見出し画像

森おじの大槌移住ライフ【2023年8月活動報告】

近頃、大槌の町ではいたるところで、今年の夏の熱気に負けないほどのお祭りの熱を帯び始めている。
この土地の人々にとって、お祭りは昔から特別な意味を持つ。
無病息災や豊漁の祈りの他にも、アイデンティティーを表現する大切な行事のひとつとして日々の生活や遺伝子にも浸透しているのだろう。
大槌町民にとっては、きっとこのお祭りが終わらないことにはその年の夏が終わったことにならないのかもしれない。
今年のこの異常な暑さに終わりが訪れるのは、まだもう少し先になりそうである。

1.木工教室@吉里吉里公民館、城山体育館

8月1日は吉里吉里公民館、8月17日は城山体育館をお借りして地域の子どもたちに向けて木工教室を開催した。
こども達にとっては、この夏休みの貴重な時間を割いて参加してきているので、私たちスタッフも彼らに少しでも楽しんでもらえるように、なるべく多くの材料や画材を用意して臨んだ。
その甲斐もあり、みんな終わりには満面の笑みを浮かべてくれた。
どんな言葉よりもその表情が一番の誉め言葉だと感じた。

ちなみに、『木工教室』と聞いて大人の皆さんはどのようにお考えだろうか。
中には、「ただ単に遊んでいるだけでしょ」とか「学校や塾のお勉強をやった方が将来のためになる」と考えている方ももしかしたらいるのかもしれない。
決して勉強が必要ないと言っているわけではないので勘違いしないで欲しいのだが、しかしこの活動にはきちんとした、ねらいと意味があって開催している。
それは、『体験を通して何かを学んだり、発見したりすることによってこどもたちの考える力や生きる力を養う』ことにある。
「聞いたことは忘れ、見たことは思い出し、体験したことは理解し、発見したことは身につく」という言葉があるように、ひとは誰しも自分の身体で体験し発見したことについては身につくようになっている。
実際に2002年の環境サミットで日本が提案し、国連総会で採択された「持続可能な開発のための教育の10年」という提案にあったように、これからの時代は「環境・開発・人権・平和・ジェンダーなどの教育」について自ら考え、主体的に行動できる個人を育てていく必要があるとされている。
これでももし、「本当に意味があるの?」と疑うような大人がいるなら、一度こどもと一緒に参加してみることをおすすめする。
きっと、こどもだけでなく大人にとっても新たな発見があることだろう。

サンプル品を用意するということで童心に帰って絵を描いてみた
昆虫と三陸鉄道 作:森おじ
残念ながらこどもたちの笑顔を載せることはできないがみんないい表情だったよ
みんなきちんと挨拶できてえらい
大人では思いつかないような自由な作品もあった
こどもの思考の可能性は無限だ

2.ツリークライミング体験会@旧考古園

8月4日は地域の子どもたちに向けて、恒例のツリークライミング体験を行った。非常に暑い日だったので熱中症には細心の注意を払った。
吉里吉里国ではこのツリークライミング体験を恒常的に行っているが、木工教室と同じようにこれにもきちんとした意味がある。
それは、ツリークライミングには人に対して身体的にも精神的にも良い影響をもたらすことが実証されているから。
ツリークライミングを日本で初めて紹介し、農学博士でもあるジョン・ギャスライト氏の研究成果によると、ツリークライミングを行うことによって、コルチゾールとよばれるストレスを感じた時に分泌されるホルモンが抑制されることが分かっている。
また、木に登るという体験を通して自然環境を身近な存在として認識することで、環境保全に対する意識が育まれることにも大きな意義があるだろう。
ツリークライミング体験は決して子どもに限るものではなく老若男女、障害の有無に関係なく誰もが楽しむことが出来るアクティビティである。
興味がある方は、是非一度体験してみて欲しい。

いつもツリークライミング体験を行う際にお貸しいただいている旧考古園
いつ来ても自然を感じられる良い場所だと思う
後から付き添いの先生から聞いた話だが
いつもは控えめな子もこの時はとても活き活きとしており
なかには、ゲームよりも楽しかったという子もいたということだった

