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澤田ゼミ・中室ゼミ合同カンファレンス潜入レポート!

皆さん、こんにちは (こんばんは)! 経済セミナー編集部のSです。

2023年7月22日(土)に慶應義塾大学三田キャンパスにて、東京大学・澤田康幸ゼミと慶應義塾大学・中室牧子ゼミの合同カンファレンス(研究発表会)が行われました。

このカンファレンスは毎年行っているもので、両ゼミに所属する学部生が研究成果を発表し合います(※一部院生も発表します)。

今回は両ゼミによるハイレベルな研究発表会の様子をお届けします。


■毎年恒例の合同カンファレンス

『経済セミナー』2021年8・9月号・単行本『経済論文の書き方』でも紹介していますが、中室牧子ゼミは毎学期(年2回)必ず他大学のゼミと合同でカンファレンスを開催しています。今年は昨年に引き続き東京大学・澤田康幸ゼミとの共同開催となりました。

※大変残念なことに、澤田先生は体調不良のため会場には来られず、オンラインでの参加・コメントとなりました。


■本当に学部生中心の発表会?

学部生の発表だと聞いてナメてかかっては困ります。仮説やRQ(リサーチ・クエスチョン)を立て、データを収集し、RQに適した計量経済学的手法を用いて分析し、結果を論文にまとめるという一連のプロセスを全て学生自らの手で行っています。処置タイミングの異なるTWFE(Two Way Fixed Effect)推定など、モダンな手法を積極的に取り入れた研究も見られました。


■教員・フロアからの鋭い質問・コメント

熱心なのは学生だけではありません。澤田・中室両先生からは発表者に対する鋭い質問・コメントが寄せられます。研究室の特任教員・ポスドクの方々もフロアから質の高い質問・コメントを飛ばします。

一つ一つの質問・コメントに対し、発表者は丁寧に説明・ディフェンスしていきます。発表内容そのものだけでなく、自分の研究に対して向けられる批判に対してきちんと打ち返しができているかも審査の対象となります。プレゼンテーションの時間制限も厳しく、タイムオーバーは許されません。

学生の発表に対して質問・コメントをする
中室牧子先生(慶大総合政策学部教授)
Le Quang Chienさん(中室牧子研究室ポスドク)
佐藤豪竜さん(京大医学研究科助教)
伊芸研吾さん(慶大特任准教授)

■ゲストスピーカーによる座談会

さらに、ランチタイムにはゲストスピーカーによる座談会もあります。今回は史上最年少の26歳(当時)で芦屋市長に就任した高島崚輔氏(この記事を書いている私と同級生……!)が登壇しました。

座談会は、講演会のように一方的にスピーチをする形式ではなく、学生からの質問に対して高島氏が一つずつ答えていくというQ&A方式で行われました。芦屋市の政策・取り組みに関する質問から、高島氏への個人的な質問など自由なやり取りが行われました。

高島氏との交流の様子(プロジェクター画面に写っているのが高島氏)

■最優秀論文に輝いたのは...?

表彰の様子①
ヘイトクライムに関する緻密な実証分析を行った西山知樹さん(東大・経済学部 B4)のご研究が澤田ゼミの最優秀賞に輝きました!左が西山さん、右が中室牧子先生。
西山さんの発表の様子
表彰の様子②
独自の企業データを用いてリモートワークの生産性を分析した石倉秀明さん(慶大院・政策・メディア研究科 M1)のご研究が中室ゼミの最優秀賞に選ばれました!左が中室牧子先生、右が石倉さん。
石倉さんの発表の様子

■冬にもカンファレンスあります

冬(例年12月中旬〜下旬ごろ)にも他大学ゼミとのカンファレンスが予定されています。直近の3年間は、大湾秀雄ゼミ(早大)・大竹文雄ゼミ(阪大)・中室牧子ゼミ(慶大)の3ゼミ合同でのカンファレンスが実施されています。


■まとめ

自ら仮説を立て、データを集めて分析し、論文にまとめるという一連のプロセスは、学部生にとってはかなりハードなものです。加えて、外部の人々の前で発表し、批判に対してディフェンスすることも要求されます。

一方で、学生が半年間時間と労力をかけて取り組んだ研究に対し、教員やポスドク・博士課程の学生といったエキスパートの方々がフィードバックをするという素晴らしい教育環境があるとも言えます。

※過去のカンファレンスで発表された研究のうちジャーナルに投稿されたものもあります

また次回のカンファレンスの様子もお伝えできればと思います!
※新入編集部員の日記も随時更新します。

参加者の皆様

■関連記事・書籍

学生向けの経済論文の書き方・読み方については以下の書籍・雑誌の記事で詳しく説明されています。ぜひご活用ください!

『経済論文の書き方』

『経済セミナー』2020年8・9月号

『経済セミナー』2021年8・9月号

『経済セミナー』2022年8・9月号

『経済セミナー』2023年8・9月号

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