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◆三田文學編集部のお仕事◆ 編集作業ってなにするの? その1 見本紙作成

こんにちは! 編集部員Oです。編集部って実際どんな仕事をしているの? と気になる方は多いと思います。実際、仕事の中身を知る機会は少ないかもしれません。出版社によって違う部分も多々あったりすると思います。

そういうわけで、このコーナーでは、三田文學編集部のお仕事なかでも「編集」でどんなことを行っているのか少しずつご紹介していきたいと思います。

編集作業は簡単にまとめると、以下のように進んでいきます。

原稿到着

見本紙作成、原稿整理

印刷所へ入稿

ゲラ(校正を行うために実際の雑誌に載るレイアウトで文章を出力したもの)が出てくるまでの間、引用確認のための資料リスト作成、引用照合

初校ゲラ到着。原稿照合、校正(事実確認も含む)

鉛筆で疑問を書き込んだゲラを著者へお送りする

著者の赤字を確認、印刷所へ戻す

再校ゲラ到着。赤字照合、素読み(加筆部分の事実確認、誤字脱字チェック)

校了作業

(「校正」「校閲」の言葉を分け、事実確認も含めたものを「校閲」と言うことがあるようですが、このコーナーでは、「校正」に「校閲」も含めるという前提で書いていきたいと思います)

台割作成(どんなふうに作品を並べていくか、どこに広告を入れるかなどを確定する作業)など、進行管理にかかわる作業もありますが、まずは上記の流れ中心に紹介できればと思います。各項目については、次回以降も細かく触れていきます。

今回は、見本紙について紹介いたします。

ぱらぱらと雑誌をめくっていただくと、
・3段組みのもの(書評など)
・2段組みのもの(小説・評論など)
・1段組みのもの(詩など)
といろいろなスタイルの組み方があることがわかると思います。

見本紙は、〈この原稿はこのように組んでほしい〉と指示するための以下のような用紙です。

見本紙の実例

右上に書いてある、段数・Q数・書体、そして本文に書き込んだ「w」「l」について簡単に説明いたします。

【段数】
何段で組むかを示します。今回の紹介で使った見本画像は3段組みのものですね。

【Q数】
級数は文字の大きさのことです。いちいち「級」と書くのがたいへんなので慣例でQと書くようになったのだと思っています。

以下は級数表です。□の部分を文字にあてるとその文字の大きさがどれくらいかわかります。

級数表

【書体】
明朝体とかゴシック体とか……明朝体といってもそのなかにたくさんの種類がありますし、さらに太さ、細さ、いろいろあります。

【w・l】
ワード(w) 1行あたりの文字の数
ライン(l) 1段あたりの行の数
実際に見本を数えていただくと18字×20行、あるいは25行で組んでいることがわかるかと思います。

タイトル・名前・作者名・作品名
と右側に赤字で書いた箇所には、実際は入稿したい原稿の該当するものを書くのですが、今回は見本ということで具体的には記しておりません。

書評などフォーマットが決まっているものについては、前号のページをコピーし、上記のように指示を書き込んだ見本紙をお送りすると、同じように印刷所が組んでくださります。

図や表が入ったり、新連載などでレイアウトを新しくしたい時は、本文デザインを担当されているデザインフォリオさんに作成していただいています。(もともとのこの書評フォーマットもデザインフォリオさんに作成していただいたものです。いつもとても美しいレイアウトにしてくださっています!)

さてさて、見本紙だけでは入稿はできません。もうひとつ、原稿整理という仕事があるのですが、それはまた次回に……!
今回もお読みいただきありがとうございました。

※このコーナーで利用する画像は著者の許可をいただいています

↓ 「編集作業って何するの? その2」はこちらから

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