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森おじの大槌移住ライフ【2023年11月活動報告】

秋は一年の中で一番過ごしやすく、食べ物も美味しいのでとても好きな季節なのだが、今年の秋は例年に比べてとても短い気がする。
今のうちにたくさん美味しいものを食べて、厳しい冬に向けて脂肪を蓄えておかねば。
と、熊みたいなことを考えながら2度目の大槌の秋を堪能している森おじなのであった。

それでは、今月の報告をどうぞ。

1.伐木作業@源水地区

11/1は源水地区の伐採作業を行なった。
この案件は、熊対策のために胡桃(くるみ)の木を伐採して欲しいというものだった。
現場状況は、対象木の横に沢があり、下流で鮭を捕獲する網を掛けているということで枝葉やチェーンソーの木屑を落とせない上に、対象木がかなり傷んでいるということもありかなり難易度の高い案件であった。
長野から来ていただいている小林清さん(通称:コバキヨさん)と共に諸々の条件を確認して、上から少しずつ太い枝を剪定し、ある程度低くしてから伐倒する計画とした。
コバキヨさん、川原田さん、に加えてちおこインターンの二人(背戸川さん、河井さん)の力も借りて作業を行なった結果、スムーズかつ安全に作業を完了することができた。
どの現場でもそうだが、計画9割というぐらい計画や段取りというものが大切となってくる。
そのためには綿密な打ち合わせと現場調査が欠かせない。
安全かつ効率的に作業するためにも、この工程を面倒くさがらずやることが非常に大切だと再確認することができた。

源水地区 作業前
源水地区 作業後

2.MRS3講習@旧考古園

11/3.5はMRS(ムービングロープシステム)のレベル3を旧考古園跡地で受講してきた。
講師はお馴染みコバキヨさん。
この講習会では、MRS1、MRS2に続き、ムービングロープシステムの応用を学び、MRSをより深くマスターすることで幅広いツリークライミング技術の習得を目的としている。
地上からだけではなく樹上にいる状態でアンカーを掛け直す技術や、レスキューなどの技術も講習内容として含まれており、前回よりもさらに実践的な内容だと感じた。
やればやるほど奥の深い世界であると同時に、とても魅力的な体験ができる世界でもある。
数年前には、まさか自分が樹に昇っていることなど想像もできなかったが、つくづく人生とは不思議な縁でできているものだと感じた。

大人だけでやる『木々(モクモク)体操』はシュール
UFOを呼んでいるわけではありませんw
いざという時のためのレスキュー方法を学ぶ
レスキューでは、素早く的確な判断も重要だが、要救助者を安心させる話術や対応方法も大切な技術である
スロー(振り子運動を使っておもりを手で投げる方法)では届かないほど高い位置にアンカーを取りたい場合に用いる『ビッグショット』
要はでっかいパチンコみたいなもの
いつも陽気なコバキヨさん
笑顔が素敵だ
自分はもう少し笑顔の練習をする必要がありそうだ・・・
卒退後にツリークライミング体験会を開催できる様に、次回はファシリテーターの資格取得を目指す

3.森林づくりコーディネーター研修@矢巾林業技術センター

11/6-8は矢巾林業技術センターにて、全8回約5ヶ月に渡り開催されてきた、森林づくりコーディネーター研修の最後の回に参加してきた。
終始一貫して、森林づくりや林業についてのノウハウを中心に学んできた研修であったが、今回は特に現場作業に関する知識や実践、また木材市場での市場調査など、直接的に仕事に関わってくる研修内容であった。
本来であれば、林業を学ぶ学校に通わなければ学ぶことができない様なことも、私の様な初心者に対して基礎から教えていただけるのは非常に有難い機会だったと改めて感じた。
ここで得た知識を無駄にしないよう、これからも日々学ぶことを継続し、技術の研鑽を積み重ねていきたいと思う。

