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パラアスリートに夢を語ってもらう「ゆめすぽ☆彡」 ~第1弾 古澤拓也さん(車椅子バスケットボール選手)~【後編】

昨日の前編に引き続き、本日は古澤拓也さんインタビューの後編をお届けします!

バスケ選手の自分とは違う、もう1つの素でいられる自分

ー大学を編入したそうですが、その理由は何ですか?
元々神奈川大学にいて、2年生の時にA代表に選ばれました。合宿や遠征が増えて大学のシステム上の理由から両立がうまくいかなくて、卒業単位に満たないと分かった時にアスリート雇用と別大学への編入を考えました。僕が大学を選んだ理由は、車椅子バスケ選手としての自分ではなくて、素の自分でいられる場所が欲しかったんですね。例えば同年代といても、選手というだけでどこか遠い存在に思われて同じ立場でいることが難しくなってしまうんですよね。ちゃんと大学で勉強してバスケじゃない友達のコミュニティを作りたかったんです。その上で両立できることと、スポーツのレベルアップできることを大切にしていました。今の大学は、スポーツの勉強ができる、海外のスポーツ政策に特化した先生がいらっしゃる、体育館が自由に使えるという3つが大きかったですね。
僕は2、3年生の時は7時くらいから9時半まで体育館で練習した後に午前中の授業を受けて、昼ごはん食べた後に筋トレを1〜2時間してから午後の授業を受ける、夜はクラブチームの練習にいくという生活をしてました。この生活ができる環境は大きかったです。大変だしキツイけど楽しかったです。僕が今所属しているゼミにはスポーツも勉強も頑張る人が多くいますね。話も合うし、お互い切磋琢磨できて、デュアルキャリアが両立できる環境でした。

ー卒論のテーマを教えてください。
車椅子バスケのU23世代の強化育成の日本の特徴と課題についてイギリスとオーストラリアと比較して考察しています。実際にイギリスとオーストラリアの選手にインタビューとって三ヶ国比較しています。大学に行かずに企業契約するケースが多いんですけど、
日本ってセカンドキャリアの言及は多くてもリアルキャリアはそうでもないので、僕はその現状を論文にまとめて、連盟に提出して連盟のサポート体制を作ってもらいたいと考えてます。

先を見すぎずに”今”がどうなのかを考える

ーコロナ禍で精神的に辛い方もいると思いますが、古澤さんはどのようにメンタルを保っていますか?
今がつらい人もいらっしゃってそれは立場によって違うとは思いますが、先を見過ぎるとつらいじゃないですか?だから僕は”今”を意識するようにしています。例えば今日どうだったのか?とかですね。練習に行けない時はひたすら家にある器械で筋トレして気を紛らわせてます。先を見るといつ練習できるのか不安になっちゃうので”今”がどうなのかを見た方が少しはいいのではないかなと思います。今卒論書いているんですけど、少し卒論進めたら「よし!ナイスだ俺!」と褒めてめちゃくちゃ自己肯定感上げてます笑。

ー普段はどのようにストレスを解消していますか?
僕はストレス解消は得意です!1つは甘いものを食べることです。特に抹茶が好きなんですけど、最近そのことを言い過ぎて色々なところで”好きなもの抹茶ですよね!?”って言われるんですけど笑。2つ目はコーヒーも好きなので、コーヒーを飲むことです。家で淹れたりお店で飲んだりして、美味しいコーヒー探してます。3つ目は動画ストリーミングサービスですね。もうNiziUプロジェクトも全部見ちゃいました笑

ー感謝している人はいらっしゃいますか?
感謝している人は家族はもちろんなんですけど、車椅子ユーザーになった小学6年の時の担任の先生ですね。当時20代前半の男の先生で、休み時間は先生とみんなと一緒にドッヂボールしてすごく楽しく過ごしてました。車椅子になってそれもできなくなっちゃった時に、先生が「車椅子カッコいいじゃん!」って言ってくださって。元々クラスの中心にいたのに車椅子になってしゅんとしてたら先生が「何しょげてるんだよ!」と暗くならない雰囲気を作ってくれて、みんなと触れ合う機会を増やしてくれました。一昨年の国際大会、三菱ワールドチャレンジカップにもお子さん2人連れて来てくれました。応援Tシャツ着て、試合後に「良かったよ!」と言ってもらえてめっちゃ嬉しかったです。代表になってからは昔みたいには色々言ってくれなくて「すごいよ!よく頑張ってるよ!」としか言ってくれないんですよ!同窓会も大会で行けなかったんですけど、その場にいないのにタイムカプセル開けられちゃってすごく恥ずかしかったし笑!

