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銀行の「目利き力」について世間の誤解を解いておく

銀行に対する一般的な誤解は数多く存在します。

その中でも銀行員が高度なリスクを見極め、成長企業を見極める能力に長けているというのは、実際の業務内容と大きく乖離しています

この記事は、銀行の「目利き力」の実態と、その背後に潜む問題点に焦点を当て、銀行員の業務とリスク評価の手法に対しての私の見解を述べます。

銀行員の真の役割は?

銀行の「目利き力」は、貸し出した資金とその利息が確実に返済されるかどうかを意味しています。

貸借対照表や損益計算書、キャッシュフローなどの財務分析を通じ、企業の財務状態やビジネスモデルの安定性を深く理解していきます。

しかし、この分析は、企業が直面しているリスクの本質や、長期的な成長ポテンシャルを見極めるものではありません。

つまり、銀行の「目利き力」は、短期的な返済能力に焦点を当てています。投資ファンドなどが行う株式投資のような長期的な視点の評価とは根本的に異なります。

短期的視野

銀行がこのような短期的な視野しか持っていないのには理由があります。

銀行員は、市場の変動や革新的なビジネスモデルの潜在的な成長力を正確に評価するトレーニングを受けていません。

そのため、スタートアップ企業やベンチャー事業に対し、過度に慎重な姿勢を取ります。

逆に、伝統的なビジネスを主体とした企業からの資金調達の要請には、回収可能性を深く考慮せずに融資に至るケースがあります。

結果として、銀行は時代の変化に対応する能力が育たず、経済の多様化と成長を支える役割を果たせなくなってきています。

リスク評価

銀行業界のリスク評価のアプローチが時代遅れなのは、リーマンショックなどの金融危機で明らかになりました。

過去踏襲や成功事例に基づく評価は、市場の変動や新たなリスク要因を見落とす結果となり、結果的に銀行自身や経済全体に損害をもたらします。

銀行のリスク評価は論理的な根拠を求めがちなため、成功事例など前例がなければ判断ができません。しばしば過去のデータに依存し、伝統的なビジネスモデルの範囲内での安全性を重視します。

そのため、経験値のない革新的なビジネスについては、評価基準がないため判断できません。

つまり、銀行に将来の「目利き力」は無いと言えます。

結論

銀行の保守的なアプローチは、特に技術の進展が著しい現代において、経済の多様化と成長に貢献する機会を逃す主要な要因となっています。

起業家やベンチャー事業が必要とする柔軟な資金調達を提供できないのは、銀行自身の将来にとってもリスクとなり得ます。

銀行が本当の意味で経済の成長と発展に貢献するには、リスク評価の方法を根本から見直し、より革新的な企業やビジネスモデルに対してオープンな姿勢を取る必要があります。

例えば、銀行員のトレーニングプログラムの見直しや、新しいビジネストレンドや技術進化に対する理解を深める取り組みが必要です。

銀行業界は「目利き」に関する世間の誤解を正し、新たなビジネスに対して建設的な役割を果たす改革が求められているのではないでしょうか。

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