立木を切るための『受け口』と『追い口』について講義を受けている。実際、耳にたこができるほど何度も聞いた内容であっても、いざやってみるとなかなか思ったようには切ることができないのがこの世界の面白いところ
測量方法にもいくつか種類はあるが、今回はコンパス測量という手法を実践形式で学んだ
盛岡木材流通センターにて、木材の現在の市場価格や時期による値動きの傾向などを学んだ
広葉樹に関しても実際の取引き価格を聞くことができた。価格だけ聞くと夢があるものも存在したが、そもそもこんな真っ直ぐで大口径の有用材がどこに生えているのかという問題や搬出にどれほどの労力を要するのかという事を考え出すと、結局途方もないことに気付かされる

4.移住定住パンフレット写真撮影、インタビュー@大ヶ口公園

11/9は移住定住パンフレットの写真撮影とインタビュー対応を行なった。
夫婦で地域おこし協力隊になる例が珍しいのか、最近やたらインタビューされる機会が多いのは、まぁ、ありがたいということにしておこう。
撮影場所は大ヶ口の桜並木の土手から大ヶ口公園までの間で、立ち並ぶ木々はどれも紅葉から落ち葉に変わりつつあり、それぞれが徐々に冬支度をし始めていた。
四季の移ろいを感じられるのは、日本人の特権だと思っているし、誇りでもある。
私自身は感情の起伏が小さい性格をしていると思うが、何かが変化することに対しては不安感よりもむしろ好奇心や期待感が大きいのだと思う。
変化して行くことに対しては、誰しも不安や時には恐怖を感じることもあるかもしれない。
しかしそれでも、前に進もうとすれば自然と変化するのは自然の摂理だと思うし、受け入れるべきなのだと思っている。
これから先、何事にも積極的に様々な体験をしたり、新しいことに挑戦することによって、より良い形へ変化する事を怖がらず生きていくことが、私の願いである。

とても良い写真を撮っていただいた
これからの人生も、楽しんで笑って生きていきたい

5.森林教室@宮古市立磯鶏小学校

11/10は宮古市立磯鶏小学校で開催された森林教室に、補助スタッフとして参加させていただいた。
今回の体験会は、実際に学校の裏山を歩いて動植物の観察をするものと、木のへらを加工して竹トンボを作る木工体験の2部で構成されていた。
体験会が始まってしばらくは、子どもたちも普段とは違う環境に緊張していたのか静かな状況だったが、慣れてくるにつれて少しずつ色々な動植物に対して目を輝かせながら興味津々で観察したり、竹トンボで自由に遊んでいた。
五感をフルに働かせて遊んぶことは、こんなにも子どもたちの成長に影響を及ぼすものかと身を持って体験することができた。
また、実際に参加させていただいて実感したことは、子どもたちは大人が心配するほど無茶なことはしないし、教えなくても自分で考えて学び、遊んでいるということだった。
本当に危険なことにのみ注意して見守っていてあげれば、実は何の問題ないのである。
怖がっているのは、実は子どもたちではなく大人側であると改めて感じた。
何をするにしても「怪我をしたら大変だから…」とか「汚い。ばい菌が着くから駄目。」などと大人たちはしつこいほど言う割には、「今の子たちは想像力がない。」とか「体が弱い。軟弱だ。」などという言葉をよく耳にする。
しかし、子どもたちは良くも悪くも先入観がない、特別大人たちから何か言われない限りは自由に考え、様々な体験を通して身も心も自然と成長していくものである。
それに制限をかけているのは実は大人側であるということを、世の大人たちはきちんと理解しなければならない。
純粋に遊ぶということを忘れた大人たちは、逆に子どもたちからそのことについて学ばなければならないだろう。
何せ子どもたちは遊びの天才なのだから。

山に入って遊ぶときの最低限のルールを教えている
みんなきちんと聞けてえらい
木の根が地中から見えている部分を興味深げに観察している
木と土がどのように関係しているのかわかったかな?

