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地方銀行が新卒初任給を引き上げている理由

2025年春の卒業を控えた大学生・大学院生に向けた就職活動が活発化しています。

特に地銀は、初任給の引き上げが目立ちます。

これまで大手地方銀行の初任給は20万円程度でしたが、25万円を超える水準になる見込みです。

この記事では、地方銀行員の初任給引き上げの背景と、金融機関が目指す今後の方針について解説します。


新入社員は給与がアップ!

地方銀行では初任給を引き上げる動きが相次いでいます。

横浜銀行は若手行員を中心に大幅な賃上げに動きました。初任給を現在の22万円から26万円(25年4月入行)に引き上げるのにあわせて今年、入行2〜4年目の若手を対象に、最大14.5%程度ものベアを実施します。

福井銀行は7月に、正行員らを対象に定期昇給と合わせて5%程度の賃上げを実施。新入行員は初任給の引き上げで9.7%程度の賃上げなど、横浜銀行と同じく20代若手行員の処遇改善も図ります。

愛知銀行と中京銀行では定期昇給などを含め8%超(従業員平均)の賃上げ。来春に入行する行員の初任給も一律4万円引き上げます。

山陰合同銀行では25年度から大卒で転勤可能な場合の初任給を26万円にすることを発表しました。

相次ぐ若手行員への給与水準の引き上げは、地方銀行においては新卒採用が難しくなっていることに加え、成長と昇給が見合っていなかったことが背景にあります。

また、10年以上続いた大手地方銀行の初任給の横並びが崩れ始めた背景には、優秀な人材の確保と流出防止が考えられます。

終身雇用が前提だった時代と異なり、現在では銀行員の転職も珍しくありません。

金融機関はコンサルティング会社など他業界と競合し、特にデジタルスキルを持つ人材の獲得に力を入れています。

メガバンクの三菱UFJ銀行は、能力に応じた給与体系を導入しており、1年目から年収が1000万円以上になる可能性もあります。

低下し続ける地方銀行人気

しかし、金融機関の就職人気は低下傾向にあり、処遇改善が急務となっています。

特に地方銀行の人気は以前ほど高くありません。
また、引き上げが相次ぐ背景には、メガバンクの初任給水準が上昇しているのも理由の一つです。

これまで、大卒初任給は20万5000円の横並びが続いてきました。しかし、23年に三井住友銀行が25万5000円に引き上げ、4月にはみずほ銀行が26万円、三菱UFJ銀行が25万5000円と上げてきました。

初任給の引き上げは最もわかりやすい改善策の一つです。これに伴い、現役社員の賃上げも検討されています。

初任給を引き上げると、新卒と2年目以降の行員の賃金との逆転が起きる可能性があるため、若手行員の賃金も引き上げられる見込です。

賃金の逆転現象が起きてしまうと、若手の退職意向がさらに強まる懸念があります。それを防止する意味でも、若い人材の報酬アップは必要不可欠です。

現状、地方銀行では若手がどんどん退職しているため、人材確保が急務であり、メガバンクと同じ給与水準は必然でもあります。

年功序列の日本の銀行

ただし、優秀な人材を引き付けるためには、処遇改善だけでは十分ではありません。

金融機関の人事制度は従来から年功序列が強く、企業風土は保守的です。

意欲や能力が高い若手や中堅社員の登用を促し、それに見合った給与を提供する人事制度の整備が急がれます。働く人のモチベーションを高める取り組みが銀行には必要です。

ただ、現在の流れとしては、とりあえず初任給の引き上げをはじめとする処遇改善によって、優秀な人材の獲得を目指している傾向にあります。

今後は、給与体系や人事制度の見直しを通じて、競争力のある働きやすい環境を整えることが、より一層求められるでしょう。

結論

しかし、この手の話は随分と前からありました。
地方銀行は年功序列による不平不満や、評価制度の対策を長年求められてきました。

それでも長い間、変わらなかった地方銀行に体質改善できるかは少し疑問です。

なぜなら年功序列を壊すような経営は、次はこれまで我慢してきた行員からの不平不満にも繋がりかねません。

果たして、数年で頭取がコロコロ変わるような地方銀行に長期的な視点に立った大胆な制度改革が出来るか、私自身は怪しいと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
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