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新発売! 医療・健康と経済学:経セミe-book no.20

2020年6月1日(月)に、「経済セミナーe-book」のno. 20として「医療・健康と経済学」が発売になりました!

そこでこのnoteでは、その内容のご紹介と、このe-bookに関連する医療・健康分野の経済学についての文献などをご紹介したいと思います。最近編集部にご恵贈いただいた書籍や、定番のものなどを中心にざっとご紹介しますが、他にも良書や参考になるサイトなどはたくさんありますので、ぜひ探してみてください。

それでは、まずは「経セミe-book no.20 医療・健康と経済学」のご紹介から。こんな記事が収録されています!

目次
[対談]データを活かした医療政策を:20年後の社会を見据えて
  …西内啓先生×野口晴子先生
相対所得仮説とソーシャル・キャピタル:
  健康な社会環境整備に向けたエビデンス…近藤尚己先生
出生体重が子どもの将来に与える影響:
  非実験データからわれわれは何を学ぶのか?…丸山士行先生
ジェンダーが健康に与える間接的影響…本庄かおり先生
アメリカの医療保険制度改革:オレゴン州の「実験」からわかること
  …飯塚敏晃先生
健康とおカネは似ている?:医療現場と行動経済学
  …久坂部羊先生(+大竹文雄先生とのディスカッションもあり)

■巻頭対談:西内啓×野口晴子

冒頭の対談は、データビーグルの西内啓先生と、早稲田大学の野口晴子先生。西内先生は、ご存じの通り『統計学は最強の学問である』などの著作でとても有名ですが、もともとのご専門は公衆衛生学です。データや統計のリテラシーを普及するための活動にも熱心で、無料の動画講義なども公開されています。

野口先生は、実証的なアプローチを中心とする医療経済学がご専門です。20厚生労働省保険局 中央社会保険医療協議会(中医協)の公益委員としても活躍されました。

また、医療・健康経済学とは何か、どんなことをどんな方法で考えるのかについては、野口先生による以下の記事、「医療(健康)経済学から日本の医療を考える」という講演録(PDF)がとてもお薦めです【PDFへのリンク】。

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■医学・公衆衛生学と経済学からの記事

次に、ご寄稿いただいた記事は、以下のようにズラッと並べて形で、近藤尚己先生、丸山士行先生、本庄かおり先生、飯塚敏晃先生にご寄稿を頂いています!

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なお2020年4月には、東大政策評価研究教育センター(CREPE)のウェブサイトにて、丸山士行先生のご研究が紹介されています。内容は、デンマークの行政データを活用した医療・健康経済学分野の研究ですので、ぜひご覧になってみてください!

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■医師・小説家の久坂部羊先生もご寄稿!

また、本号では医師で小説家としても有名な久坂部羊先生にもご寄稿をいただいています(末尾には、大竹文雄先生とのディスカッション付き)。記事の冒頭は以下のような感じ。

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以上、とても盛沢山な内容でお届けしている経セミe-book no.20を、ぜひともご覧頂けたら幸いです!

■医療・健康経済学分野の読書ガイド

続きまして、経セミe-book no.20に関連する、医療・健康経済学の分野の文献を少しだけご紹介したいと思います。英語では主にHealth Economicsと呼ばれる分野ですが、日本語だと「医療経済学」と呼ばれることが多いでしょうか。

日本では専門の学会「医療経済学会」もあり、論文・研究書などもたくさん出版されています。同学会が発行する『医療経済研究』では、日本語の学術雑誌も読むことができます!

この分野の入門書としてまずお勧めしたいのは、経セミ連載を書籍化した、井伊雅子・五十嵐中・中村良太 『新医療経済学:医療の費用と効果を考える(日本評論社、2019年)です!

以下のような目次で、行動経済学やEBPMと関連する話題などまで含めた一冊です! 第4章では『経済セミナー』2020年6・7月号で特集した「ナッジ」についても触れられています。

第1章 なぜ医療で「経済学」なのか
第2章 情報と医療──不確実性下での意思決定と情報
第3章 費用対政策評価と、その政策応用
第4章 医療経済学と健康行動──行動変容、どうやって起こす?
第5章 医療経済学とエビデンス
第6章 医療政策に社会的価値観を反映させる
第7章 国際保健におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジとプライマリ・ヘルス・ケア

また、最近出版された教科書としては、後藤励・井深陽子先生の『健康経済学――市場と規制のあいだで』(有斐閣、2020年)があります。保健、医療、介護を分析し、理解するための基礎理論から制度まで詳細に解説されています。第6章「消費者の需要に対する政府の介入」では、「外部性の内部化」という視点に基づいたワクチン接種への補助金に関する議論や、「なぜ感染症の撲滅は難しいのか?」といった議論が紹介されています。

細谷圭・増原宏明・林行成先生による『医療経済学15講』(新世社、2018年)も、比較的最近出版された読みやすい教科書です。図解も豊富です。

また定番書としては、橋本英樹・泉田信行編『医療経済学講義(補訂版)』(東京大学出版会、2016年)が、初版から長く読まれてきた教科書かと思います。

さらに、行動経済学との接点に焦点を当てた一冊としては、本e-bookにもご登場頂いている大竹文雄先生と平井啓先生による編著『医療現場の行動経済学』があります。

また、日本の医療・介護など、医療・健康経済学と関連の深いトピックスの現状がどうなっているかは、厚生労働省や国立社会保障・人口問題研究所が公表している資料や統計がとても参考になります。上記の教科書で基礎知識を身に付けて、データや実際の制度を概観してみるのもおもしろいかもしれません。

社会保障の問題とも密接に関わっていますので、小塩隆士先生の『社会保障の経済学(第4版)』(日本評論社、2013年)などのようなテキストもオススメです。

■おわりに

以上、「経セミe-book no.20 医療・健康と経済学」と、その関連情報をお届けしました。昨今のさまざまな社会情勢から、感染症問題にとどまらず、高齢化とともに、予防医療や健康維持、医療費、介護、年金などの問題について議論される機会が増えています。その際にも、医療・健康経済学の知見がきっと活かされていると思います。

ぜひ、経セミe-bookや、さまざまな関連書籍、ウェブサイトなどをチェックしてみてください!

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