ー尊敬している人はいらっしゃいますか?
難しいですね。同じ種目の選手を挙げちゃうと俺じゃないのかって言われちゃいそうなんで笑。結構哲学者も好きで、自分を持ってて芯がある人を尊敬してますね。中でもイチローさんの色んな言葉に影響を受けています。例えば「努力を努力と思っているうちは成功しない」は好きな言葉です。あと、名言集のようなものは助けになりますね。自信をなくす時って自分を追い詰め過ぎてる状態だと思うんです。例えば階段で一歩一歩登っていけばそう簡単に落ちないと思うんですけど、一段飛ばしとかだと一気に落ちちゃうかもしれないじゃないですか。だから一つ一つを大切にするための自分を見つめ直す材料として名言集はよく読んでます。

古澤さん③

子どもたちが何かをはじめるきっかけになりたい

ー将来の夢は何ですか?
夢は2つあります。1つは、障がいを持った子ども達とその両親や家族が、僕の活躍を見て少しでもパラスポーツに興味を持ってもらうことです。僕自身も、国枝選手のパラリンピックの活躍がきっかけで競技を始めたので、同じように子ども達がスポーツじゃなくてもいいので、勉強でも、好きな趣味でも、その何か1つを目指すきっかけの人になれたらと思います。希望がなかったり、不安なこともあると思いますが、僕はそういう人の影響でここまでこれたので。もう1つは選手としての目標で、世界で1番のポイントガードになりたいです。その2つですね。

ー夢を叶えるためにやっていることはありますか?
自分ができる普及活動として小中学校、高校、大学など色々なところの講演会に行っています。今回の「ゆめすぽ☆彡」の企画もそうですが、より色々な人に知ってもらいたいと思っています。その中でも大事にしていることは、自分が常に何を普及したいのかを考えて行動すること。現在、東京オリパラの開催で関心は高まっているけれど、自分が本当に何を伝えたいのかを考えて、何に出るかは決めています。

ー現在の夢の達成度合いはどれくらいですか?
僕がきっかけで競技を始めた子もいるし、応援フラッグにメッセージをくれたり、国内に限らず海外の子どもからも応援メッセージが届いたりしました。でも、本当の勝負は東京オリパラ後だと思っています。現在はオリパラの影響でパラスポーツも注目されていますが、終わった後にその関心が薄れずに持続可能な活動をできるかが大事だと思っています。そういう点も考えると、50%くらいですかね。

ーパラリンピックへの想いを聞かせてください。
まずは、代表の12人に選ばれることですね。その大会に行けること自体が幸せですが、生で見ることで感じられることは多いと思うので、色々なものを吸収できればと思います。

ー夢を追いかけている学生へのメッセージをお願いします。
そもそも夢をちゃんと持って、それを追いかけることができる人ってごくわずかだと思うんです。「自分には無理だな」とか「今の環境じゃ無理だろうな」とか思って、夢を諦めたり捨てたりしてしまうことが多いじゃないですか。でも僕は、上手くいく、いかないの話じゃなくて、そこを一度目指すことによってその過程で得られるものがあると思っています。その過程が僕は1番重要だと思っているので、そこを大事にしてほしいです。先のことを見据えて、今を全力で取り組んでみてほしいです。

~ボランティアの募集について~
パラ神奈川SCは、練習のタイマーや補助をやるボランティア、チームの大会に帯同するマネージャーを募集しています。
練習は木、土19~21時に藤沢市でチーム練習を行っており、土日に不定期の試合があります。
パラスポーツに興味があれば大歓迎です。見学もできるのでお気軽にお越しください。


「ゆめスポ☆彡」第2弾は、車椅子ソフトボール選手の小貫怜央さんです!お楽しみに!

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