6.森林インストラクター2次試験@東京都林野会館

11/18は東京都の文京区にある林野会館へ森林インストラクターという試験の2次試験を受験しに行った。
1次試験は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、高知、福岡の7都道府県の中から会場を選択できるのに対し、2次試験は東京都でしか受験することが出来ない為、全国からこの日のために受験者が訪れるのである。
2次試験の内容は、実技・面接で一人10分程度。
面接では、自己紹介の際の発声や態度、説明の要点は適切かどうかを見られる。
また、実技内容は樹木や鳥の絵、まつぼっくり、ロープ等17種類ある素材の中から1種類選んで、インストラクターとしての観点から解説等を行うこととされている。
私、森おじは職業柄、普段からロープを使う機会が多いため、実技素材はロープを選び『キャンプで役立つロープワーク3選』を実演することにした。皆さんもキャンプに行った際や、万が一の非常時にも役に立つ結びのため、これを機に覚えておいて損はないと思うので是非。

①『もやい結び』 
キングオブノット(結びの王様)とも言われるシンプルかつ強固な結び。その上、解くのも容易。作った輪の大きさが変わらない為、木等にロープの端部を固定したい時などに使われる。

②『自在結び』
ロープの長さや張り具合を調整したい時に使われる結び。キャンプのテント設営時などロープを張りたい時に役立つ。   

③『ひとえ継ぎ結び』
2本のロープをつなぐ際に簡単で信頼性の高い結び。テンションが掛かっていれば緩むことはない。ロープの長さが足りず延長したい時などに使われる。

という様に以上の実技内容を終え、ミスしたところも特になかったので受かっていることを願ってやまない。
合否発表は12月中旬ごろなので、それまでは落ち着かない夜が続きそうである。

林野会館というぐらいだからもっと木がふんだんに使われた建物とばかり思っていたら、めっちゃ重厚ではないか!
圧が凄いんじゃぁ
暇を持て余して東京の街を散歩した時の一コマ
木が一本も無くて寂しい
まぁこれもエモいって言っときゃ何とかなるか・・・

7.森林資源調査@浪板地区

11/22は釜石で活動されている石塚さんを講師にお招きして、浪板地区の森林資源調査を行った。森林資源調査とは、一般的には人工林資源の材積量、立木の質、林分構造および立地環境について調査を行う事を指す。これらの調査結果から、対象となる森林資源の価値の現状解析を行う。また、森林資源と環境の問題点を抽出し、持続可能な森林、良質な材を供給する森林管理のあり方、対処法について提案するための調査となる。
そんな面倒なことをせずに、じゃんじゃん木を切って効率だけを考えて木をお金に換えれば良いじゃんと考える方も、もしかしたら世の中にはいるかもしれないが、森林環境というのは自分だけの財産では無いと言う事を忘れてはならない。
考え方次第では、自分の住む家を破壊しているのと同義となる可能性も十分にあり得るのである。
確かに生活を営むためにはお金が必要にはなってくるが、長い目で環境という共通財産を守っていくことも林業という産業の醍醐味なのだ。
そのためには、時間がかかっても今回行ったような調査を細かく行い、健全な森林を維持するためにはどうすれば良いのかよく考える必要があるだろう。

きのこも貴重な森林資源のひとつ
ただしこのきのこは食用には向かないらしいので注意
代表となる場所を選び、10m✖️10mの面積内に対象木がどれだけの量あるかを調査している
その調査結果から、目標とする健全な森林を作るためには何本間伐すれば良いかを考えていく
調査結果を持ち帰り、あーだこーだと議論を交わす
この議論がとても大切である

8.釜石地方林業活性化セミナー@おしゃっち

11/30はおしゃっちにて釜石地方林業活性化セミナーに参加させていただいた。
今回のセミナーでは、林建協働により、いかにこの産業を盛り上げられるかについて2団体に講義いただいた。
林建協働という言葉に聞き馴染みが無い方も多いと思うが、かくいう私自身もこのセミナーに参加するまではどういう意味かわからないでいた。
林建協働とは、林業の持つ課題と建設業の持つ課題をそれぞれが持つノウハウ、技術などを共有することにより、SDGs、地域の森林づくりと担い手確保を図ることである。
事実、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、北欧フィンランド・スウェーデンに次いで第3位の森林率を誇る世界でも有数の森林大国にも関わらず、近年では林業の衰退に伴い、豊富な森林資源が十分に活用されていない。
日本政府は、2050年のカーボンニュートラルに向けて、森林の適切な保全と活用を進めるために、林業の成長産業化を推進している。
そのような変革期に差し当たって、この林建協働の考え方は林業界にとっての希望の光になり得るのではないだろうか。

