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経セミnoteはじめました!

■ご挨拶

こんにちは、経済セミナー編集部と申します。『経済セミナー』は、日本評論社が発行する隔月誌で、創刊はなんと1957年。通巻で700号を超える伝統のある雑誌です。

ホットな経済問題、経済学の学習に役立つ記事から最先端の経済学の議論などをお伝えすべく、さまざまな特集と連載をお届しています。

この度noteも始めてみることにしました。学習に役立つ内容などなどをまとめてみたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

ところで新年度、落ち着かない毎日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? 今年はかなりイレギュラーな新年度・新学期となりました。大学では、すでにオンラインの授業が始まっているところ、始業が延びているところなどさまざまです。今回は最初の記事ということで、ご自宅で、少しでも経済学に親しみ、学習を深めるのにお役立ていただける最新の刊行物をご紹介します。

■経セミ2020年4・5月号

まずオススメしたいのが、『経済セミナー』2020年4・5月号(通巻713号)です。今回の特集は「実践で活きる経済学」。新年度に当たり、経済学がさまざまな現場でどのように活用されているかを紹介し、学んだ先に何があるのか? 学ぶことで可能性がどのように広がるのか? を、それぞれの現場で活躍する皆さまにお話頂いて、学習へのモチベーションアップにつなげよう!という企画です。

経済学は実際のところ、それぞれの現場、国際機関の現場(西尾昭彦さん=世界銀行から)、政策現場(泉敦子さん=公正取引委員会から)、ビジネスの現場(渡辺安虎さん=アマゾンジャパン→東大)で活躍する皆さまは、経済学をどう活用しているのか? どのように経済学を学んできたのか? 対年だったこと、やおもしろいところなどなど、ご自身の体験をたくさんお話頂いています。これから学ぼうという方々へのヒントも満載です!

そのほか、最近話題のIT企業、組織運営、マーケティング、ファイナンスのそれぞれの実務で、経済学がどのように活かされているのか? また経済学を活かすことでどのように業務をレベルアップさせられるのか? といった解説を頂いています。どんどん発展する経済学の今の姿をバッチリ覗けると思います。

特集=実践で活きる経済学
・【鼎談】経済学でキャリアを創る
  ……西尾昭彦(世界銀行開発金融担当副総裁)× 泉敦子(公正取引員会企業結合課)× 渡辺安虎(東京大学大学院経済学研究科)
テック企業は経済学をどう使う?……安井翔太(サイバーエージェントAI Lab)
・人と組織を経済学で活かす……大湾秀雄(早稲田大学政治経済学術院)
マーケティングに活かす経済学……天野友道(ハーバード・ビジネススクール)
コーポレート・ファイナンス理論と企業価値評価の実務……鈴木一功(早稲田大学)
・【インタビュー】経済学で挑む新事業“CRAB”ーー混雑緩和メカニズムの社会実装……池上慧・奥村恭平・松下旦・八下田聖峰(インタビュー当時、東大経済学研究科にご所属)

特集の最後には、池上慧さん、奥村恭平さん、松下旦さん、八下田聖峰という4名の東京大学の大学院生(インタビュー当時)に、ご自身たちが進めている経済学、中でもゲーム理論とコンピューターサイエンスの知識を使って設計した混雑緩和アプリの実用化・事業化に向けた取り組みについて伺っています。実際に「未踏アドバンスト事業事業」という大きな研究資金を獲得されたり、AIのトップカンファレンスである「AAAI」の「Conference on Artificial Intelligence (AAAI-20)」で研究発表も行うなど、大変精力的に活動されていました。こちらもとても刺激になると思います!

■東大の授業から生まれた経済学ガイドブック

次にご紹介したいのは、4月20日発売予定:

市村英彦・岡崎哲二・佐藤泰裕・松井彰彦編
『経済学を味わう:東大1、2年生に大人気の授業』

です。目次は、こんな感じ。東大経済学部の先生がたが、東大の1,2年生向けに、経済学に興味を持ってもらうため、それぞれのご専門から興味深くておもしろいトピックを厳選してお話した講義がもとになっています。2019年度に行われた「現代経済理論」という授業で、大教室が本当に毎回超満員でした。2020年度は、オンライン授業のためzoomが超満員だそうです(聴講者1000人越え!)。

