CDジャケットの製作過程を公開(前編)
音楽関係のアートワークを製作している橋本佳史朗と申します。
この度アンダースコアレコーズ様と提携させていただく形で音楽アーティスト様に向けたデザインサービス、バンドスターターのリリースが決定致しました。バンドスターターについてはこちらの記事をご覧ください。
https://note.com/urerumaekara/n/n6727bae43fe6
コンピレーションアルバム企画もやりますので是非ご参加ください!コピーCDではなくプレスで製作し、1人でも多くの方に触れてもらえるようパッケージデザインにも力を入れて製作致します。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
https://note.com/urerumaekara/n/nd92873ad2bb4
バンドスターターですが、サービスに興味を持ってくださるアーティスト様の気持ちを考えると、どこまでやれるのか、どんなテイストを作ることができるのか、どのような流れで製作しているのか気になると思います。(もっと言うとどんな人が作るのか)
安心して頼んでいただきたいので、実際に手掛けたデザインの製作過程を公開することにしました。
第1弾はロックバンドR.O.Sの1st mini album ▶︎PLAY STARTのアートワーク(いろんな手法で作っているので第2弾もやります)
こちらの項目に沿ってお伝えしていきます。
1.デザインの打ち合わせ、ヒヤリング
2.構想とリサーチ
3.ラフ画製作(イメージを共有するためのデザインの設計図)
4.清書
5. テキスト調整
1. デザインの打ち合わせ、ヒヤリング
まずは打ち合わせです。納期や予算、ご希望のテイスト、パッケージの仕様などを決めていきます。遠方にお住まいの方でもメールやLINE、Zoomを使用してしっかりコミュニケーションできますのでご安心ください。
特に初めて音源を作られるアーティストさんは分からないことが多いと思います。お気軽になんでも聞いてくださいね!分かる範囲でお応えし分からないことは一緒に考えます。
ほとんどの場合webで打ち合わせすることが多いです。できるだけライブも観たいんですが‥
CDパッケージで製作される場合、どこのプレス業者がいいか分からない場合はこちらから業者さんをリストアップしご提案させていただいております。
バンドスターターでは価格重視でプレス業者さんをご提案させていただく予定です。
2.構想とリサーチ
打ち合わせが終わりそれをもとにラフ画(イメージを共有するためのデザインの設計図)を作るのですが、まず先に収録曲を聴かせていただき、その後リサーチしてアイデアを固めていきます。
収録曲はしっかり聴いて、歌の内容を理解しイメージを広げるために歌詞を自分の言葉で置き換えて言語化し、さらにそこで思いついたアイデアもメモしていきます。
字は汚いですが瞬発力が大事なので。これは自分が読めれば問題ないです。
いつもこんな感じでまずはガンガン書き出します
リサーチは何をしているのかというと依頼していただいたアーティスト様のジャンルのデザインの傾向、リスナーとファンになってくれる可能性の高い年齢層や、ご希望のテイストに関する情報を出していきます。
この時点でインディペンデントの域からはみ出している気もしますが、少しでもジャケットアートから知ってもらえるきっかけを作りたいのでオールオッケーです。
思いついたアイデアを形にするための資料リサーチも必ず行います。今回は「RPG要素」を加えて欲しいというご要望があったのでゲームのエフェクトやファンタジー作品を調べたりしました。
RPG、つまりファンタジーであり好奇心や冒険。それとは逆行するようにただ並行していくような毎日。
今作品の「人生の主人公はあなた自身」というメッセージから「忙しない日常に追われていると人生の主人公は自分だということをすぐに忘れてしまう」という気持ちが頭に浮かびここからアイデアを広げることを決めて、そのために新海誠さんや中村祐介さんの作品も参考にしました。
新海誠さんは日常の風景を描きながらもファンタジックな世界観を作るのが持ち味ですし、中村祐介さんはモチーフの組み合わせで作品の意味をビジュアル化するのがめちゃくちゃ上手いので。さすがはレジェンド‥
リサーチと構想が一番時間がかかっていると思います。
こうしてラフ画のイメージが作られていきます。絵やデザインは感覚や感性が全てと思われがちですが、それと同じくらい言語化も大事だと思っています。
余談ですが曲からイメージを膨らます時は昔音楽をやっていてよかったなと思います。一応作曲もやっていましたし、よく耳コピで好きなフレーズを弾いてたりしていたのもあり普段あまり音楽を聞かない方と比べると聴きとり方は全くちがうはずです。
(※もちろん音楽を楽しむということにそれで優劣はつきません)
3.ラフ画製作
リサーチと構想をベースにラフ画(イメージを共有するデザインの設計図)を作っていきます。このラフ画の段階でイメージを共有し必要に応じて修正を加え、完成イメージをすり合わせていきます。
こちらが最初に提出したラフ画です。
デザインコンセプトを説明しアーティスト様のご意見をいただきます。
「人生の主人公は自分」というメッセージとご要望のRPG要素の掛け合わせて、人生は自分のものだということを、ワクワクできるということを忙しない日常からRPGの世界に飛び込んで取り戻す冒険という表現にしてみました。モチーフのチョイスも日常とファンタジーのコントラストで。
テキストのフォントもデザインに合うように選定して組み込んでいきます。手持ちのフォントに合う物がない場合はフォントを追加します。(もちろん商用利用可能なものでライセンスを確認し使用します)
前作の作品Re:00とストーリー性を感じるコンセプトだったのでジャケットデザインも続編のようなアプローチをかけました。
R.O.Sの前作 Re:00
ラフ修正後
スカートをもう少し長くしてほしいのと、楽器要素も追加してほしいというご要望があったので修正します。背景ももっとキラキラにして鮮やかな青色をご希望されこちらは今回は仕上げで調整することになりました。
全て修正できる訳ではございませんが 配色は修正できる範囲がとても広いです。
今作のようなテイストですと各モチーフのカラーや背景の色はほとんど編集可能です。アートワークはいわば緻密な工程を重ねていくオーダーメイドなので100%修正にお応えできるとはかぎりませんのでそこはご理解願います。
ラフ画はこちらでOKいただけて次はいよいよ清書です。
後編に続きます。
最後まで見ていただきありがとうございました!
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