上記の2つは、どちらを先に行っても大丈夫ですが、どちらも1年の限られた期間にしか実施されていないため、自分が受験しようと思ったタイミング次第で、どちらを先に行った方が効率的か自ずと決まってくると思います。
私の場合は、ちょうどコロナ禍のせいで2020年第1期(5月~6月)のITC試験が中止となり、第2期(9月~10月)の試験としなければならなかったため、先にケース研修を受講しました。
ちなみに、ケース研修の他の受講生の方は、既にITC試験に合格している方と、これから試験を受験する方がだいたい半々くらいでした。
ケース研修は、大きく年2回の5月~9月、11月~3月に実施されています。
それぞれの期間において、具体的なスケジュールは研修実施機関によって異なります。
全部で6日間の研修ですが、短期集中で実施されるところや、週末に1か月~3か月かけて実施されるところもあります。
2019年までは基本的に対面の集合研修でしたが、コロナ禍の影響で2020年からはオンラインでの集合研修としているところが多いようです。
私が受けた研修は、初回のみ現地で対面型の集合研修でしたが、2回目以降はオンラインでした。
ちなみに、私の資格取得目的でもありますが、地場の中小企業やIT関係者方とのコネクションを作るという意味では、地元で開催されているケース研修を受講されるのがよいと思います。
ただ、地方は研修回数が少ないので、日程次第では東京などの研修を受けざるを得ない場合はあると思います。
研修の欠席は1日分までは認められるようです。
ケース研修の具体的な日程やスケジュール等はITコーディネータ協会のホームページに案内があります。
https://www.itc.or.jp/authorize/training/
受講する研修日程、研修実施機関が決まったら、ケース研修を申し込みます。
金額で22万円なので、けっこう高いですが、6日間×7.5時間=45時間、1時間当たり約5,000円と考えれば、手ごろなセミナーとも言えるかもしれません。
研修は座学もありますが、ほとんどがチームでの実践型のケースワークになります。
戦略策定や計画策定、CSF・KGI・KPI策定からRFP、プロジェクト管理、リリース、事後評価まで実際のプロジェクトでは一気通貫でやることは少ないと思いますが、ケース研修では同じプロジェクトを上流から下流まで体験できるので、コンサル経験者であっても、そこは勉強になるかと思います。
また、同じチームで研修を受ける方々は、IT系に限らず色々なバックボーンをお持ちの方が多いので、知らない業界の話など刺激になることもあります。
講師の方も地場のITコンサルとして長年の経験を積まれている方が多いので、実体験に基づいたお話は勉強になります。
拘束時間について、研修そのものの時間だけではなく、事前課題や事後課題も多いため、研修期間はかなりの時間を取られることを覚悟した方がよいと思います。
ちなみに、PMPを持っていると、追加費用はかかりますが、ケース研修の42時間分をPDUとして取得できます。
追加費用は1万7千円ほどかかりますが、その金額で42PDUを取得できると、PMPの更新がかなり楽になります。
<ITC試験>
上記のとおり、人によって研修と試験のタイミングは前後しますが、私は研修受講後に試験受験しました。
ITC試験はそんなに特殊な問題は出題されないものの、基本的に「IT経営推進プロセスガイドライン(PGL)」から出題されるので、研修でPGLを学んでからの方が合格確率は上がると思います。
ちなみに、PGL自体は指針でしかないので、具体性がないという欠点はありますが、海外のMBAなどの経営テキストなどよりは、日本の経営現場の実情に合わせて書かれているので、日本でIT経営を実現するためには、読んでおいて損はないテキストだと思います。
ITC試験の出題も、PGLを踏まえた具体的なプロジェクト事例についての出題が多かったように思います。
ITC試験は、受験料が19,800円で、120分で100問を解きます。
PMPやCISA、情報処理試験の高度区分等の資格を持っていると、選択問題部分の40問が免除された、専門スキル特別認定試験(受験料9,900円、80分で60問)が受験できます。
私はPMPとCISAを持っていたので、専門スキル特別認定試験の方を受験しました。
試験はCBTSから申し込み、各地のテストセンターで受験する形になります。
テストセンターのパソコンで受験し、その場で結果が分かる仕組みです。
試験終了後に、紙のスコアレポートももらえます。
私はスコアレポートを失くしてしまったので(紙しかもらえないので)、正確な点数は分かりませんが、75%程度の正解率だったと思います。
点数・合格基準等は非公表のようですが、実感と周りの人の話を聞く限りでは、6割程度正解すれば合格できるのではないかと思います。問題によっての多少の点数調整はあるかもしれません。
試験対策としては、以下の3点になります。
・「IT経営推進プロセスガイドライン(PGL)」を熟読
・ITコーディネータ協会から公表されているサンプル問題を解く
・キーマンズネットで配信されているITコーディネータ模擬試験を解く
サンプル問題やキーマンズネットのリンクは以下にあります。
https://www.shikaku.itc.or.jp/
基本的にはPGLを理解していれば解ける問題がほとんどですが、ITC協会のサンプル問題や、キーマンズネットの模擬試験問題を解いておくことで、問題の傾向に慣れることができます。
私は使っていませんが、市販の過去問集もあるようです。サンプル問題や過去問の問題そのままの出題も多いようです。
<認定登録申請>
ケース研修完了し、試験合格すると、認定登録申請できるようになります。
ただし、認定登録申請できるタイミングは、研修期間や試験期間の終了後になります。
私は2020年9月中旬に試験合格しましたが、認定登録申請できるのは、試験期間終了後の10月16日以降でした。
ここのタイムラグがけっこうもどかしいです。
資格取得が急いで必要な方は気をつけた方がよいでしょう。
認定登録申請費用として、2万2千円の支払いが必要になります。
賞状とか楯とか要らないので、登録費用を安くしてほしい気がします・・・笑
認定登録完了すると、ITコーディネータ協会のホームページにプロフィール等を掲載できるようになります。
https://itca.force.com/ITCPProfileSearchPage?_ga=2.172044576.2039319127.1604405518-866868705.1598939990
認定登録後には、ITコーディネータ協会に入会することができます。
賛助会員の場合、年会費3,000円です。
また、各地域にも協会や協議会があり、年会費3~5,000円程度です。
下手にビジネス系のオンラインサロンなどに入るよりは安く、コスパよく有益な情報交換や勉強ができる場だと思いますので(組織によっては老人会みたいな感じのようですが)、入ってみてはいかがかと思います。
まあ、職員が45百万円も横領するような組織ですから、まずは自組織のガバナンスをどうにかした方がよいかもしれませんが。
<まとめ>
私の場合のスケジュールと費用のまとめです。
情報収集、研修申し込み:約1か月
ケース研修:約3か月
試験申込、受験:約2週間
認定登録申請:約1か月
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合計:約6か月
ケース研修:22万円
ITC試験(専門スキル特別認定試験):約1万円
認定登録申請費用:2万2千円
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約25万円
スケジュールとしては、研修期間が長いことや、試験期間及び認定申請期間が決まっているために、どうしても長期間かかってしまいます。
費用について、私の場合は上記以外にPMPのPDU申請費用がかかっていますが、それ自体はITCの必要経費ではないので除いています。
また、先に試験受験してからケース研修を受講する場合には、自分でPGLテキストを購入する必要があるので、そのための費用もかかってきます。
試験の難易度は低いですが、研修が大変だったり、費用的にかかる資格ですが、資格を取得することで地場の中小企業や自治体などと関わる機会が増えるため、地域活性化のためには良い資格だと思います。
みなさまもITコーディネータ資格取得、がんばってください。