3. 松くい虫等防除技術講習会@矢巾 岩手林業技術センター

8月21日、22日は矢巾の岩手林業技術センターにて、県が主催している岩手県松くい虫防除技術講習会に参加してきた。
この講習会では岩手県における松くい虫及びナラ枯れ被害の現状と被害発生のメカニズム、またその対策と防除戦略について学んだ。
講習会の最後には正答率が7割で合格という、地味に難しい試験があったが何とか無事に合格することが出来た。
この講習を受けて感じたことは、無知が故にやってしまっていることが、知らず知らずのうちに松くい虫による被害を広げてしまっているということであった。
知らない、学ばないということは本当に恐ろしいことだと感じた。
今回はたまたま松くい虫に関する講習だったが、私たちの身の周りには無知が故に発生している弊害が意外と多いのかもしれない。
そうしないためには、日頃から様々なことにアンテナを張り、色々な人と交流し、常に自分の知識をアップデートし続けることが大切であると感じた。

松くい虫に汚染された木を現地で燻蒸(くんじょう)殺虫する方法を学んでいる
シートを被せて殺虫剤が漏れ出さないよう密閉する
ちなみにこのシートは生分解性といって土中微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため環境にも優しい成分でできている
この薬剤は松くい虫による松枯れを予防するためのもの
すでに枯れ始めている松に接種しても意味がないので松が健康なうちに打っておくことが重要
岩手県内の様々な場所から採取された松のサンプルをここで検査している
松の木の健康状態を見るために、樹皮の表面に小さな孔を開け、樹液の滲む量を目視にて確認する
ちょっとちくっとしますよー
我慢してくださいねー
健康な状態の松であれば、孔を開けてすぐに透明な樹液が滲み出てくる
講習の帰りに紫波町の道の駅で見つけたラッピング自販機
結局色々試した結果、一周回って物理攻撃が最強だった。ということか?

4.吉里吉里祭り@天照御祖神社(あまてらすみおやじんじゃ)〜吉里吉里地区

8月26日、27日は吉里吉里祭りの御神輿の担ぎ手として参加させていただいた。
今回は、吉里吉里公民館の館長のご厚意で参加することができた。
私自身、人生の中で神輿を担いだり、祭り行事に参加することは初めての経験だったので、全てが新鮮な経験となった。
また、参加してみて実感したことは、祭りに参加することでその土地の文化や人付き合いに馴染むスピードが圧倒的に変わってくるということだ。
今後地方移住を検討している人がいるようであればここで断言しよう。
その土地の人々と仲良くなる一番早くて確実な方法は、その土地のお祭りに参加することである。
ただし、お祭りの中には参加するために事前に口利きしてもらう必要があったりするものもあるので、そこら辺のローカルルール的なものは事前に調べておいた方が良いだろう。

宵宮祭で祭りのボルテージが少しずつ上がっていくのを肌で感じた
演者は何に想いを馳せて舞うのだろう
芸能団体ごとにそれぞれ特徴があり見所があるため
一時たりとも目が離せない
歌舞伎のようなパフォーマンスをする団体もあった
どんな経緯で今のような演出内容になったのか考えてみることも面白い
一夜明けていよいよ本番
皆さん身体から気力が滲み出るようである
本日は僭越ながら担ぎ手をさせていただきます。
森おじと申します。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
最後の方は肩の感覚が無くなるほどハードだったが、この土地に生きる人間としてやっと認めてもらえたような気がして嬉しかった

5. 個人的活動『生き物図鑑』

最後は恒例となった生き物たちの紹介をして今月の報告を終えようと思う。
最初の方は植物系だが後ろにいくにつれて虫などが増えてくるので、苦手な方は2枚目の写真ぐらいでご退出願う。
それでは、また来月の報告をお楽しみに。
グッドバイ👋

ヒマワリ レア度E

ヒマワリ属は、キク科の属の1つである。ラテン語で文字通り「太陽の花」を意味する。
イロハモミジ レア度E

和名イロハモミジは、葉が手のひらのように5 - 7つ裂片があり、この裂片を「いろはにほへと」と数えたことに由来する。
オオニジュウヤホシテントウ レア度C

テントウムシではあるが草食性で、ナス科の農作物の害虫として有名である。
ジョロウグモ レア度E

和名は女郎に由来すると一般的には考えられているが、一方で上臈(じょうろう)から来ているとも言われている。
※ 上臈(じょうろう)とは、江戸時代の大奥女中の役職名。将軍や御台所への謁見が許される女中であり、大奥における最高位。
アキアカネ レア度E

俗に赤とんぼと呼ばれ、狭義にはこの種だけを赤とんぼと呼ぶことがある。季節的な長距離移動がよく知られている。
ミヤマカラスアゲハ レア度D

花以外に吸水にも来る。オスは湿地に集団で吸水に来る性質があり、それを狙って採集する人も多い。水分補給は水分だけでなく微量の塩分も摂取するためだと思われるが、吸水に来る理由や吸水集団を形成するのがオスに限定される理由は解明されていない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?