9.個人的活動『生き物図鑑』

最後は毎月お馴染み、生き物たちの紹介をして今月の報告を終えようと思う。
残念ながら、今月は動物の画像が無い。
期待していた方が万が一いたら申し訳ない。
来月はなるべく動物の写真も載せたいと思っている。
それでは、また来月の報告をお楽しみに。
good bye🤚

オオモミジ レア度D

ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、北海道から九州まで広く自生する。イロハモミジに次いで日本の代表的なカエデで、園芸品種も多い。ちなみに、カエデは掌状に分かれる葉を蛙手(かえるで)と呼んだものが由来と言われている。また、モミジは紅葉するという意味の紅葉づ(もみず)からきており、秋に紅葉する植物の代表であるカエデ類を指すようになった。
プラタナス レア度C

スズカケノキ科スズカケノキ属の落葉高木。街路樹・庭園樹として広く用いられている。北半球に自生する樹木で30mから50 mの高さにまで育つ。学名であるプラタナスの語源は、ギリシャ語の platys(広い)で、大きな葉を付けることに由来する。また、和名のスズカケノキは、山伏が身に付ける鈴懸(すずかけ)という装束が由来となっており、胸に装着する「結袈裟」につける球形の房(梵天という)に、本種の果実が似るところからきている。
ドイツトウヒ レア度B

マツ科トウヒ属の針葉樹。ヨーロッパ原産の高木で、樹高は50mにもなる。材はやや軽軟で加工性がよく、乾燥による収縮も小さく狂いも少ない。その特性を活かして、ヴァイオリン、ピアノ、ギターなどの楽器用の響板などに使われる。イタリア北西部のクレモナで活動した弦楽器製作者アントニオ・ストラディバリが手掛けたバイオリン(ストラディバリウス)の響板は本種の材が使用されている。
アメリカセンニチコウ レア度C

北米南部原産の多年草。センニチコウに似ているが、花の色が橙色から鮮紅色であること、葉が細いことなどの違いがある。葉は細長く対生し長い毛がある。紅色の部分は小苞(しょうほう)、中から5弁の黄色い花が出る。苞(ほう)は下部から退色するが目立たず、頂部は新鮮で美しい。別名キバナセンニチコウ。花期は7〜10月。
マユミ レア度D

ニシキギ科ニシキギ属の木本。日本と中国の野山に自生する。秋に果実と種子、紅葉を楽しむ庭木としても親しまれ、盆栽に仕立てられることもある。果実は有毒であるが春の新芽は山菜として利用されることもある。和名マユミの由来は、昔この木から弓が作られたことによる。
ウメモドキ レア度C

モチノキ科モチノキ属の落葉低木。和名の由来は、葉の形がウメの葉に似ていることからこの名がある。果実は9月頃から赤く熟し12月頃に落葉しても枝に残っている。落葉後の赤い実は小鳥が好んで食べる。
カキノキ レア度E

カキノキ科 カキノキ属の落葉樹。東アジア原産の固有種。日本、韓国、中国に多くの在来品種があり、特に中国・長江流域に多く自生している。熟した果実は食用とされ、日本では果樹として北海道以外で広く栽培されている。果実はビタミン類や食物繊維、タンニンを多く含み、柿渋は防腐剤として用いられる。木質は緻密で堅く、家具や茶道具、桶や和傘などの材料として利用される。芯材が黒いものはクロガキと呼ばれ、独特の風合いと産出量が極めて少ないことから特に珍重される。

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