第1章 経済学がおもしろい:ゲーム理論と制度設計……松井彰彦
第2章 市場の力、政府の役割:公共経済学……小川光
第3章 国民所得とその分配:マクロ経済学……楡井誠
第4章 データ分析で社会を変える:実証ミクロ経済学……山口慎太郎
第5章 実証分析を支える理論:計量経済学……市村英彦
第6章 グローバリゼーションの光と影:国際経済学……古沢泰治
第7章 都市を分析する:都市経済学……佐藤泰裕
第8章 理論と現実に根ざした政策分析:産業組織論……大橋弘
第9章 世界の貧困削減に挑む:開発経済学……澤田康幸
第10章 歴史の経済分析:経済史……岡崎哲二
第11章 会計情報開示の意味:財務会計と情報の経済学……首藤昭信
第12章 デリバティブ価格の計算:金融工学……白谷健一郎

経済学の基礎は、ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学ですが(コア科目などと呼ばれます)、この本では1~5章がおおむねそのコア科目に該当します。

1、2章でミクロ経済学の考え方を、3章でマクロ経済学、4章ではデータから因果関係を読み解く基礎知識、5章ではデータを使って経済の問題を読み解く実証分析を支える理論としての計量経済学を解説します。

6章以降は、現代の経済学が考えるさまざまな問題と、それに挑む現在の研究動向をトピックごとに紹介。それぞれ関心のあるトピックから読み進めることができます。

各章末や「あとがき」では、次に何を読んだらいいの? どうやって勉強を進めたらいいの? といった疑問に答えるコーナーも設けていて、今の経済学の姿を知り、学ぶとっかかりをつかんでいただくのに最適の一冊です。

■最先端の経済学はビジネスをどう変える?

最後は、4月22日発売予定となっている、経済セミナー増刊『進化するビジネスの実証分析』です。

アマゾン、グーグル、ネットフリックスなどなどのIT企業や、日本でもサイバーエージェントやSansanが積極的に経済学の専門家を採用し、それぞれの現場で活躍しています。トップの研究者が企業へ移籍し、分析チームを牽引する事例もめずらしくなくなってきました。

本誌では、なぜそのようなことが起きているのか? 経済学の何が役立つのか? 経済学者のどこがスゴイのか? といったホットな話題から、そこで活用される因果推論構造推定と呼ばれる実証分析の手法の考え方をざくっと紹介し、さらに「実証産業組織論」と呼ばれる、ビジネスを対象とした最先端の経済学の研究成果を紹介してしまおうという、とても欲張りな一冊です。

表紙はこんな感じ!

コメント 2020-04-10 225332

目次はこんな感じで、国内外で今活躍中の経済学者の皆さまに、それぞれの現場や研究の内容について、存分に解説頂いています! 本誌で、昨今のホットな動向から研究の最前線まで一気に俯瞰できると思います。

Part 1 最新動向を探る
 Chapter 1 [鼎談]ビジネスと政策の現場で活きる経済学……青木玲子・伊神満・渡辺安虎
 Chapter 2 経済学はビジネスに役立つのか……上武康亮
 Chapter 3 競争政策・訴訟対応への応用……石垣浩晶
 Chapter 4 [インタビュー]産業組織論はどのように生まれ、進化してきたか……小田切宏之
Part 2 研究のフロンティアに迫る
 Chapter 6 需要関数の推定:基礎と応用……北野泰樹
 Chapter 7 個別取引データによるリテール決済需要の推定:多様化をきわめる決済手段とキャッシュレス化の行方……若森直樹
 Chapter 8 ダイナミックな価格戦略:
  航空料金設定の工夫とLCC参入による変化……渡辺誠
 Chapter 9 小売業の参入・立地・成長戦略:構造推定による実証分析……西田充邦
 Chapter 10 衰退産業での退出戦略:アメリカ映画館産業の実証分析……高橋悠也
 Chapter 11 カルテルの理論:基本理論と退出可能モデルへの拡張……グレーヴァ香子
 Chapter 12 談合の実証分析……鈴木彩子
 Chapter 13 グローバル経済における企業合併:韓国における現代・起亜自動車の合併事例……遠山祐太 
 Chapter 14 ネットワーク効果:空港利用の間接ネットワーク効果の実証分析……土居直史
 Chapter 15 公共調達:制度設計とその経済学的な評価……花薗誠

こちらも、「経済学ってこんな風に使えるのか」「最先端の経済学はこんなことを考えていて、ここまでできるのか」といった内容を、さまざまな事例とともに知ることができて、学ぶモチベーションアップにもつながるのではないかと思います。経済学を勉強している皆さんにとっても、それ以外の分野に関心があってビジネス現場での実証分析の動向を知りたい方にとっても、新しい発見がある一冊です。

■次回は…

今回は、4月に刊行した/する出版物をざざっとご紹介しました。次回の投稿では、『経済学を味わう』から、学び始め~学部~大学院を視野に入れた学び方について、少しだけ紹介させて頂く予定です!


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