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攻めの経理

はじめに

攻めの経理とは何か?経理をやっていれば一度は聞いたことがあるこの言葉。社長に急に言われてなんとなくそれっぽいことをしてお茶を濁している経理が多いのではないだろうか?そもそも、何を攻めとするのか?は特に定義はなくなんとなく使われている。そんな「攻めの経理」について改めて整理して考えてみる。

疑問

経理が攻めるとはどういうことか?経理は守りが仕事のはずでは?という気がするが。しかし、逆があるらしい。攻めがあるということは守りもある?これらの疑問を整理していく。

整理

経理の仕事について考える。経理の基本の仕事は「記録」と「報告」だが、これは攻めと守りならどちらに分類されるか?記録・報告をしても会社を守ることにはならない気がする。

では、守りの役割とは何だろうか?会社を守るという意味では間違い不正が無いかのチェック等をする要素はあり、内部統制等がそれにあたる。これが守りの部分だと言えそうだ。

逆の攻めの部分は一体どこだろうか?守りの要素を考えるとマイナスを生まないために行っていることと言える、であれば逆の攻めはプラスを生むものだと考えると事業に対してプラスの影響を与えること。経理でできることで言うと会社の分析と各部署への提案がそれにあたる。

まとめると
基本:記録・報告
守り:管理・チェック
攻め:分析・提案

となる。それぞれについて細かく話していく。

基本:記録・報告

経理の基本業務は「会社のお金の動きを記録・報告すること」である。記録とは全ての活動を帳簿に記録することで、報告とは報告対象となる関係者に記録した内容をそれぞれの要望に合わせて報告すること。

守り:管理・チェック

経理のイメージはここが強い。経費精算や外部への支払いで間違いや不正が無いかをチェックしたり、社内の稟議が正しく上げられていなければ差し戻す。経理以外の人が経理と関わるのは基本ここだけなので仕方ない。

専門的には内部統制・内部監査等と言われる部分。社内のルール・仕組みを不正やミスが起こらない様に構築し、常時正しい処理がされているかのチェックを行う。

攻め:分析・提案

そして攻めの部分。経理ができる攻めの部分としてはプラスを生める分析・提案がそれにあたる。例えば販管費を一通り調査して、必要なさそうなものを各部署に確認しコストカットするというのがこれにあたる。コストを下げたという意味で直接事業にプラスの影響を与えている。

分析はBS・PL等の会計情報を元に行う。気になる点があれば、各部署からより詳細な情報をもらったり、元の契約書を見に行けば正確な情報がすぐわかる。売上や粗利等も経理の視点で見てみると、現場で使っている数字とズレてることもよくあり、その点に提案できるポイントが隠れていたりする。

提案は分析して見つけた結果を各部署に確認して共有する。分析というレベルで無くて、普段通り仕訳切ってたら変なの見つけたというだけでも十分。同じようなサービスの費用が今月から2種類になっているので内容聞いてみたら、前のやつの解約漏れだったなんてことがある。これもコストカットの一つ。何もしなければ、1年ぐらい放置なんてことは結構ある。

経営企画の仕事では?と思う部分でもあるが、違う部分がある。それはトップダウンボトムアップかの考え方の違い。

経営企画トップダウン的な考え方で分析・提案を行う。経営企画のメインの業務は会社全体の中長期的な方向性を考えることである。なので、大きな所から考えていき、必要があれば個別の細かい事象についても考えていく。

社内の情報だけでなく、競合他社や市場自体の調査等も行うためより大きな視点での業務が多い。社長の思いつきで細かい部分にプロジェクト的に入ることもあるが、あくまでもイレギュラーの部分。

経理ボトムアップ的な考え方で分析・提案が行える。経理は会社の全ての動きを記録することが仕事なため、普段から細かい部分を見続けている。なので、細かなピンポイントでの課題には気付きやすい。

しかも、ほとんど全ての情報にアクセスできて各部署とのコミュニケーションも日常的に行うため、課題が見つかればすぐに担当者に直接話すことができる。

経理が攻めを求められる理由

経理の仕事はあくまでも守りよりなことが主。しかし、その中でも攻めが求められるのには理由がいくつかあると思う。
1,経営企画と視点が違う
2,経理にしかできない
3,月の半分暇なのはバレている
4,バックオフィスが+を生めるととても助かる

といったところだろうか?

1,経営企画と視点が違う

先程の記載内容と重複する部分でもあるが、経営企画とそもそもの視点が違うため意味があるから求められる。視点が違えば出てくる結果も違うのが当たり前。より多角的な視点で会社全体を良くしていければ会社にとってプラスなのは確かなので求められる。

2,経理にしかできない

経理にとっては当たり前だが、会計情報に簡単にアクセスできるのは実は経理だけ。他部署は先月の水道熱費が1円単位でいくらだったか?なんてことは知れない。これを常に見て考えれるのは経理だけなので求められる。

3,月の半分暇なのはバレている

経理は月次が終われば正直暇だ。それは経営者もなんとなく感じていてバレている。会社や状況にもよるが、安定的な会社で特に変化も無ければいろいろできる時間は確実にある。日次の業務がメインの人は別だが、月次メインなら確実に。

4,バックオフィスが+を生めるととても助かる

+を生む前提にないバックオフィスだからこそ、それができると会社としてとても助かる。予算に組み込まれていない+要因が生まれると、その分だけ余裕ができるのでとてもいい。

おわりに

私は今思えば攻めばかりやっている。月次が終わってからが勝負と思って毎月何かしらやっていた。商材別の粗利をメチャクチャ細かく出してみたり、販管費の無駄を探したりいろいろしていた。

事業側とコミュニケーションするなかで、粗利以下はあまり見てないということに気づいた。気にはしているが細かくは見えてないと言った方が正しいだろうか?

経理側は全ての費用がわかるので、販管費でいろいろ発見することも多いが、事業側は担当が分かれていたりして全体が見えなかったり、継続して使っているものは考慮しなかったりした。これは知ってますよね?ということも担当者レベルでは意外と知らないことも実は多い。

経理が攻めをやることは思ってる以上に価値があるので、時間を見つけては是非やってほしい。

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